初診時は、疼痛がない限り無理な処置を行わず、簡単なことから行なう方が有利である。 さて、試験でよい点をとるためには、簡単な問題から解き始める。 難しい問題・わからない問題は、飛ばして次に進む。そして残った時間に、難しい問題に取り掛かる。 これは最低点をとらないための鉄則である。 最初から難しい問題を解こうとすると、時間が足らなくなる。 これは学生時代は許されるかもしれないが、社会に出たら通用しない。 いきなり突然の難問が待ち構えている。 診療でも、簡単な小児から順番に来るわけではない。
最初からたいへんな小児に当たるかもしれない。 これを、どのように対処すれば良いのだろう? そこで気づいたことがある。 簡単な問題を解いている間に、難しい問題を簡単にしておく。 つまり簡単な処置を行う間に、難しい処置を簡単に済ませる処置に誘導する。 そんな方法を紹介する。 これが“齲蝕の慢性化”を図ることである。 筆者は、処置前に齲蝕を慢性化させ、以後の修復処置を簡単になるよう工夫している。 さて、第1・2乳臼歯の急性齲蝕で、ジュクジュクの軟化象牙質となっている。 現在のところ、症状はない。
通常なら、まず麻酔をして抜髄となる。 しかし、麻酔をすると、必ず泣く小児だったらどうだろう? 少し考えていただきたい。 麻酔で大泣きすと、抜髄はさらにたいへんとなる。 泣きわめき、暴れる中での処置は困難を極める。 リーマーを折るかも知れないし、口腔内へ落としたら大事故となる。 このような状態で十分な処置ができるわけがない。 術者まで、泣きたくなりそうだ。 さて、どうすれば良いだろう? 続く
著者岡崎 好秀
前 岡山大学病院 小児歯科講師
国立モンゴル医科大学 客員教授
略歴
- 1978年 愛知学院大学歯学部 卒業 大阪大学小児歯科 入局
- 1984年 岡山大学小児歯科 講師専門:小児歯科・障害児歯科・健康教育
- 日本小児歯科学会:指導医
- 日本障害者歯科学会:認定医 評議員
- 日本口腔衛生学会:認定医,他
歯科豆知識
「Dr.オカザキのまるごと歯学」では、様々な角度から、歯学についてお話しします。
人が噛む効果について、また動物と食物の関係、治療の組立て、食べることと命について。
知っているようで知らなかった、歯に関する目からウロコのコラムです!
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