日々の診療の中で、一向に減少しない臼歯部隣接面う蝕に対する2級修復。 新たに発見されたう蝕の場合には、感染歯質の範囲を把握した上で修復方法をイメージした窩洞形成が可能である。 コンポジットレジン修復を前提とした場合には、様々な種類の隔壁を有効に適応するための窩洞外形を術者自身が設定し、解剖学的形態の再現に有利な部位は遊離エナメル質であっても温存する。 多種多様な状況に使用可能な修復補助器具の開発によって、ほぼすべての原発性う蝕はコンポジットレジン修復の適応症となった。 一方、メタルインレー修復後の再発性う蝕の場合には、インレー除去後の歯冠部形態は多くの解剖学的指標が失われている。 このため、コンポジットレジンでの直接修復を計画した場合には、様々な修復補助器具を使用しても天然歯冠形態を再現するのは容易ではない。 特に臼歯隣接面の頬舌側隅角部が大きく失われている場合には、既製隔壁適応での歯冠形態回復には限界があり、術者の意図的な隔壁操作が必要となる。 コンポジットレジンでの直接修復を断念した場合には、間接法適応を検討する事になるが、レジンセメントを使用したコンポジットレジンインレー修復・ポーセレンインレー修復には歯質接着性に関する不安定要素が残る。
STEP1 窩洞形成
- メタルインレー除去後
- 感染象牙質除去・窩洞形成終了
窩洞形成に際しては、修復操作での隔壁設置を意識して窩洞外形の設定を行う。
メタルインレー修復の窩洞形成によって、左上5・6間の隣接面形態は完全に失われており、コンポジットレジン直接修復での歯冠形態回復は1歯ずつ順に完成させていく必要がある。
左上4 の遠心部隣接面う蝕は小規模であり、健全歯質を最大限温存した窩洞形成により、コンポジットレジンによって回復すべき隣接面形態は平面的かつ最小限で隔壁設置は極めて容易である。
STEP2 隔壁設置へ続く