小児歯科診療では、術者が上手であるだけでは診療が成り立たない。 アシストの存在が不可欠である。 なかでも、アシスタントからの言葉がけは、診療をスムーズに行う上で重要である。そこで今回から、小児歯科診療における“言葉がけあれこれ”を紹介する。 ①子どもが「恐いからイヤ!」・「痛いのイヤ!」と術者に言ったとする。(図1)この状況では、答え方が難しい。 術者が言えるのは「大丈夫だから・・」程度しかない。 そこでアシストの出番だ。 「そう!恐いのは虫さんだから先生に見せてあげて」 「痛いのは虫さんが悪いから、先生にやっつけてもらおうね!」 ・・など、あくまで悪いのはむし歯菌であることを伝える。 この言葉を通じて、“術者は悪い虫を退治してくれる味方”であることを理解させる。 ②子どもの気持ちの代弁をするパターンもある。 術者が「これから虫さん退治するよ!」と言うとする。(図2)
アシスタントは子どもの代わりに 「お願いします~!」 「上手に退治してね!」 「うん!ボクがんばるよ!」 「これから遊びに行くから、早くしてね!」などと返事する。 それに対して術者が 「それじゃ!急いでするから、早く終わって遊びに行こう!」 ・・と言えば、さらにコミュニケーションが広がるだろう。 この様にアシスタントの言葉がけで、よりスムーズな診療が可能となる。 また難しい処置時、適切な言葉がけを行うことで術者の負担を軽減できる。 “言葉がけ”はアシスタントの腕の見せ所なのである。

著者岡崎 好秀
前 岡山大学病院 小児歯科講師
国立モンゴル医科大学 客員教授
略歴
- 1978年 愛知学院大学歯学部 卒業 大阪大学小児歯科 入局
- 1984年 岡山大学小児歯科 講師専門:小児歯科・障害児歯科・健康教育
- 日本小児歯科学会:指導医
- 日本障害者歯科学会:認定医 評議員
- 日本口腔衛生学会:認定医,他
歯科豆知識
「Dr.オカザキのまるごと歯学」では、様々な角度から、歯学についてお話しします。
人が噛む効果について、また動物と食物の関係、治療の組立て、食べることと命について。
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