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ウイズコロナの時代と対策 その9
歯性病巣感染と歯科治療

2020/10/15 デンタル〇〇デザイン

病巣感染の原病巣として、"扁桃"と"歯・口腔"があげられる。



残念ながら、両者の直接的な因果関係を証明するのは難しい。
しかし、歯性病巣感染を見逃しているケースは、山ほどあるように考えている。

筆者が勤務していた岡山大学病院 小児歯科での話。
ある日、小児科から紹介状を持ち、若い小児科医と入院中の子どもが訪れた。
担当医は、病棟カルテを持参されたので見せていただいた。
そこには、教授回診で指示されたことが口述筆記されていた。
教授「いろいろな治療を試みて治らなければ、口の中に原因があることが多いので、小児歯科へ紹介しなさい」。
そこで慌てて連れてきたようである。
乳歯に多数の重症齲蝕があり、抜歯をすると症状は快癒した。
こんなケースがあると、小児科の医局でも話題になるのだろう、続けて何枚もの紹介状をいただいた。
おかげで、歯科治療で改善したケースを多数経験した。
小児科で考えられる治療を施した後なので、歯が原病巣である可能性が高かったのだろう。
まさに、医科歯科連携のおかげであった。

その中で、忘れられないケースを紹介する。
小児科から紹介されてきた4歳児、小柄で顔色も悪い。
病名は、ヘノッホ・シェーライン紫斑病。
小児に多い、全身の小血管炎で難治性の病である(現在では、IgA血管炎と呼ぶ)。
保護者の話では、大阪に居住し通院していたが、良くならないので空気の良い場所への転地療法を勧められた。
そこで両親は、仕事を辞し自宅を売り、岡山へ引っ越しされた。
しかし、こちらに来ても一向に良くならない。
そこで小児科から、紹介されてきたのだ。



まず基本は、原因歯の抜歯である。
しかし、それをすると噛める歯がなくなってしまう。
仮に乳歯義歯を作っても、年齢的に装着してくれそうにない。
この状態で、本当に抜歯することが正しいのだろうか?
悩むところである。

そこで保護者と相談し、まず根管治療後に乳歯冠を装着し、噛める口を作ることを目標とした。
それでも、症状が改善されなければ抜歯することで同意を得た。
歯冠の崩壊が著しかったが、何とか乳歯冠の装着までこぎつけた。
以後、狙い通り再発することはなかった。
彼は、その後サッカーに打ち込み、いつも真っ黒な姿をして定期健診に訪れていた。
そんな彼は、そろそろ40歳、どこかで元気に暮らしているだろう。
病巣疾患の原因歯を抜歯するか?噛める歯を作って体力を高めるか?
どちらが正しいかったか、未だにわからない。

続く