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歯科医院の利益率を上げる方法は?
利益率の意味や平均利益率も紹介

2020/7/6 歯科医院経営

歯科医院の経営では、売上高だけでなく利益率も重視しなければなりません。
しかし、「利益率の計算方法を知らない」「利益率の上げ方を知らない」といった院長もいらっしゃるのではないでしょうか?

今回は、歯科医院における利益率の意味や平均利益率、利益率の上げ方について解説します。

歯科医院における利益率とは?

利益率とは、資本または売上高における利益の比率のことです。 歯科診療の売上から事業に必要な経費を差し引いた金額を指し、事業の収益性を判断する指標となります。 たとえば、事業規模が大きく、資本や売上高、利益額が高い歯科医院だったとしても、利益率で見ると小規模な歯科医院の方が良かったというケースもあります。 つまり、事業の収益性は利益額の大きさだけで判断するのではなく、資本金または売上高における利益の割合から判断する必要があるでしょう。 一般的な利益の計算方法は、『利益=売上高−経費』です。 ・売上高:保険診療と自費診療の合算 ・経費:変動費と固定費 →変動費:材料代や技工代など/固定費:家賃や人件費、リース料など。 「利益率」の計算方法は、『利益率(%)=利益÷売上高×100』です。 たとえば、商品価格5,000円・経費4,500円の場合は、利益率は10%となります。 利益=5,000(円)−4,500(円)=500(円) 利益率=500(円)÷5,000(円)×100=10(%) 商品価格が高くとも経費をかけすぎると、利益率は低くなってしまいます。 そのため、商品価格と経費のバランスを取ることが大切です。

歯科医院の平均的な利益率

厚生労働省の平成29年の「第21回医療経済実態調査(医療機関等調査)報告」の数値に基づくと、歯科医院の平均的な利益率は約15.5%と算出されます。 数値および計算方法は以下の通りです。 ※合計数値と内訳数値は、四捨五入の関係で合致しない場合があります。 ・医業収益:60,354(千円) - 保険診療収益:47,324(千円) - 労災等診療収益:32(千円) - その他の診療収益:11,971(千円) - その他の医業収益:1,028(千円) ・介護収益:252(千円) ・医業・介護費用:51,214(千円) - 人件費等:24,520(千円) - 医薬品費:619(千円) - 歯科材料費:4,633(千円) - 委託費:5,332(千円) - 減価償却費:2,806(千円) - その他の介護収益:13,305(千円) 利益額は、 医業収益60,354(千円)+介護収益252(千円)−医業・介護費用(千円)51,214(千円)=9,391(千円) となります。 これらの数値から平均的な利益率は、 9,391(千円)÷{医業収益60,354(千円)+介護収益252(千円)}×100≒15.5(%) と算出されます。

歯科医院の利益率を上げる方法

歯科医院の利益率を上げて安定経営を目指す方法を解説します。

自費診療数を増やす

自費診療を受ける患者さんを増やして利益率を上げるためには、全体の患者数を増やすか、自費診療率を上げる必要があります。 患者数を増やすために、歯科医院の本質機能と表層機能を高めましょう。 本質機能とは、歯科医院で当然受けられるサービス・機能のことで、一部でも欠けてしまうと全体のイメージダウンにつながるため注意が必要です。 表面機能とは、当然ではないがあると嬉しい機能のことで、他の歯科医院と差別化を図るためには、何か一つでも患者さんのニーズに合った表面機能を高めることが重要です。 また、院内での自費率を高めるために、カウンセリングやセールスを工夫しましょう。 スタッフから無理に売り込んで自費診療を選んでもらうよりも、患者さん自身が選びたくなる仕組みが大切です。 患者さんの持つ表面的なニーズは、「歯の痛みを消したい」「詰め物が取れた」といったもの。 しかし、「歯の痛みを予防したい」「詰め物が取れない状態にしたい」といった潜在的なニーズも抱えています。 こういった潜在的なニーズを、カウンセリングなどを通して引き出しましょう。 深層的なニーズの解決策として、予防歯科や審美歯科といった自費診療を紹介します。 1つ目のポイントは、パンフレットや価格表、治療模型、経験者の感想などの説明ツールを活用し、自然な流れで自費診療を紹介すること。 自費診療の品質や見た目、効果といった付加価値を患者さんに伝えると、自費診療を選ぶ患者さんも増えるはずです。 2つ目のポイントは、効果的なセールステクニックの活用。 例えば、「返報性の原理」は、他者からの特別なサービスやプレゼント、お礼を受け取った時にそのお返しをしたくなる心理です。 試供品をプレゼントする、患者さんの誕生日にお祝いメールを送るなどの手段があります。 「権威の信頼」は、権威を活用して患者さんの信頼を得る方法です。 有名大学の卒業や学会の所属といった経歴の掲載や、専門資格の認定書の院内掲示などの手段があります。

経費を削減する

原則、経費を削減すると利益率は高まります。 コスト削減は、以下のフローで行います。 ①削減目標とする経費額、利益率を設定 前提として、歯科医院の収支状況を踏まえて「利益率を何%にする」「経費額を月○○万円に抑える」といった目標を決めましょう。 ②歯科医院のすべての費用を分析 ・事務用品費 ・水道光熱費 ・治療材料費 ・自由診療材料費 ・フィルム代 ・廃棄物処理費 ・医療用消耗品費 ・業務委託契約(技工物・清掃・保守など)費 ・在庫管理費 ・人件費 など ③削減できる費用を抽出 取引先の変更・停止、材料の在庫調整、パートタイム・アルバイトの雇用といった手段で、削減できる費用を抽出します。 ④削減プランを立案 削減する項目を決めたら、具体的な削減プランを立てましょう。 削減プランには、スケジュール(実行期限)や担当者などを盛り込みます。 ⑤削減プランを実行 最後に削減プランを実行に移します。 以降は、プランの進捗状況を月ごとや週ごとに確認して進めましょう。 削減を実行する上で重要なことは、スタッフにコスト意識を持ってもらうことです。 スタッフは、歯科医院の予算を「自分のお金」ではなく「医院のお金」として認識しているため、経営者意識を持ちにくくなっています。 そのため、削減プランを実行に移す前に、スタッフ全員にコストについて理解を深めて協力してもらえるよう、説明の機会を設けることをおすすめします。 「利益率が下がって赤字を出すと経営危機になり得る」「スタッフの「人件費も上げられない」といった経営者ならではの視点で語ると、理解してもらいやすくなるかもしれません。 また、院長からの一方的な説明ではなく、経営に理解あるスタッフ(役職者)から説明してもらう方が、スタッフの協力も得やすいでしょう。 【関連】歯科医院経営にかかる経費の削減方法は?経費の範囲やスタッフのコスト意識についても解説

利益率を高めて安定した歯科医院経営を

まずは、歯科医院の費用や利益率を計算して現状を分析しましょう。 それを踏まえ、「自費診療を増やす」「経費を削減する」といった対策を実施します。 利益率を高めることで、歯科医院の規模にかかわらず財政的に安定した経営を行うことができるでしょう。