STEP4 積層充填2・形態修正
- 左上5隔壁設置
- 接着操作・フロアブルレジン充填
- 隣接面部分の充填完了
- エナメルシェードレジン充填
- 歯肉側窩縁の移行部研磨操作
左上4・6の形態回復と隣接面部分の仕上げ研磨操作とを完了した時点で、充填操作の第2段階として左上5遠心部の形態回復に着手する。
左上5遠心部の隣接面窩洞における歯間離開距離は約1.0mmで、遠心歯頸部からの平面的な隔壁設置では理想的な接触点形態を再現することは不可能である。
よって歯頸部からの自然な豊隆を再現するために3Dマトリックスの使用が必須であり、併せて歯肉側窩縁部の適合性向上のためのウッドウェッジ、3Dマトリックス保持のためのリング型リテーナーの使用が推奨される。
使用される3Dメタルマトリックスは厚さ約30μmで、適正な歯間離開距離の構築を阻害するものではない。
また、専用のフォーセップスを使用して装着されるリング型リテーナーには歯間離開作用があり、歯根膜の厚さの範囲で歯牙を一時的に側方に移動してメタルマトリックスの厚さを補償する効果もある。
様々な工夫がなされたマトリックスシステムを窩洞形態に合わせて有効に活用する事で、難易度の高い臼歯部2級修復を効率よく攻略することも可能となっている。
隣接面部は3Dメタルマトリックスを挿入してフロアブルレジンを充填し接触点の製作を行っており、両歯の接触面はすでに滑沢で未重合層の残留も最小限である。
しかし歯肉側辺縁部の残存歯質との移行性の確保は極めて重要であり、隣接面研磨用プラスチックストリップスの中粒研磨用から微粒・超微粒研磨用へと段階的に仕上げ研磨を行う。
この際、緊密に構築された接触点部を研磨操作によって消失しないよう、研磨用ストリップスの挿入は頬側または口蓋側の歯肉側から行い、接触点部の研磨器具通過を回避する必要がある。
臼歯部における隣接面窩洞のう蝕治療とメタルインレーからの審美性回復とを同時に行ったメタルフリー修復。
窩洞形態により3タイプの隔壁設置方法を駆使し、適切な歯間分離により緊密な接触関係を獲得した。
理想的な接触点位置と歯間離開距離との回復には、既製のマトリックス器材を口腔内で適宜調整して臨機応変に活用する必要がある。
様々な臨床状況でのノウハウ蓄積により、適切な修復補助器具選択に最短で到達する修復システムの整理が重要である。
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