新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、各歯科医院ではこれまで以上に歯科医療器具の消毒への意識を持つことが大切です。 今回は、消毒の意味や種類、おすすめの商品や選ぶ基準などについて、滅菌技士さんにお話を伺いました。 【関連】コロナ禍の感染予防商品や選び方とは?ウォッシャーディスインフェクターでの消毒
---消毒とは、病原性の微生物を殺したり取り除くことを意味するのですよね。 はい。 私たちの周りには目に見えない細菌や微生物がたくさん存在しています。 滅菌がこれらすべてを殺滅・除去することを意味するのに対し、消毒はこれらのうち人体に害を与える微生物や細菌を殺滅・除去することを意味します。 ---前回は洗浄のおすすめ商品を教えていただきましたが、消毒レベルだとどの感染予防商品がおすすめですか? 洗浄と同じく、ウォッシャーディスインフェクターでしょうか。 ウォッシャーディスインフェクターは、和訳すると洗浄消毒。 熱水による洗浄を行うため、消毒も同時に行えるというワケです。 ---ウォッシャーディスインフェクターによる洗浄〜消毒フローを知りたいです。 ウォッシャーディスインフェクターを使わない場合、器材使用後は使用済み器材の分別・廃棄および付着物の除去を行い、 ・洗浄→すすぎ→消毒→すすぎ・乾燥 ・洗浄→すすぎ・乾燥→(メンテナンス)→包装→滅菌・乾燥 といったフローを経て、保管に至ります。【引用】使用済み医療器材の洗浄、消毒・除菌、滅菌フロー ウォッシャーディスインフェクターの場合、『予備洗浄→洗浄→すすぎ→熱水消毒→(乾燥)』というフローになります。 原則、滅菌を行うものについては消毒の工程は必要ありません。 しかし、大学病院など大型の病院の中材室では、「滅菌の前に少しでも菌やウイルスのn数を減らしておくことで、より滅菌を確実なものにする」という考えから、消毒してから滅菌が行われているケースもあります。 ---ウォッシャーディスインフェクターによる熱水消毒のほかにも、消毒の方法はあるのでしょうか。 薬液による消毒の方法もあります。 ただし薬液による消毒は、薬剤の種類によって菌やウイルスに対する有効性が異なることや、環境問題や健康面へ影響を与える可能性があることがデメリットです。 例えば、アルコールはコロナウイルスには有効ですが、ノロウイルスには全く効きません。 過酢酸やグルタラール、フタラールなどの滅菌レベルの高いきつい薬液は、取り扱い方法によっては人体への悪影響があるなどの問題があります。 そのほか、手作業で行うためスタッフの人件費がかかることや作業時間が必要となること、薬剤の処分・管理やすすぎが必要となることもデメリットとして挙げられます。 一方、ウォッシャーディスインフェクターは効果がオールマイティで、熱水消毒は環境負荷や人体への影響が無い点がメリットといえるでしょう。 ウォッシャーディスインフェクターによる熱水を用いた消毒法は効果的かつ経済的で、消毒薬のような残留毒性がない安全な方法です。 熱水消毒の推奨基準
---熱水消毒するにあたって、どの程度消毒できるかの基準の様なものはありますか? 被消毒物によりますが、今の世界基準ではAo‐3000以上の熱水による消毒が推奨されています。 Ao(エーノート)値とは、80度のお湯で消毒する場合の秒数に換算して消毒レベルを表す値のことです。 例えばAo-3000だと、80度のお湯で3000秒(=90度で300秒)消毒したのと同じレベルの消毒力を意味します。 WFHSS(World Forum for Hospital Sterile Service)では、B型肝炎ウイルスなど耐熱性の病原体にAo‐3000が推奨されています。 また、国際規格(ISO)でも手術用器具にはAo‐3000以上を要求しており、世界的な基準になっています。 ちなみに、世界で最も厳格なのは医療大国ドイツで、自国の基準をAo-12000に定めています。 ---モリタのウォッシャーディスインフェクターは、Ao‐3000以上という基準を満たしているのでしょうか? はい、Ao-600からAo-12000まで用途に合わせたモードの設定ができます。 なお、ハンドピースの熱水消毒にはAo-3000がおすすめです。 ハンドピースは精密機械ですので、Ao-12000はやや負荷が大きいことがわかっています。 【詳しくは商品ページをご覧いただくか、お気軽にお問い合わせください。】 ★器具除染用洗浄器ウォッシャーディスインフェクターの商品ページはこちら ---ありがとうございました。