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審美改善症例 STEP1 窩洞形成

審美改善症例 STEP1 窩洞形成
審美改善症例 STEP1 窩洞形成
日々の診療の中で、一向に減少しない臼歯部隣接面う蝕に対する2級修復。
新たに発見されたう蝕の場合には、感染歯質の範囲を把握した上で修復方法をイメージした窩洞形成が可能である。
コンポジットレジン修復を前提とした場合には、様々な種類の隔壁を有効に適応するための窩洞外形を術者自身が設定し、解剖学的形態の再現に有利な部位は遊離エナメル質であっても温存する。
多種多様な状況に使用可能な修復補助器具の開発によって、ほぼすべての原発性う蝕はコンポジットレジン修復の適応症となった。
一方、メタルインレー修復後の再発性う蝕の場合には、インレー除去後の歯冠部形態は多くの解剖学的指標が失われている。
このため、コンポジットレジンでの直接修復を計画した場合には、様々な修復補助器具を使用しても天然歯冠形態を再現するのは容易ではない。
特に臼歯隣接面の頬舌側隅角部が大きく失われている場合には、既製隔壁適応での歯冠形態回復には限界があり、術者の意図的な隔壁操作が必要となる。
コンポジットレジンでの直接修復を断念した場合には、間接法適応を検討する事になるが、レジンセメントを使用したコンポジットレジンインレー修復・ポーセレンインレー修復には歯質接着性に関する不安定要素が残る。

STEP1 窩洞形成

メタルインレー除去後
メタルインレー除去後
感染象牙質除去・窩洞形成終了
感染象牙質除去・窩洞形成終了

窩洞形成に際しては、修復操作での隔壁設置を意識して窩洞外形の設定を行う。
メタルインレー修復の窩洞形成によって、左上5・6間の隣接面形態は完全に失われており、コンポジットレジン直接修復での歯冠形態回復は1歯ずつ順に完成させていく必要がある。
左上4 の遠心部隣接面う蝕は小規模であり、健全歯質を最大限温存した窩洞形成により、コンポジットレジンによって回復すべき隣接面形態は平面的かつ最小限で隔壁設置は極めて容易である。

STEP2 隔壁設置へ続く

著者田代浩史

田代歯科医院 院長
国立大学法人 東京医科歯科大学
非常勤講師 (齲蝕制御学)

略歴
1999年(平成11年)
東京医科歯科大学歯学部 卒業
2003年(平成15年)
東京医科歯科大学大学院 修了
2003年~
田代歯科医院(浜松市)
2007年~
国立大学法人 東京医科歯科大学 非常勤講師 (齲蝕制御学)
2013年~
DIRECT RESTORATION ACADEMY OF COMPOSITE RESIN 主宰
2015年~
福岡歯科大学 非常勤講師
著書
2015年5月
宮崎真至 編著・田代浩史 他 「 わかる!できる! コンポジットレジン修復 」医歯薬出版株式会社
2015年6月
田代浩史 著「 コンポジットレジン修復の発想転換 」医歯薬出版株式会社
2015年7月
宮崎真至 編集・田代浩史 他 「 コンポジットレジン修復のベーシック&トレンド 」デンタルダイヤモンド社
2016年3月
田代浩史・田上順次 著「 NEXT ! コンポジットレジン修復 」医学評論社

・治療コンセプト

小児から成人まで年齢に合わせた予防歯科プログラムを設定し、8人の歯科衛生士を中心に健康的な口腔内環境を維持管理するシステムを構築しています。
また、基本的な治療方針として残存歯の可及的保存を優先し、前歯部にはコンポジットレジン修復を活用したMI治療、臼歯部にはインプラント治療を活用した自立型の補綴治療を中心に治療計画を立案し、患者説明しています。
特にコンポジットレジンによる接着修復の応用範囲拡大を医院のテーマとして設定し、既成概念に囚われない発想で低侵襲の審美修復を提供できる医院体制を準備しています。
コンポジットレジン修復の積極活用により、修復自体の長期経過だけではなく歯の長期保存を重視する修復も可能となると考えます。
現代の患者の治療方針に対する志向は、健全歯質温存にこそ最大価値を意識する傾向へと変化しており、精密で高価なセラミックス補綴物の装着による高審美性の追求よりも、健全歯牙へのコンポジットレジン接着修復による低侵襲な歯冠形態修正にこそ患者共感が得られる場合も多いと考えます。
患者の健康投資への選択肢として「 コンポジットレジン直接修復 」を積極的に示す準備が必要であると考え、健全歯牙温存と審美性改善とが両立した接着修復を中心とした治療体制の確立を目指しています。

田代浩史

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