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歯科医院のキャッシュレス化の方法は?現状や種類、やり方、メリットなどまとめ

歯科医院のキャッシュレス化の方法は?現状や種類、やり方、メリットなどまとめ
歯科医院のキャッシュレス化の方法は?現状や種類、やり方、メリットなどまとめ
日本では現在、新たな決済方法であるキャッシュレス化が進んでいます。
歯科医院においても、キャッシュレス決済を導入することで、効率性・利便性の観点でメリットを得られるでしょう。
今回は、キャッシュレス化の概要や現状、メリット・デメリット、導入方法などについて解説します。

歯科医院のキャッシュレス化とは?

「キャッシュレス化」とは、従来の現金払いから電子マネーやクレジットカード、デビットカード、モバイルウォレットなどのキャッシュレス決済に変えることです。 昨今では、電子マネーやクレジットカードに加え、「Paypay」「Line Pay」「au Pay」「メルカリペイ」といったモバイルウォレットなど、さまざまなキャッシュレス決済方法が登場しています。

国によるキャッシュレス推進

政府は「キャッシュレス・ビジョン」において、国内のキャッシュレス決済比率を2025年までに約4割、将来的に約8割まで高めることを目標に掲げています。 現金決済インフラを維持するための直接コストは年間で約1.6兆円以上発生しており、この削減も視野に入れていた動きです。 世界の主要国のキャッシュ決済比率は平均40〜60%台である一方、日本のキャッシュレス決済比率は約20%となっています。 ・韓国 約90% ・カナダ 約55% ・イギリス 約55% ・アメリカ 約45% ただし、2008年の11.9%から2015年の18.3%に増えており、上昇傾向にあります。 このような現状を踏まえ、今後日本においてますますキャッスレス決済が普及していくことが予想できるでしょう。 【引用】Fintechビジョン|経済産業省

医療業界・歯科業界における現状

医療業界・歯科業界におけるキャッシュレス化は他業界と比べて遅れています。 ニッセイ基礎研究所の発表によると、キャッシュレス決済のほとんどを占めているクレジットカードの業種別寄与度では、他の業種と比べて「病院・診療所」が最も低くなっています。 【引用】ポイント還元策の導入効果と今後のポイント|ニッセイ基礎研究所 この原因の一つに、キャッシュレス決済のコスト負担が大きいことが挙げられます。 保険診療は非課税で、仕入税額控除を適用できません。 また、医療機器や医薬品、消耗品などの購買による消費税負担もあります。 上記に加えて、キャッシュレス決済はシステムの利用料や手数料なども負担しなければならず、コスト負担が大きいと言えるでしょう。 しかしながら、医療業界・歯科業界の浸透率の低さに困っている消費者もいます。 三菱UFJリサーチ&コンサルティングが2018年6月に発表したキャッシュレス決済に関するアンケート調査では、「現金払いしか利用できずに困った店舗、場面がある」に1位としてあげられたのが「病院・診療所」でした。 歯科医院のキャッシュレス化を推進することで、患者さんのニーズを満たし、他院との差別化を図ることができ、選ばれる歯科医院になれると言えるでしょう。

キャッシュレス決済の種類

主なキャッシュレス決済として、 ・電子マネー(交通・流通系) ・デビットカード(銀行・外資系) ・モバイルウォレット(QRコード決済など) ・クレジットカード(磁気・ICカード) が挙げられます。それぞれの特徴を解説します。

電子マネー決済

駅やコンビニなどで現金をチャージ(データに変換)し、その金額内で支払いを行います。 事前にチャージを行うことが主ですが、クレジットカードを登録することで「オートチャージ」を利用できる電子マネーもあります。 スマホアプリや専用カードで利用でき、特に登録手続きは要りません。

デビットカード決済

登録した銀行口座の入金額を限度に支払いを行います。 クレジットカードに似た決済方法ですが、支払いが「後払い」ではなく「即時払い」となる点が異なります。 金融機関の発行したキャッシュカードの中には、口座の入出金だけでなく、デビットカードとしての支払い機能を付与した「J-Debit(ジェイデビット)」という種類もあります。

モバイルウォレット決済(QRコード決済)

スマホを使った決済方法で、主に次の2つの方法で支払います。 ・スマホで表示したQRコードを店舗側が読み取る ・店舗のQRコードを消費者が読み込む 電子マネー決済と同じく、クレジットカードと紐づけて、オートチャージを行うことも可能です。

