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インプラントは診断・治療とともにメインテナンスが大事!~セルフケアに音波ブラシを活用するメリット~ VOL3

インプラントは診断・治療とともにメインテナンスが大事!~セルフケアに音波ブラシを活用するメリット~ VOL3
インプラントは診断・治療とともにメインテナンスが大事!~セルフケアに音波ブラシを活用するメリット~ VOL3
―ソニッケアーを用いた症例について解説をお願いします

吉川:
今回は2つの症例をご紹介したいと思います。最初の症例は75歳の男性です。当院ではメインテンスの指標としてBOP(Bleeding On Probing:プロービング時の出血)を重視しています。その理由として、BOPは炎症の発生状況の指標になりますし、リコール間隔を決定する目安にもなります。さらにBOPを20%以下に抑えることでアタッチメントロスが生じるリスクを有意に抑制することにも繋がると考えているからです。この患者さんはセルフケアに別の電動歯ブラシを使用しておられて、最初の染め出しでも目立った磨き残しは見られずキレイな状態でした。ただ、BOPは36.96%でした。その後ソニッケアーを使用していただいたのですが、1ヵ月BOPがなぜか44.57%に跳ね上がってしまったんです。


症例1:
75歳男性、染め出し後の状態。セルフケアに別の電動歯ブラシを使用。
特に目立った磨き残しは見られなかったものの、BOPは36.96%を示していた。


ソニッケアーをお薦めし、1週間後の染め出しの状態。
BOPはなぜか44.57%に跳ね上がってしまった。

山崎:
おそらく今まで使っていた電動歯ブラシと磨き方が違ったため戸惑ってしまったのでしょう。通常、ソニッケアーのような音波歯ブラシは手磨きのようにゴシゴシ動かさずにその部位に当てるだけなのですが、この患者さんは普通の手磨きのように動かしてしまっているのではないかと思います。特に高齢の方の場合、口頭での説明だけでは理解が及ばずソニッケアーの特長である音波水流をうまく活用できていない可能性が伺えるケースでした。
吉川:
この患者さんは単冠のインプラントが入っていて、ずっとメインテナンスで診ていました。セルフケアは手磨きでされていましたが、電動歯ブラシを使うようになられたので、特別なTBIをすることなくソニッケアーをお薦めしてみたところ、一週間後にこんな結果になってしまって・・・。その後すぐに染め出ししてソニッケアーが当たっていないところをチェックして「この部分が磨けていないので注意してください」とお伝えし、その部分を重点的にTBIしました。その結果BOPは29.78%まで落ちつきました。


患者さんに、ソニッケアーの特長である音波水流やブラシの当て方などを丁寧にお伝えしながらTBIを行った。


TBI後の染め出しの状況。BOPは29.78%まで落ちついた。
一口に電動歯ブラシといっても、いろんな種類があり、それぞれの特徴に合わせた丁寧な指導が必要ということがわかった。

高齢の方の場合、次のメインテナンスまで3ヵ月とか間隔が空いてしまうと、ケアのポイントなどを忘れてしまうことが多いので、1ヵ月に1回とか、まめな方がいいと思います。特にインプラントの埋入部位は要注意事項としてお伝えしておく必要があると感じています。

もう一つの症例は、歯科衛生士学校に通う当院のスタッフです。もともと口腔内はキレイなのですが、ところどころに細かな磨き残しが見られ、BOP率は20.54%でした。特にTBIは行わず、染め出しの状況と磨き残しの部分を指摘した上で、ソニッケアーを使用してもらったところ、BOP率は16.07%まで下がりました。


症例2:
20代女性、歯科衛生士学校に通う当院スタッフの染め出し後の状況。
一見キレイな口腔内だが、ところどころに磨き残しが見られた。
BOP率は20.54%。


ソニッケアー使用後の染め出しの状況。
BOP率は16.07%まで下げることができた。

―最後にお二人の今後の抱負についてお聞かせください

山崎:
患者さんの口の中をきちんと噛めるようにして幸福な状態に持って行くというのは当然として、さらに一緒に働くスタッフが気持ちよく働ける環境づくりにもより一層力を入れていきたいと考えています。これからは、患者さんだけを見るのではなく、スタッフを含めた私たちみんなが幸せになることで、結果的にそれが患者さんにも還元できるような、そういう組織と環境づくりを意識して取り組んでいきたいですね。
吉川:
当院はいろんな年齢の患者さんがいらっしゃいますが、通院できなくなって訪問診療に切り替わる高齢の患者さんがかなり増えてきています。そんな方々を引き続き最期まで診ていくためにメインテナンスやコミュニケーションの技術を磨いて"求められる歯科衛生士"でいたいですし、今後はそうした歯科衛生士を育てていきたいとも考えています。


歯科山崎のスタッフの皆様 取材時に勤務されていた方々のみを撮影。
スタッフ全員が集合すれば40名以上になる大所帯だ。


クリニックの外観
"石切さん"で親しまれる石切神社の近くにあり、患者さんは緑豊かな庭園
を見ながら診療を受けることができる。



インプラントは診断・治療とともにメインテナンスが大事!~セルフケアに音波ブラシを活用するメリット~ VOL1

インプラントは診断・治療とともにメインテナンスが大事!~セルフケアに音波ブラシを活用するメリット~ VOL2

インプラントは診断・治療とともにメインテナンスが大事!~セルフケアに音波ブラシを活用するメリット~ VOL3

著者山崎 行庸 吉川 利恵


山崎 行庸
医療法人 山翔会 山崎歯科 理事長

吉川 利恵
医療法人 山翔会 山崎歯科 歯科衛生士

山崎行庸 先生 略歴
  • 平成11.3 大阪歯科大学卒業
  • 平成11.4 大阪歯科大学口腔外科学 第2講座入局
  • 平成15.3 大阪歯科大学大学院修了(口腔外科学専攻)
  • 平成15.6 ~平成17.3 行岡病院 歯科口腔外科 勤務
  • http://www.shika-yamasaki.jp/
山崎 行庸 吉川 利恵

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