セラミックワークスの山本やすおです。 山本やすおの『まるで成長していない・・・』では歯科技工に関する私の個人的な考えを率直に書いていこうと思います。 今回ご紹介する写真は2017年5月に製作した、ボーンアーカードブリッジの設計説明の為に製作したサンプルになります。 普段はメタルフリー専門の技工をしておりますが、今回はチタン製サブストラクチャーを使用しています。
・サンプルを作る目的 若い時は「技術向上の為」、現在は「技術向上」と「仕事の営業用、新材料の試作」のためにサンプルを製作しています。 排列や色調は天然歯を見本に製作しています。
・ポイント 6前歯を製作するときに最も気を付けているポイントは中切歯、側切歯は切縁1/3のエリアの表現力と切端の形態、犬歯は正面からのアングルと切端の見え方です。
チタン製サブストラクチャーに6ユニットのレイヤリングジルコニアフレームを接着しています。 *6ユニットの内訳 中切歯、側切歯、犬歯の1ユニット ×2 両側分 + 第一小臼歯、第二小臼歯の1ユニット×2 両側分 + 第一大臼歯、第二大臼歯の1ユニット×2 両側分 の合計6ユニット *通常、臨床ではアクセスホールに当たる部分をセパレート設計にしています。 今回の例ではアクセスホールは開けておりません(サンプル用に製作した技工物のため)。 このような部分接着による設計はそれぞれのユニットごとの対向関係の自由度を上げ、技工物修理の際のメンテナンスを考えた上でデザインしています。 また、6ユニットにする事は焼成回数を増やすことができるという利点があります。 ・ポイント 臼歯部を製作するときに最も付けているポイントはフレームデザインです。 もちろん機能面が最も大切なのですが、フレーム構造の土台がしっかりとできていなければ、修理などが必要となった際に後戻りができなくなり、最悪一から補綴物を作り直さないといけなくなるかもしれません。
ガムを製作する材料(マテリアル)については経年から考えると圧倒的にポーセレンが良いと思います。 色調の面から見ればレジンが圧倒的に作りやすく材料(マテリアル)を部分的に変えるとなれば、レジンでしか製作できないので今回のケースはハイブリッドレジンで製作しています。 ・ポイント 私のガムに対する考えは、「できるだけリアルに作る」です。 歯が単調な作りであってもガムがリアルならば案外見た目は良く見えますが、その逆の場合はすごく違和感を感じます。 自然な仕上がりを意識するにはガムの製作に比重を置くべきだと思っています。
プロフィール
◆『まるで成長していない・・・』というタイトルは 歯科技工士は必ず1度は過去の自分が製作した経年写真や模型を見る事がある。 また、歯科技工士ならば必ず師匠、先生と思える人が1人はいると思う。 「自分自身」「師匠、先生」が、過去の自分のケースを主観的、客観的に振り返り『まるで成長していない・・・』と思い思われたくないという心情。
【山本やすお】の『まるで成長していない…』Vol.1 「サンプル模型編」 【山本やすお】の『まるで成長していない…』Vol.2 ~小臼歯製作編~(レジンクラウン法)① 【山本やすお】の『まるで成長していない…』Vol.2 ~小臼歯製作編~(レジンクラウン法)② 【山本やすお】の『まるで成長していない…』Vol.3 ~小臼歯製作編~(レジンクラウン法)③