Dental Life Design

あなたのデンタルライフを彩るメディア

2019年5月のピックアップ書籍

2019/5/13 歯科NEWS

『骨補填材料&メンブレンの歴史的変遷と最新トレンド』

インプラント治療を行う際には、適切な診査・診断に基づいて治療予定部位のフィクスチャーの種類、長さ、太さなどを選択し、埋入前あるいは埋入時などに骨増生法を実施する可能性についても検討することが不可欠である。さらに、埋入予定部位の骨の状態のみならず、周囲角化粘膜の関係性も含めて綿密な治療計画を立案しなければならない。立案した治療計画どおりにインプラント治療が進行することもあるが、不測の事態に遭遇することもある。骨増生法を行わなければならないとき、どのような骨補填材料を用いて、どのような方法で対処したらよいのか、困ることが少なくない。それらを解決するための一助となる待望の書籍『骨補填材料&メンブレンの歴史的変遷と最新トレンド』が発刊された。 本書は、二部構成になっており、第一部は、骨補填材料とメンブレンの開発から特徴に至るまでを歴史年表を使用して詳述してあるので、基礎的な知識を学ぶことができる。加えて、厚生労働省の承認済み材料であるか否かもわかるように記載してあることから、歯科医師が理解するのみならず患者にも適切な情報を与えることができるので、インプラント治療の同意と決定をもらううえでも役に立つであろう。第二部は、インプラント治療に造詣が深く、臨床経験が豊富な新進気鋭の歯科医師4名のトレンディな症例を掲載し、用いている術式のポイント、材料の選択理由と注意点が微に入り細に入り記してある。とくに、術式のポイントをすばらしい口腔内写真でステップごとに掲載し、一見するだけで理解できるように配慮してあるところから、著者らのインプラント治療に対する造詣の深さが読み取れる。切開線の形態、剥離後の術野の明示、フィクスチャーの埋入から骨移植材料を用いたのちのメンブレンの設置、種々の縫合法、手術に用いた使用器具・器材を含めて、単純明快に解説してある。また、治癒期間とその見極めの記述については、多くの臨床医が現場で二次手術をいつ行うのか、上部構造物はいつ製作したらよいのかなどと悩むことが多いことから、一読する価値がある。 本書は、臨床経験の浅い若手のみならずベテランの歯科医師にとっても、今治療しなければならない症例に適応する骨補填材料や最新の治療術式を選択するうえでのガイドとなりうる内容の濃い成書である。 岩野義弘/小田師巳・監著 岡田素平太/増田英人・著 クインテッセンス出版 問合先 :03‐5842‐2272(営業部) 定価本体:6,000円(税別)

別冊the Quintessence『マイクロデンティストリーYEARBOOK 2019』

近年、マイクロスコープの普及率が高まっている。しかし、実際の臨床で使いこなせているかどうかは別の問題で、歯科ユニット並み以上のコストをかけたにもかかわらず、そのポテンシャルを引き出せていない先生も少なくないと思われる。マイクロスコープは、それでしか得られない貴重な情報を与えてくれるが、そのためには一定の知識とトレーニングが必要となる。今回ご紹介する『マイクロデンティストリーYEARBOOK 2019』(日本顕微鏡歯科学会・編)は、今回で8冊目を数えるマイクロスコープに特化した別冊であり、マイクロスコープを臨床に生かしきれていないと思われる読者におすすめの別冊である。 簡単にご紹介しよう。 PART1では「マイスタイル顕微鏡」と題して、2名の先生が自院でのマイクロスコープの活用法について詳細に述べられている。マイクロスコープを用いる際のユニットやモニターの配置、術者やアシストのポジションをはじめ、動画・静止画の記録システム、さらには医院の患者層や自費率といった話題まで、これからマイクロスコープを導入しようという読者はぜひ知っておきたい内容が具体的に示されている。また、マイクロスコープの利点として「患者への治療内容の説明」が挙げられるが、治療に用いるだけでなく、どうやって記録しているか、どうプレゼンに用いているかなど、実際の臨床での使用法が示されている。 PART2では、2019年版のメインテーマである「一般診療へのマイクロスコープの活用」が示すように、歯内療法、歯周治療、修復治療、補綴治療、そしてインプラント治療まで、各分野におけるマイクロスコープを用いる際の要点が簡潔に示されており、導入するにあたって非常に参考になる。また、執筆者は歯科医師だけでなく、歯科衛生士による初期治療での応用に関してなど、さまざまな分野への応用が示されており、マイクロスコープを活用できる幅が確実に広がっていると感じる。 筆者自身は歯周組織再生療法におけるデブライドメントの確認が主であるが、医院としては根管治療、修復治療において4人の歯科医師が2基のマイクロスコープを使用しており、今回この別冊を読み、医院全体でさらに活用できることを再認識した。勤務医や歯科衛生士、助手を含めたスタッフ全員で読み込んでマイクロスコープのポテンシャルをもっと引き出していきたいと思わせてくれた1冊であり、オススメである。 評者:石川知弘 (静岡県・石川歯科) 日本顕微鏡歯科学会・編 クインテッセンス出版 問合先 :03‐5842‐2272(営業部) 定価本体:5,500円(税別)