クレジットカード決済

消費者の信用力に基づいて契約した限度額内で支払いを行います。 一般的には、1ヶ月の支払いを後日まとめて、消費者の銀行口座から引き落とす仕組みです。 利用時に、分割払いやリボ払いなど一括払い以外の方法を指定することもできます。 番号や有効期限などを入力すれば、オンライン上での支払いにも利用可能です。

歯科医院のキャッシュレス化によるメリット・デメリット

歯科医院でキャッシュレス決済を導入するにあたってのメリット・デメリットを解説します。

キャッシュレス化のメリット

・競合(他院)との差別化 前述の通り、キャッシュレス決済を希望する消費者は増えています。 キャッシュレス化の進まない医療業界において、率先してキャッシュレス決済を導入することは競合との差別化につながるでしょう。 ・支払いの効率化 現金での支払いは、「小銭を出す」「お釣りを渡す」といったやり取りに時間がかかりがちです。 特に高齢の患者さんはその傾向が強いでしょう。 キャッシュレス決済は、小銭やお釣りに関係なく、スムーズな支払いで時間を短縮できます。 また、キャッシュレス決済の中には、受診後に窓口での支払いを行わず、後払いにするサービスも登場しています。 ・患者さんの負担・ストレスの軽減 「前もって診察代が分からず、現金で足りるか不安」、「現金でのやり取りはコロナウイルスなどの感染リスクがある」、「会計の順番待ちの時間がもったいない」など、現金支払いによる患者さんの精神的負担はさまざまあります。 キャッシュレス決済は、こういった患者さんの負担を解消することができます。 ・政府による補助金利用 政府がキャッシュレス決済を推し進めていることもあり、導入時には以下のような補助金を利用することができます。 - 支払いの原資を補助する「消費者還元補助」 - システムの手数料の1/3を補助する「加盟店手数料補助」 - 決済端末の導入費用の2/3を補助する「決済端末補助」 - 導入伴うシステム開発や広報活動に関わる事務経費を補助する「事務諸費補助」 など ※2020年6月終了

キャッシュレス化のデメリット

・ITツールの苦手な方に合わない キャッシュレス決済は慣れれば簡単ですが、ITツールの苦手な患者さんには導入のハードルが高くなるかもしれません。 特に高齢者は使い勝手が分からず、現金を好む方もいるでしょう。 現金支払いの選択肢も残しつつ、さまざまな患者さんのニーズに寄り添うことが求められます。 ・資金繰りに支障をきたす 歯科医院における日々のさまざまな出費に加えて、キャッシュレス決済の利用料や手数料がかかることで、資金繰りに支障をきたす可能性もあります。 また、支払日から入金日まで期間を要すため、その間を上手くやり繰りしなければなりません。

歯科医院でキャッシュレス決済を導入する方法

最後に、歯科医院におけるキャッシュレス化の手順・方法を解説します。

1.導入するキャッシュレス決済の種類を選ぶ

数あるキャッシュレス決済の中から、歯科医院に合うものを探します。 メインの患者さん層が使いやすい決済を選ぶことが大切です。 たとえば、 ・学生やビジネスマンには通勤・通学で使う交通系電子マネー ・自費診療で高額になる方には、手持ちの現金を心配せずに済むクレジットカード といった具合です。 システムの利用料・手数料、入出金サイクル、初期費用なども踏まえ、適切なキャッシュレス決済を選びましょう。

2.キャッシュレス事業者と契約を結ぶ

キャッシュレス決済を決めたら、必要な手続きを経て、業者と契約を結びましょう。 歯科医院側に求められる条件は、キャッシュレス事業によって異なります。 導入までにかかる期間は、早ければ約1週間で終わることもあります。

3.歯科医院内でマニュアルを共有する

スタッフにキャッシュレス決済のマニュアル(操作方法など)を共有します。 慣れるまでは操作に手間取る可能性もあるため、十分に対策をしておきましょう。 また、支払いのトラブル時に対応できるよう、院長自身もしっかり内容を理解しておくことが大切です。

4.患者さんに周知する

院内の掲示や口頭、公式ホームページなどでキャッシュレス決済の導入を周知します。 会計窓口にポップなどを設置しておくと、気付いてもらいやすいでしょう。

歯科医院でもキャッシュレス決済の導入を

今回は、キャッシュレス決済の現状やメリット・デメリット、導入方法について解説しました。 補助金制度により導入のハードルも下がっており、現金払いの不便を感じる患者さんもいることから、歯科医院へのキャッシュレス決済の導入をおすすめします。 歯科医院の状況に応じて、適切な種類のキャッシュレス決済を導入してみてはいかがでしょうか。

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