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【山本やすお】の『まるで成長していない…』
Vol.4 ~小臼歯製作編~
(レジンクラウン法)④

2018/8/28 臨床ライブラリ

レジンクラウン法でのジルコニアクラウン製作

前回の記事ではレジンクラウンを製作し、口腔内で 『色調確認』『形態確認』 を行う所までご説明しました。 レジンクラウンを製作する2つのメリット。 ①撮影時のシェードガイドの位置関係を意識せず撮影ができる。 ②「支台歯」「歯肉」「歯の位置関係」による影響が全て加味されたシェードガイドになる。 レジンクラウンはジルコニアクラウンを製作する上でとても重要な参考資料となるのです。 今回はレジンクラウン法による 『模型の調整法』 『ジルコニアフレームの製作』 の工程についてご説明します。

レジンクラウン法による『模型調整』

それではレジンクラウン法による『模型調整』の手順をご説明します。 まずは、チェアサイドにてレジンクラウンを試適する際、患者さんにレジンクラウンをセットした状態で座位で咬合力を加えてもらい、最前後方の運動、あらゆる動きの偏心運動で早期接触する部分を『咬合調整』して頂きます。 次に、レジンクラウンを咬合器にリマウントします、この時インサイザルピンを少し上げてリマウントします。 ※レジンクラウン製作時にマウントをしている場合は必要ありません。(その場合はインサイザルピンを上げてマウントしておく必要があります。) 最初、模型上の咬合位では、ほとんどのケースでレジンクラウン部が『緩くなったり』『咬合紙が抜ける』状態になると思われます。 これは模型と口腔内では変位があり、特に歯根膜の動揺度合いによって起こる誤差が大いに影響しているからです。 この誤差を解消するために、レジンクラウン部の咬合紙が抜けない状態になるように早期接触しているレジンクラウン側の歯列箇所を『トリミング』していきます。 口腔内で調整されたレジンクラウンを作業模型に戻し、咬合接触をプラスチックフィルム(オクルーザル レジストレーションストリップス)などで1歯のみで確認すると、ほとんどのケースでレジンクラウン部が「緩くなったり」「咬合紙が抜ける」状態になると思われます。 レジンクラウンが対合歯と接触する様に『レジンクラウン側』の歯列をトリミングして、口腔内のクレンチング(注1)状態での咬頭嵌合位の状態を再現しています。 マッシュバイト(注1)では接触点は確認できるが、補綴部位に加わっている接触部の力量はレジンクラウン部でのプラスチックフィルムの具合の強さで微調整をしていくようにしています。 この方法だと最終印象を片顎印象で行ってもレジンクラウンの調整自体は口腔内で行っていますので全顎印象と同じ再現性を持つと考えています。 そうする事で 患者さんの噛みしめたクレンチング力が加わった状態での補綴部位の 『咬合接触の強さの情報』 を模型に再現しています。 また、咬合器上の運動ではディスクルージョン(注1)をしてレジンクラウンを製作しているのに、当たるはずもない部位が『干渉してくる』といった不可解な現象が起こる事があります。 咬合器上では全く干渉していない所でも口腔内で調整されたレジンクラウンでは削合調整されている事があり、その箇所は対合歯との空隙ができます。 咬合器上の模型では、その空隙を再現する事はとても重要ですので、『対合歯側』の空隙箇所にレジンを盛って埋める事で、口腔内の『下顎運動路』の再現をしています。 これは 『グライディング(注1)する時の関節円板の状態』 または 『クレンチングしながらグライディングした時の歯根膜動揺』 の作用が関係していると思われ、残念ながら咬合器運動では再現する事ができない変位であると考えられます。 そして、模型調整後に『歯列、対合関係』を考慮した咬合接触点を与えていくといった手順となります。 この作業には、通常の『シリコンバイト、咬合器運動では再現できない情報』の代わりに、レジンクラウンを使って 『マッシュバイト』 『チェックバイト』(注1) の2つを行なっているのと同じ意味合いがあり、私はジルコニアクラウンを製作する前の大切なルーティンワークだと考えています。 ※注1 ・クレンチング~くいしばり。 ・グライディング~水平的な滑走運動。 ・マッシュバイト~マッシュバイトとは、咬頭嵌合位での咬合採得時にその位置を記録すること。 ・チェックバイト~チェックバイトとは、咬合診査・診断時に使用する顆路測定法のひとつ。 ・ディスクルージョン~臼歯離開とは、下顎の側方運動時には犬歯誘導によって、前方運動時には前歯誘導(アンテリアガイダンス)によって、上下の臼歯が離れること。 ※今回の写真では説明用として前回の記事で使用したものとは別の模型を使用しています。

レジンクラウン法でのジルコニアフレーム製作法

普段の臨床でのフレーム製作の流れでは、レジンクラウンのデータを基に作成します。 気をつけるポイントは下記の3点です。 ①破折の恐れのある所、咬合接触ポイントは、『サポート形態』、『ジルコニアバッキング』設計をしておく事。 ②レイヤーのスペースは色調再現できる様にポーセレンルームをしっかりと確保しておく事。 ③最終の色調を再現しやすいように、あらかじめフレームに必要に応じて『マスキング』や『レイヤースペース』を計算してフレームに色付けておく事。 レジンクラウンが『最終の形態に近い状態』である事がこれらの作業を正確に行えるポイントとになります。 ジルコニアフレームのデザインは最終外形から判断して設計する。 辺縁隆線部は必ずジルコニアフレームでサポートする。 咬合面観から見ても辺縁隆線部機能咬頭部は必ずジルコニアフレームでサポートする。 非機能咬頭部はディスクルージョンを考えて、必要であればジルコニアフレームにてバッキングサポートをする。 支台歯からの最終外形のクリアランス、最終外形からのポーセレンルームのクリアランスはレジンクラウンが最終形態に近い形で作られているので正確にカットバックサポートデザインを設定することができる。 シンタリング(注2)前に予めジルコニアフレームにカラー液を浸透させた状態。 着色を強めにする部分は、咬合面、歯根部といった比較的クリアランスの少なくなる部位に行っている。 支台歯が変色しており、フレームにマスキングが必要な場合はフレーム内部に内面オペークをしておく。 これらのカットバック作業を数値的に正確に行い、 シンタリング前のフレームに着色作業を行うためには、 レジンクラウン製作と同様にCAD/CAMシステムを使用することが望ましいと考えています。 次回はレジンクラウンでシェードテイクを行なった『写真の分析』から、 製作時どこに注意点をおいて 『築盛』『内部ステイン』『外部ステイン』の作業を進めて行くべきかを説明していきたいと思います。 ※注2 シンタリング~半焼結状態のジルコニアを、シンタリングファーネスを用いて焼結すること。