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【2020年版】歯科医院が活用できる助成金まとめメリット・デメリットも紹介

【2020年版】歯科医院が活用できる助成金まとめメリット・デメリットも紹介
【2020年版】歯科医院が活用できる助成金まとめメリット・デメリットも紹介
歯科医院の経営を安定的に行うために、助成金を活用する場面もあるでしょう。
特に2019年末より世界中で流行した新型コロナウイルスなどの感染症の影響で、休業や売上減に追いこまれている歯科医院も少なくないのではないでしょうか。
今回は、特例の補助金を含め、歯科医院で活用できる助成金制度について解説します。

歯科医院における助成金とは?

歯科医院における助成金とは、国・地方自治体が原則として返済不要なお金を歯科医院に支給する制度です。 無条件ではなく、一定の要件クリアや申請の手続き、審査が必要です。

助成金のメリット

・要件を満たせばお金を受け取れる 補助金は、経済産業省が希望した事業者の中から選ぶため、希望者の間で競争になってしまいます。 一方の助成金は、要件を満たしてさえいれば誰とも競争せずに受け取れます。 ・労働環境を適正化できる 助成金の申請では、賃金台帳や出勤簿、雇用契約書などの労働環境に関する書類の提出を求められます。 場合によっては、10名未満の小規模な会社で就業規則を定めることも。 申請を通して、歯科医院の勤怠管理や労務管理を適切に整えることになるでしょう。

助成金のデメリット

・申請に失敗する 助成金は、原則として要件を満たしていれば受け取れます。 しかし、細かな部分で要件を外していると受け取ることができません。 たとえば、「申請までにスタッフが辞めてしまった」「計画書を出したにもかかわらず、助成金の取組みができなかった」場合などです。 申請に失敗すれば、申請にかけた時間や労力が無駄になってしまうため、注意しましょう。 ・職場で取組みをしなければならない 助成金の要件の一つとして歯科医院で何らかの取組みを求められます。 取組みは、新しい人材の雇用や、業務効率化を目的とした機器の購入などさまざまです。 取組みの内容が歯科医院の運営にマッチしていなかったり、労力がかかり過ぎたりするとデメリットとして感じるかもしれません。

歯科医院の助成金①雇用調整助成金(新型コロナ特例)

雇用調整助成金とは、雇用保険法等に基づいて従業員の失業を防ぐために歯科医院に給付される助成金です。 2020年6月現在、新型コロナウイルスの影響に伴う特例を行っています。 助成の対象者には、学生アルバイトなども含まれます。 ■助成金額 1人あたり15,000円まで/日 計算方法は、以下の通りです。 (平均賃金額×休業手当などの支払率)×助成率 助成率は、中小企業の場合は80%、解雇を行っていないなど上乗せの要件を満たす場合は100%となります。 ■受給要件 ・新型コロナウイルス感染症の影響で経営環境が悪化し、事業活動が収縮していること ・1ヶ月の売上高が前年同月比で5%以上減少していること ・労使間の協定に基づき休業などを実施し、休業手当を支払っていること ■注意点 2020年6月現在、オンラインでの受付を停止しており、都道府県の労働局またはハローワークで支給申請を受け付けています。

歯科医院の助成金②キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金は、契約社員の給与を5%以上アップし、正社員として雇用すると受け取れる助成金です。 ■助成金額 1名あたり57万円 1社あたり最大15名/年 ■受給要件 ・契約社員として6ヶ月雇用した後に給与を5%以上アップし、正社員として6ヶ月雇用すること ・対象者が雇用保険及び社会保険に加入していること ■注意点 新しい従業員を雇用した場合は、ハローワークで雇用保険の加入手続きを行います。 この際に、アルバイトやパートではなく契約社員として手続きを行いましょう。

歯科医院の助成金③人材開発支援助成金

人材開発支援助成金とは、入社5年以内かつ35歳未満の正社員が、業務につながる外部の座学研修(Off-JT)を受講することで受けられる助成金です。 ■助成金額 1社あたり1,000万円/年 ■受給要件 ・合計10時間以上の外部の座学研修(Off-JT)であること ・受講者の業務に直結する研修であること ・受講者は入社5年以内かつ35歳未満の正社員であり、雇用保険と社会保険に加入していること ■注意点 社内研修や実習、学会、研究発表会、視察などは対象外となります。 接客やマナー講習など、社会人としての基礎力を得るための研修も対象外です。 また、助成申請期間中に医院都合の解雇を1名以上出すと、助成金を受け取れなくなってしまいます。

歯科医院の助成金④企業内人材育成助成金

企業内人材育成推進助成金は、人材育成制度を導入し、継続的な人材育成に取り組む歯科医院に対する助成金です。 人材育成制度には、「教育訓練・職業能力評価制度」、「キャリア・コンサルティング制度」、「技能検定合格報奨金制度」の3つがあります。 ■助成金額 教育訓練・職業能力評価制度 ・制度導入50万円 ・1人あたり5万円 キャリア・コンサルティング制度 ・ジョブカードを活用した場合:制度導入30万円、1人あたり5万円 ・従業員をキャリア・コンサルタントに活用した場合:1人あたり15万円 技能検定合格報奨金制度 ・制度導入20万円 ・1人あたり5万円 ■受給要件 それぞれ要件が異なるため、詳しくは厚生労働省のホームページをご確認ください。 【参照】企業内人材育成助成金|厚生労働省 ■注意点 計画書の届出、細かい部分までチェックされます。 何度も手直しを求められないように作り込んでおきましょう。

