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臨床情報

前歯離開歯列への修復 STEP2 接着操作・積層充填

前歯離開歯列への修復 STEP2 接着操作・積層充填
前歯離開歯列への修復 STEP2 接着操作・積層充填

STEP2 接着操作・積層充填

シリコンガイドの試適
シリコンガイドの試適
隣接面部の接合を回避して口蓋側部レジンを圧接
隣接面部の接合を回避して口蓋側部レジンを圧接

上顎左右1・1の歯冠部歯質の近心側1/3程度の面積を接着対象と想定し、同部位へのエッチング処理後に接着操作を行う。
離開歯列修復症例でのコンポジットレジンの接着対象は健全エナメル質が大部分を占める場合が多く、セルフエッチングタイプ接着材での処理に先立って、エナメル質への選択的なエッチング処理を行うことでより高い接着強さを獲得する事が可能となる。
接着操作完了後、シリコンガイド上に準備したエナメルシェードレジンを口蓋側より圧接。
唇側からの光照射の後、シリコンガイドを撤去し、さらに口蓋側からも十分な光照射を行う。
上顎左右1・1の隣接面部には透明プラスチック製のマトリックスを挿入し、両側から充填されたエナメルシェードレジンの一体化を防止する。

3Dマトリックスの試適とフロアブルレジン注入
3Dマトリックスの試適とフロアブルレジン注入
3Dマトリックスによる歯頸部カントゥアの再現
3Dマトリックスによる歯頸部カントゥアの再現
口蓋側・歯頚側の充填完了
口蓋側・歯頸側の充填完了
隣接面接触点の再構築
隣接面接触点の再構築
離開部の充填操作完了・一次形態修正
離開部の充填操作完了・一次形態修正
左上2 旧修復材料の除去
左上2 旧修復材料の除去
周囲窩洞への色調適合性の修正
周囲窩洞への色調適合性の修正

上顎左右1・1口蓋側エナメル質部分の充填終了後、歯頸部からの立ち上がりと接触点部を構築するため、3次元的豊隆が付与された3D透明マトリックスを歯肉溝に挿入して保持する。
保持された3D透明マトリックス内にフロアブルレジンを注入して光照射。
この部位に対しては、充填後の形態修正・研磨操作が非常に困難な事から、フロアブルレジン注入時の気泡混入に細心の注意を払う必要がある。
試適・保持したマトリックスの位置・形態そのままにコンポジットレジンを充填する事が重要となるため、充填圧によるマトリックスの変形を回避するために流動性の高いフロアブルレジンを注入して重合・硬化させる点がポイントとなる。
最終の隣接面接触を平面的な透明マトリックスを使用して構築し、最終層としてのエナメルシェードレジンを充填して歯冠部形態を完成。
続いて周囲歯牙の旧コンポジットレジン修復を除去・再修復して前歯部全体としての形態的・色調的な調和を確認した。

STEP3 形態修正・研磨操作・維持管理へ続く

著者田代浩史

田代歯科医院 院長
国立大学法人 東京医科歯科大学
非常勤講師 (齲蝕制御学)

略歴
1999年(平成11年)
東京医科歯科大学歯学部 卒業
2003年(平成15年)
東京医科歯科大学大学院 修了
2003年~
田代歯科医院(浜松市)
2007年~
国立大学法人 東京医科歯科大学 非常勤講師 (齲蝕制御学)
2013年~
DIRECT RESTORATION ACADEMY OF COMPOSITE RESIN 主宰
2015年~
福岡歯科大学 非常勤講師
著書
2015年5月
宮崎真至 編著・田代浩史 他 「 わかる!できる! コンポジットレジン修復 」医歯薬出版株式会社
2015年6月
田代浩史 著「 コンポジットレジン修復の発想転換 」医歯薬出版株式会社
2015年7月
宮崎真至 編集・田代浩史 他 「 コンポジットレジン修復のベーシック&トレンド 」デンタルダイヤモンド社
2016年3月
田代浩史・田上順次 著「 NEXT ! コンポジットレジン修復 」医学評論社

・治療コンセプト

小児から成人まで年齢に合わせた予防歯科プログラムを設定し、8人の歯科衛生士を中心に健康的な口腔内環境を維持管理するシステムを構築しています。
また、基本的な治療方針として残存歯の可及的保存を優先し、前歯部にはコンポジットレジン修復を活用したMI治療、臼歯部にはインプラント治療を活用した自立型の補綴治療を中心に治療計画を立案し、患者説明しています。
特にコンポジットレジンによる接着修復の応用範囲拡大を医院のテーマとして設定し、既成概念に囚われない発想で低侵襲の審美修復を提供できる医院体制を準備しています。
コンポジットレジン修復の積極活用により、修復自体の長期経過だけではなく歯の長期保存を重視する修復も可能となると考えます。
現代の患者の治療方針に対する志向は、健全歯質温存にこそ最大価値を意識する傾向へと変化しており、精密で高価なセラミックス補綴物の装着による高審美性の追求よりも、健全歯牙へのコンポジットレジン接着修復による低侵襲な歯冠形態修正にこそ患者共感が得られる場合も多いと考えます。
患者の健康投資への選択肢として「 コンポジットレジン直接修復 」を積極的に示す準備が必要であると考え、健全歯牙温存と審美性改善とが両立した接着修復を中心とした治療体制の確立を目指しています。

田代浩史

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