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レーザーは、これから必須の技術
まず自分に合うレーザーを
マスターしよう

2020/12/4 臨床ライブラリ

「レーザー治療はすでに、患者さんから求められる治療法になっています」――そう語る篠木先生は、90年代初めからレーザーを導入し、これまでに各種レーザー治療器を十数台使ってこられました。レーザー治療の何よりのメリットを、患者さんに恐怖心をもたらさないことだと強調する篠木先生に、患者さんの変化や医師に求められる知識や経験などについて伺いました。

■レーザーに魅せられて、すでに30年

―先生がレーザ治療に注目したキッカケは何だったのでしょうか。

篠木先生:最初にレーザーを使ったのは1990年代初めで、炭酸ガスレーザーでした。当時のレーザーは、軟組織を対象とするものの根管治療には使えず、硬組織はもとより歯周治療にも使えないなど決して使い勝手のよい装置ではありませんでした。それでも次に出たNd:YAGレーザーを導入し、続いて炭酸ガスレーザーでモードの異なるものを購入するなど、それこそ寝ても覚めてもレーザーのことばかりを考えていました。

―それほどまでにレーザーに注目してこられたのですね。

篠木先生:94年に横浜デンタルショーで硬組織に使えるキーレーザーを見た瞬間、これだと思いました。その場で購入しようとしましたが、展示品なので販売できないと断られた。だから96年にモリタ社がEr:YAGレーザーを出すと、飛びついたのです。

―どうしてそこまでレーザーにこだわってこられたのですか。

篠木先生:開業当初から、今後の歯科で何か革新的な治療技術はないかと探していたのです。当時画期的だったのはインプラントですが、これはいずれ大学がコントロールすると予想しました。ちょうど同じ頃、医科でレーザー治療が使われるようになったのです。外科的処置が簡単にできたり止血ができるといった話を聞き、歯科でも早く使えるようにならないかと期待していました。最初に使った低出力なソフトレーザーでも手応えを感じ、高出力のレーザーを使えるようになれば、歯科治療が劇的に変わるのではないかと期待がふくらみました。

―そして各種レーザーを使ってこられた?

篠木先生:炭酸ガスレーザー、Nd:YAGレーザー、そして半導体レーザーと新しいレーザーが出るたびに、何ができるのか、どう変わるのかと興味津々で飛びついてきましたね。おかげで全種類のレーザーを総数で十数台使ってきました。

■なぜ、患者さんはレーザー治療を求めるのか

―レーザーを導入された頃の患者さんの反応はどのようなものだったのでしょうか。

篠木先生:強く印象に残っているのが、Er:YAGレーザーでお子さんの小帯切除をしたときです。従来の手法だとお子さんが動き回るため、縫合がとても難しく時間もかかります。ところがレーザーを使えば、ごく短時間で処置が終了し、しかも出血しない。術後すぐに子どもさんがしゃべる姿を見て、お母さんがびっくりされました。時間短縮については口内炎の処置などもまさに一瞬で終了、レーザーを照射した瞬間に痛みがなくなります。これも患者さんには驚かれますね。

―驚くといえば、虫歯治療も典型的ですね。

篠木先生:子どもの頃に口の中を削られたときの痛み、そのときに感じた振動や音などの記憶は、そう簡単には消えません。だから歯医者は怖いところと思う方が結構いらっしゃいます。ところがEr:YAGレーザーを使えば、そうした恐怖心を一切与えずに虫歯を治療できる。このメリットは計り知れないですね。

―とはいえレーザーは、何か危ないものと思われたりしないのでしょうか。

篠木先生:ここ数年で患者さんの認識が大きく変わったと感じます。おそらくは美容整形の領域でレーザーが普及し、また私がNHKをはじめとするテレビ番組でレーザー治療のメリットを語ったことも影響しているのでしょう。私のところでは「今日はレーザーを当てないの」とか「私の治療はレーザーだけで済みますか」などと患者さんの方から尋ねられます。ときには「先生(レーザー治療に必要な)メガネをかけなくていいんですか」と患者さんが先回りしておっしゃるほどです。各地域でレーザー治療に取り組まれる先生が増えたのも、普及を後押ししているのではないでしょうか。

■医師に求められる知識と経験

患者さんがいろいろ情報を持っているのであれば、治療を行う医師にはより確かな知識が求められますね。

篠木先生:レーザーを設置するには管理者を置く必要がありますが、装置そのものは今日買って納品されれば、明日からでも使えます。簡単に使えるからこそ、まず確かな知識と技術をしっかり身につけなければなりません。Er:YAGレーザーが保険収載されてからは、日本レーザー歯学会で安全講習会が開催され、また各メーカーも装置の取り扱いに関する講習会などを行っています。こうした機会を活用して、まずは安全確実にレーザーを使う技術を、きっちりと学んでほしい。

―学ぶ際に注意する点を教えてください。

篠木先生:装置を使う先生だけでなく、まわりのスタッフもレーザー治療について知識を深めるのがよいでしょう。それこそ受付のスタッフから衛生士さんまでがレーザーを熟知していれば、患者さんのちょっとした疑問に応えてあげられます。患者さんからすれば、先生に質問するのは躊躇するけれども、スタッフが相手なら気軽に質問できます。そんなときに、正しく答えてあげられると、患者さんの安心感は大きく高まると思います。モリタさんの講習会では今後、スタッフの方も参加できるよう企画しているところです。

―これからレーザー導入を考える歯科医にとっては、どのレーザーから始めるのがよいのでしょうか。

篠木先生:考え方はいろいろあると思いますが、まず組織に浸透しないタイプは安全性が高い。その意味では炭酸ガスレーザーかEr:YAGレーザーが選択肢となります。そのなかでは軟組織と硬組織、いずれにも使えるEr:YAGレーザーが保険収載もされているため、もっとも取っつきやすいのではないでしょうか。最近の歯科治療でニーズの大きいのは歯周治療ですから、これをこなせる点でもEr:YAGレーザーをまずマスターするメリットは大きいと思います。一つ使いこなせるようになれば、あとは地域の患者さんのニーズを考えながら、次を考えると良いと思います。逆に一つだけで何でもできると思いこんでしまうのは、ちょっと良くないですね。

■患者さんが望む治療を提供する、それが医師の喜び

―今後の歯科医療を考えれば、レーザー治療は必須となりそうですね。

篠木先生:歯科医療においては、レーザー治療があって当たり前、そんな世界になると思います。何年か後にはレーザーを備えていないと患者さんに「えっ! レーザー治療ないんですか?」とびっくりされるのではないでしょうか。

―そこまで普及するのなら、大学のカリキュラムにも入ってきそうですが。

篠木先生:既に1日コースで「レーザー治療の安全と基礎」あるいは「レーザーの各波長と実習」などのコースを実施している大学があります。同じような実習に手を挙げる大学が増えつつあり、数年後には歯科大を出た先生方ならレーザーの知識を持っていて当たり前といった時代になると思いますね。

―まさにレーザーは歯科医にとって欠かせない技術となる?

篠木先生:現時点ではEr:YAGレーザーだけですが、齲蝕治療と歯周治療について保険収載されています。これまでならレーザーを導入しているだけで差別化になりましたが、これからはあって当然の設備であり、どれだけ使いこなせるかが重要です。レーザー治療は誰よりも患者さんが求める治療なのです。患者さんのニーズに応えられるのが、歯科医としては何よりの喜びではないでしょうか。

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