歯科医院の助成金⑤労働環境向上助成金

労働環境向上助成金とは、労働環境の改善や人材の定着・確保を目的としている助成金です。 ■助成金額 導入した制度によって決まります。 ・評価・処遇制度 40万円 ・研修体系制度 30万円 ・健康づくり制度 30万円 ■受給要件 ・次の3つのいずれかの措置を取ること 1.評価・処遇制度の導入 評価・処遇制度、昇進・昇格基準、賃金体系制度・諸手当制度のいずれかの導入 2.研修体系制度の導入 業務に必要なスキルをつけることを目的としたカリキュラムの内容や時間を決めた職業訓練・研修制度の導入 3.健康づくり制度の導入 人間ドック、生活習慣病予防検診、腰痛健康診断、メンタルヘルス相談のいずれかの導入 ・労働者からの相談を受ける「雇用管理責任者」を選任し、雇用管理に取り組むこと ・計画初日の前日から6ヶ月前の日から、支給申請書の提出日までに会社都合で1名以上解雇していないこと ■注意点 解雇については、勧奨などによる退職を行うと対象外となります。

歯科医院の助成金⑥地域雇用開発促進助成金

地域雇用開発促進助成金とは、首都圏への一極集中を避け、地方・地域での雇用状況の改善を目的とした助成金です。 ■助成金額 設備・整備費用及び支給対象人数によって決まります(最大960万円)。 ■受給要件 ・「同意雇用開発促進地域・過疎等雇用改善地域または特定有人国境離島地域内の事業所における施設・設備の設置・整備及び、地域に居住する求職者等の雇い入れに関する計画書」を労働局長に提出すること ・事業用の施設・設備を計画日から18ヶ月以内に、設置・整備すること ・地域に住んでいる求職者などを、ハローワークなどの紹介から3名(創業時は2名)以上雇用すること ・計画日の前日から完了日までに、従業員が3名(創業時は2名)以上増えていること ■注意点 計画書には、「資本金額や出資の総額」や「事業所数」、「常時雇用の従業員数」などを正確に記載しなければなりません。 対象となる設備・整備費用は、20万円以上である必要があります。 収入に関わる商品や賃貸用施設、自宅などは対象外です。

歯科医院の助成金⑦両立支援等助成金

両立支援等助成金は、従業員の育児や介護などと勤務の両立、女性の社会進出の支援を目的としている助成金です。 6つの助成金コースがあります。 ■受給金額 コースや取得要件などによって異なります。 詳しくは厚生労働省のホームページをご確認ください。 【参照】事業主の方への給付金のご案内|厚生労働省 ■受給要件 ・資本金額または出資総額が3億円以下かつ常時雇用の従業員数が300人以下であること ※コースごとに細かな要件が決まっています。 ■注意点 生産性要件を満たすと、各コースの助成金額が割増されます。 要件は、「3年度前から直近の会計年度で会計の生産性が6%以上伸びていること」、「生産性1%〜6%未満伸びていて金融機関からの事業性評価を受けていること」、「会社都合で従業員を解雇などしていないこと」などです。

歯科医院の助成金⑧時間外労働等改善助成金

時間外労働等改善助成金は、労働時間短縮のために機器などを購入し、勤務間インターバルを定めた歯科医院が活用できる制度です。 ■助成金額 ・購入費用の3/4(社員数30名未満の医院の場合は4/5) ・1社1回限り最大100万円まで ■受給要件 ・「退勤〜翌日の出勤に11時間以上空けること」を就業規則で定めること ・労働効率を高める機器を購入すること ■注意点 購入予定機器の相見積もりが必要です。 相見積から価格の安い方が助成対象となります。

おまけ|歯科医院の補助金:ものづくり補助金

補助金であるため、前述の通り助成金とは異なり他の事業者と競合になる可能性がありますが、関連手続きとしてご紹介します。 ■補助金額 最大1,000万円 補助率2/3 ■補助要件 以下の要件をすべて満たす3~5年の事業計画を策定し、従業員に表明していること 1.事業計画期間中に、給与支給総額を年率平均1.5%増加する 2.事業計画期間中に、歯科医院での最低賃金を、地域の最低賃金+30円以上にする 3.事業期間計画中に、事業者全体の付加価値額を年率平均3%増加する ■注意点 要件を満たす事業計画書を作成・提出しても、必ず補助金を受け取れるとは限りません。

助成金を活用して歯科医院経営の安定化を

今回ご紹介した助成金のなかから、必要な助成金を申請し、うまく活用してみてください。 ただし、要件を満たすためにさまざまな取組みも行う必要があるため、実践の可否を踏まえて助成金を選びましょう。

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