『これならわかる 少ないバーでできる生活歯の支台歯形成法』

Simple is bestをモットーとする補綴専門医が、審美補綴のABCから高度な歯周補綴のフルマウスリハビリテーションまでを書いた処女作が本書である。本書は5本のバーによる実践的な支台歯形成法の本である。著者はボストン大学歯学部大学院で補綴専門医資格を取得後、東京の銀座で約40年間開業し、40年前に歯周補綴の論文を日本で最初に書き、以来、審美補綴、歯周補綴を中心に診療している。 5本のバーのうち、ラウンドバーとホイールバーの使用法は注目に値する。直径の判明しているラウンドバーでガイドグルーブを付与する方法を、ラウンドエンドテーパードバーでガイドグルーブを付与する通法と比較すると、前者は均一な歯質削除量および短い歯質削除時間の点で優れている。ホイールバーを使用する臼歯咬合面、軸面の形成法もユニークで、多数歯の臼歯の歯周補綴時の支台歯形成法としては効率的で、形成時間を大幅に短縮し、術者にも患者さんにもストレスが少ない。 Chapter01の基礎編では、審美補綴の支台歯形成の基本がステップバイステップで書かれ、前歯、小臼歯、大臼歯の支台歯形成の術式が、バーの選択、移動方向まで写真とイラストでていねいに詳しく記述されている。初心者でもすぐに役立つ術式が溢れている。臨床編は臨床上もっとも頻度の高い審美補綴(ポーセレンジャケットクラウン、メタルボンドクラウン、ラミネートべニア、フルジルコニアクラウン、IPS.e.max®クラウン)が実践的に記述されている。 Chapter02では著者のもっとも得意で、長く従事しているフルマウスリハビリテーションの歯周補綴(エステニアブリッジ、メタルボンドブリッジ、ハイブリッドブリッジなど)がプロビジョナルレストレーション、歯周外科、歯周補綴の注意点、術式のポイントに関して詳述されている。とくに、多数歯を連結する生活歯下顎前歯の歯周・審美補綴の支台歯形成を露髄させずに行う術式は、著者の補綴専門医としての歯髄を保存するという信念の表れである。審美のために安易に歯髄を抜髄して行う支台歯形成法に対する警鐘といえる。 この本は、審美補綴、歯周補綴に関心のある歯科医師が、それらの基礎から高度な知識・術式までを広範囲に俯瞰してコンパクトに学ぶのに最適の1冊である。 評者:田中秀文 (神奈川県・バッファロー歯科医院) 酒井邦明・著 クインテッセンス出版 問合先 :03‐5842‐2272(営業部) 定価本体:7,000円(税別) (ザ・クインテッセンス2019年5月号 QUINT SHORT LIBRARYより)