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臨床情報

審美改善症例 STEP3 接着操作・積層充填1

審美改善症例 STEP3 接着操作・積層充填1
審美改善症例 STEP3 接着操作・積層充填1

STEP3 接着操作・積層充填1

接着操作
接着操作
フロアブルレジンによる積層充填第1層目
フロアブルレジンによる積層充填第1層目

隔壁の設置により窩洞内部は周囲組織と隔離され、ウッドウェッジによってマトリックスが歯質に圧接固定されることで、血液・滲出液の窩洞内流入を防止することが可能である。
接着操作では、窩洞全体が形成時に切削されているため、エナメル質への選択的なエッチング処理を行う必要はない。
エナメル質・象牙質に対して、一括でセルフエッチングタイプの歯質接着材を使用して接着操作を完了した。
臼歯部2級修復の接着操作における注意事項は、隔壁設置によって形成されるマトリックスと歯質との間の歯肉側窩縁付近の狭小空間への対応である。
同部位には接着操作時のボンディング材が液溜まりを形成する可能性が高く、適切なエアーブローによってボンディング層を均一な厚さにする事が重要である。
また、咬合面側からの光照射に際しても、照射器先端部からの距離が大きく照射光の到達が困難であるため、照射時間の延長などの対応を必要とする場合もある。
同時に3Dマトリックスを暫間固定するためのフロアブルレジンに対する接着操作と光照射とを終了する。

デンティンシェードレジンの充填
デンティンシェードレジンの充填
エナメルシェードレジンの充填
エナメルシェードレジンの充填
隣接面部の形態修正・研磨操作を完了
隣接面部の形態修正・研磨操作を完了

歯頸部からの立ち上がり部・接触点部を構築するため、固定されたメタルマトリックス内にフロアブルレジンを注入して光照射を行う。
この部位に対しては、充填後の形態修正・研磨操作が非常に困難なことから、フロアブルレジン注入時の気泡混入に細心の注意を払う必要がある。
左上6では、試適・固定した3Dメタルマトリックスの位置・形態そのままにコンポジットレジンを充填する事が重要となるため、充填圧によるマトリックスの変形を回避するためにフロアブルレジンを少量づつ繰り返し注入して積層充填・重合硬化させる。
隣接面部・辺縁隆線部の形態回復が完了した時点で、咬合面部の充填操作に移行する。
象牙質相当部へのデンティンシェードレジン、エナメル質相当部へのエナメルシェードレジンの充填操作により、左上4・6部の形態回復を完了する。

STEP4 積層充填2・形態修正へ続く

著者田代浩史

田代歯科医院 院長
国立大学法人 東京医科歯科大学
非常勤講師 (齲蝕制御学)

略歴
1999年(平成11年)
東京医科歯科大学歯学部 卒業
2003年(平成15年)
東京医科歯科大学大学院 修了
2003年~
田代歯科医院(浜松市)
2007年~
国立大学法人 東京医科歯科大学 非常勤講師 (齲蝕制御学)
2013年~
DIRECT RESTORATION ACADEMY OF COMPOSITE RESIN 主宰
2015年~
福岡歯科大学 非常勤講師
著書
2015年5月
宮崎真至 編著・田代浩史 他 「 わかる!できる! コンポジットレジン修復 」医歯薬出版株式会社
2015年6月
田代浩史 著「 コンポジットレジン修復の発想転換 」医歯薬出版株式会社
2015年7月
宮崎真至 編集・田代浩史 他 「 コンポジットレジン修復のベーシック&トレンド 」デンタルダイヤモンド社
2016年3月
田代浩史・田上順次 著「 NEXT ! コンポジットレジン修復 」医学評論社

・治療コンセプト

小児から成人まで年齢に合わせた予防歯科プログラムを設定し、8人の歯科衛生士を中心に健康的な口腔内環境を維持管理するシステムを構築しています。
また、基本的な治療方針として残存歯の可及的保存を優先し、前歯部にはコンポジットレジン修復を活用したMI治療、臼歯部にはインプラント治療を活用した自立型の補綴治療を中心に治療計画を立案し、患者説明しています。
特にコンポジットレジンによる接着修復の応用範囲拡大を医院のテーマとして設定し、既成概念に囚われない発想で低侵襲の審美修復を提供できる医院体制を準備しています。
コンポジットレジン修復の積極活用により、修復自体の長期経過だけではなく歯の長期保存を重視する修復も可能となると考えます。
現代の患者の治療方針に対する志向は、健全歯質温存にこそ最大価値を意識する傾向へと変化しており、精密で高価なセラミックス補綴物の装着による高審美性の追求よりも、健全歯牙へのコンポジットレジン接着修復による低侵襲な歯冠形態修正にこそ患者共感が得られる場合も多いと考えます。
患者の健康投資への選択肢として「 コンポジットレジン直接修復 」を積極的に示す準備が必要であると考え、健全歯牙温存と審美性改善とが両立した接着修復を中心とした治療体制の確立を目指しています。

田代浩史

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