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ウイズコロナの時代と対策 その10 新型コロナウイルス感染症と口腔乾燥

ウイズコロナの時代と対策 その10 新型コロナウイルス感染症と口腔乾燥
ウイズコロナの時代と対策 その10 新型コロナウイルス感染症と口腔乾燥
新型コロナウイルス感染症に関して興味深い研究がある。
ウイルス感染者の口腔内症状についての調査であるが、実に約46%に口腔乾燥が認められたというものだ。

Lili Chen, et al.Detection of 2019-nCoV in Saliva and Characterization of Oral Symptoms in COVID-19 Patients
http://dx.doi.org/10.2139/ssrn.3557140
この数字は、味覚鈍麻とほぼ同じとなっている。
感染の初期症状としては、嗅覚や味覚鈍麻が現れることが知られている。
これは、唾液分泌量の減少とも深く関係する。

さて口腔乾燥は、熱発が原因かもしれないし、ウイルス感染による唾液腺へのダメージも考えられる。
しかし逆に、口腔乾燥が感染リスクを高めた可能性も否定できない。
言い換えれば、唾液分泌量を増加させることは、その予防につながるかもしれぬ。

では口腔乾燥は、どのような場合に起こるのだろう?

まず考えられることは、口呼吸であろう。
常に、口が開いていれば乾燥する。
同時に、鼻の防御機構を利用できなければ、ウイルスは口から容易に侵入する。
当然、感染リスクは高まるはずだ。
また、降圧剤・睡眠薬など薬剤による自律神経系への影響も考えられる。
これは、"風邪薬を飲むと口が乾く"と考えればわかりやすい。

また唾液分泌量は、口腔周囲筋の動きにも影響される。
試しに、舌を前上方に伸し、元に戻していただきたい。

こうすることで舌下部が陰圧になり、瞬時に血液が唾液に変わる。
従って、舌を元に戻すと分泌されるのである。
同じような理由で、口を開け閉めすると、咬筋によるポンプ作用で耳下腺唾液も分泌される。

さらには、加齢により安静時唾液が減少することが知られている。
しかし、これは、顎や舌を動かすことで挽回される。
発想法を変えるだけで、唾液分泌は新型コロナウイルス感染症の予防につながることがわかる。

著者岡崎 好秀

前 岡山大学病院 小児歯科講師
国立モンゴル医科大学 客員教授

略歴
  • 1978年 愛知学院大学歯学部 卒業 大阪大学小児歯科 入局
  • 1984年 岡山大学小児歯科 講師専門:小児歯科・障害児歯科・健康教育
所属学会等
  • 日本小児歯科学会:指導医
  • 日本障害者歯科学会:認定医 評議員
  • 日本口腔衛生学会:認定医,他

歯科豆知識
「Dr.オカザキのまるごと歯学」では、様々な角度から、歯学についてお話しします。
人が噛む効果について、また動物と食物の関係、治療の組立て、食べることと命について。
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岡崎 好秀

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