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矯正治療中でも効果的な
プラーク除去が期待できる
音波式電動歯ブラシの威力

2020/7/30 臨床ライブラリ

毎分約31,000回という高速振動から生まれる音波水流の力によって高い歯垢除去効果が期待できる音波式電歯ブラシ「ソニッケアー」。しかし、その振動が矯正装置に悪い影響を与えるのではないかと心配される方がいらっしゃいます。そこで長年、矯正治療の患者さんに対してソニッケアーをご紹介されているアマリ歯科クリニック(東京都中野区)の甘利佳之院長に、ソニッケアーをご紹介する理由やお薦めする際の注意点についてうかがいました。

高速振動は矯正装置にとって悪影響?

まずはソニッケアーを導入された経緯から教えてください 実は、以前から私自身が愛用しているんです。軽く当てながら歯列に沿わせてゆっくり動かすだけで汚れがしっかりと落ち、楽なのにきれいに磨ける点が気に入っています。それこそ"ながら磨き"をすることもあるほど簡単に磨けるため、スタッフにも薦めていますし、患者さんにもご紹介しています。 どんな症例の患者さんに紹介されることが多いのでしょうか どなたであってもセルフケアは大切なので、そういう意味ではあらゆる患者さんに使っていただきたいと思っていますが、プラークコントロールが欠かせないという観点から矯正治療中の方、インプラント治療をされた方、歯周病の方には特にお薦めしています。 ソニッケアーは高速振動によって音波水流を発生させ、その音波水流によって歯垢を除去します。しかし、振動が高速であるために、矯正装置が外れるのではないかと心配される方がいらっしゃいます。甘利先生のお考えはいかがでしょうか 私は長年、矯正治療をされている患者さんにソニッケアーをご紹介してきまたが、ソニッケアーが原因で不具合が生じた例は一例もありません。例えば、セパレーティングエラスティックが脱離するのであれば、それは歯間が緩んだ状態になったというサインですから、バンドを入れるタイミングであり、仮にソニッケアーがきっかけで外れてしまったとしても何も問題はありません。パワーチェーンやエラスティックモジュールにしてもソニッケアーの力で切れるくらいなら手磨きでも切れてしまいますし、ソニッケアーによってそれほど強い力がかかっているとしたら歯牙や歯肉の方が先に傷ついてしまうでしょう。もしも、ソニッケアーが原因で外れて欲しくないタイミングで矯正装置が外れたり、切れたりするのであれば、それはむしろ施術の仕方に問題があるのではないかと私は考えます。

矯正治療中の患者さんにソニッケアーをお薦めする際のポイントは?

矯正装置が脱離する原因にはどんなものがありますか? 確かに強い力が加わることで矯正装置が外れる場合があります。例えば、ピーナッツなどの硬い食べ物を噛んだときです。食事の際の咬合力はソニッケアーと比較できないほど強い負荷がかかるので、矯正治療中の患者さんには固い食べ物を控えるようにお願いしています。そもそもソニッケアーはブラシを押し付けると音波水流が発生しづらくなるため、押し付けてゴシゴシ磨くことは推奨されていません。また、ブラシ圧は正しく使用すれば手磨きの約50%という報告があります。さらには、磨き過ぎを防ぐためのタイマーや過圧防止センサーといった機能も備わっています。もしも、振動やブラシ圧にともなうリスクがあるとすれば、正しい使い方や付随した機能を活用することで、むしろそのリスクは手用ブラシによる手磨きよりも低減されるのではないかと思います。 正しい使い方が大切なのですね。 そうですね。ただ、使い方といっても、歯と歯肉の間に対して45度の角度で毛先を当て、押しつけずに、歯列に沿ってゆっくりとブラシを動かすといった程度のことで、とくに難しいわけではありません。前述したように、私も"ながら磨き"をすることがあるほど、操作自体は簡単なものです。とはいえ、手磨きしか経験のない患者さんは長年の習慣でゴシゴシとブラシを動かしてしまうことがあるので、そうした方には丁寧に指導をする必要があります。 そのほか、矯正治療の患者さんが使用する際に注意する点はありますか? 矯正装置のまわりを磨くことを意識してもらうようにしています。通常通りの磨き方だけ、つまり「歯と歯肉の間に対して45度の角度で毛先を当てて磨く」だけだと、矯正装置の歯頸部側に汚れが残ってしまうんです。ですから、矯正装置の上下をそれぞれきちんと角度をつけて磨くように指導しています。それからワイヤーの下の歯と歯の間を磨くことも大切ですね。

一生涯を通じて毎日行うからこそ

ブラシヘッドは何を選択されていますか? 矯正治療中の患者さんには山切りカットになった「インターケア」が使いやすいと思いますが、「ホワイトプラス」も先端の毛が狭い隙間に挿入しやすかったり、「ガムプラス」も硬いブラシが苦手な方には好評なので、お薦めしています。それからこれは矯正治療とは関係ありませんが、個人的には舌磨き用のブラシヘッドのニーズがこれから増えるのではないかと思っています。というのも、最近では新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で、口腔衛生について意識をする方が増えています。口腔は全身の中でも細菌が非常に多く存在する場所で、当然舌にも多くの細菌が存在します。ですから、舌磨き用のブラシヘッドは今後、患者さんに紹介する機会が増えるかもしれません。
ご自身でも長年使用され、患者さんにもご紹介されるなかで、あらためてソニッケアーの効果をどのように感じていますか? ソニッケアーを使用している患者さんと使用していない患者さんとでは明らかにプラークの付き方が違います。ソニッケアーはとても楽に、そして簡単にプラークを除去できる点が何よりもメリットでしょう。阪神淡路大震災や東日本大震災のとき、口腔ケアが行き届かないことが原因で肺炎になり亡くなる方がたくさんいらっしゃいました。的確なプラークコントロールによって口腔内の細菌や微生物の数を抑えることは、全身的な健康を維持するためにも欠かせません。口腔ケアは一生涯を通じて毎日、行うものです。その毎日のブラッシングを効率的に、効果的に行うために、ソニッケアーは多くの方にとって役立つツールだと思っています。 ※デンタルマガジン174号(2020年9月1日号)にはインプラント治療中のソニッケアーに関する甘利先生のお話も掲載していますので、ぜひそちらもご一読ください。

<症例写真>

術前 矯正治療中の患者さんの染め出し後。ブラケットが装着されていると手用歯ブラシではプラークを落としきれない。 替ブラシ「ホワイトプラス(コンパクト)」を使用。ブラケット直下の歯面清掃には、ハンドルを立てて持つことで、毛先の先端を当てやすくなる。 替ブラシ「ガムプラス」を使用。ブラケットと歯面、ワイヤーの下にブラシを当てやすい。 術後 ソニッケアーによる清掃後。高速振動による音波水流により、ブラケット周囲のプラークも落としきれている。