TOP>コラム>【滅菌技士さんに聞いてみた】感染予防にもつながる『洗浄』の注意点やおすすめ商品

コラム

【滅菌技士さんに聞いてみた】感染予防にもつながる『洗浄』の注意点やおすすめ商品

【滅菌技士さんに聞いてみた】感染予防にもつながる『洗浄』の注意点やおすすめ商品
【滅菌技士さんに聞いてみた】感染予防にもつながる『洗浄』の注意点やおすすめ商品
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、各歯科医院ではこれまで以上に歯科医療器具の洗浄への意識を持つことが大切です。
感染予防を防ぐ滅菌を行う前に、まず何よりも正しい洗浄を行う必要があります。

今回は、洗浄レベルでおすすめの商品や商品の特徴、使用上の注意点などについて、滅菌技士さんにお話を伺いました。

【関連】コロナ禍の感染予防商品や選び方とは?
 

おすすめ洗浄器と洗浄方法の種類

---洗浄レベルでおすすめの感染予防商品を教えていただきたいです。 治療器具の洗浄なら、歯科専用に開発された洗浄器(ウォッシャーディスインフェクター)がおすすめです。 各家庭にある食洗機をイメージしていただくとわかりやすいかと思います。 家庭用のものとはもちろん異なりますが、医療機器特有の汚れに特化したものがウォッシャーディスインフェクターです。 使用した器具はほぼすべてこの中に入れてまとめて洗浄できます。 ★器具除染用洗浄器ウォッシャーディスインフェクターの商品ページはこちら ただし、リーマー・ファイルなど目詰まりしてしまうような器具は、超音波洗浄器による1次洗浄が必要です。 超音波洗浄器を使用すると、超微細な振動(キャビテーション効果)により、器具の細かい部分の汚れも落とすことができます。 超音波洗浄器はなくてはならない洗浄機器の1つですが、3つの点で注意が必要です。 1つ目、作動中はエアロゾルにより汚染が拡散する可能性があるので、蓋をしてください。 2つ目、ハンドピースなどの精密機器は、ネジが緩んでしまったり接合部分が外れたり、故障の原因になるので避けてください。 3つ目、超音波洗浄は目に見えない力で汚れを落としているため、経年劣化で洗浄力が衰えていても気付きません。 調べる方法として、アルミホイルを洗浄層に1枚入れてスタートしてください。 5分ほどすると小さな穴が開いてきます。 全体的にまんべんなく穴が開けば正常です。 部分的にしか穴が無い、またはまったく穴が開かない場合は、洗浄器の寿命か故障が考えられます。 ★超音波洗浄器の商品ページはこちら ---洗浄にはウォッシャーディスインフェクターでの洗浄、超音波洗浄のほかに、どのような種類がありますか? 洗浄剤とブラシやスポンジを使って手で物理的に汚れを取り除く『用手洗浄』や、洗浄液に浸けることで汚れを分解、または除去する『浸漬洗浄』があります。 ただし、用手洗浄は目視できる汚れしか除去できないこと、鋭利な器具の洗浄ではスタッフの刺傷・切傷のリスクがあること、手作業のため作業時間がかかってしまうことなどがデメリットです。 浸漬洗浄は、洗浄液の適切な温度・濃度・時間管理が必要であること、洗浄後の器具のすすぎや洗浄液の処分が必要であることなどがデメリットです。 ---ウォッシャーディスインフェクターにはどのような特徴がありますか? 歯科医院で使用される器具を想定して開発しており、かつ医療器具の洗浄・消毒できる各種基準を満たした機能や洗剤を有しているという特徴があります。 私がウォッシャーディスインフェクターをおすすめする理由は、 ①そもそも患者さんの汚れを確実に落とすことで、感染のリスクは大幅に低減できるから ②人の手による洗浄にはムラがあるから ③他の洗浄方法だと洗浄時にスタッフが感染するリスクがあるから です。

洗浄方法でよく誤解されていること

---洗浄を行う上での注意点やポイントはありますか? 必ず医療用の洗浄器と洗剤を用いることです。 家庭用の台所洗剤や、食器洗浄器を利用されている歯科医院もありますが、これは推奨できません。 化粧を石鹸で落とすようなもの、シャンプーで歯を磨くようなものです。要は用途が違うのです。 歯科医院における洗浄では、血液をお湯で洗うと凝固してしまうため、まずは血液汚れを水で落とし、血液のタンパクを溶かす専用の洗剤で洗います。 これを行えるのがウォッシャーディスインフェクターです。 ---なぜ家庭用の洗浄方法はNGなのでしょうか? 歯科医療器具を洗う工程は、一般家庭での洗い物の工程とは異なります。 歯科医院で使用する器具や設備にあった洗浄アイテムでないので、汚れが落ちなかったり、材質を痛めてしまうことに繋がるからです。 食洗機は中に入れたものをお湯で洗う機械ですし、落とす汚れの違いから洗剤の成分も異なります。 例えば、自動車を洗う際、いきなりワックスはかけませんし、化粧落とす際もクレンジング材より先に石鹸で洗うことはないですよね。 何の汚れを落とすものなのか理解した上で、目的にあった洗浄を行う必要があるというワケです。 また、洗浄できる器具類は先ほどお伝えした要領で処理することができますが、例えばスピットン周りや無影灯とそのスイッチ類、チェアのシートなどに飛散した血液は、アルコールワッテで清拭されているケースがあります。 意外と知られていないのですが、血液汚れにアルコールはNGです。 ---なぜアルコール消毒はNGなのでしょうか? 血液を赤く見せている赤血球はアルコールで拭き取れてしまうため、一見綺麗になった、と錯覚するのですが……。 血液にはいろんな成分が含まれていますので、アルコールで拭いてしまうと、目に見えないタンパク質はアルコール成分と反応して凝固してしまい、実はほぼ拭き取れていないと思っていただいていいと思います。 また、凝固し残留してまったタンパク質の内部に、汚れや感染性物質が閉じ込められてしまいます。 これにより、感染源となるのはもちろん、この部分からサビや変色が発生し、器具自体を痛めてしまう原因にもなっています。 ---ウイルスや菌を落とすには、まずは正しい方法で汚れを落とす必要があるということですね。ありがとうございました。

tags

関連記事