審美歯科とは、
“歯や口元の美しさに焦点を当てた総合的な歯科治療のことを指します。 歯科治療には「虫歯や歯周病を治す」「よく噛めるようにする」といった機能的な側面と、「白く形のいい歯にする」「歯並びを整える」といった美観の側面があります。 この両方を満たす、美しさという観点をプラスした歯科治療が審美歯科治療です。”
【引用】日本審美歯科協会
審美歯科の治療メニューとして、歯を美しく見せる『ホワイトニング』や『セラミック』などが挙げられます。
歯科医院の経営において自費収益を上げることは大切ですし、患者さんの美容ニーズに対応できる審美歯科治療ですが、患者さんの費用負担が大きくなるため、
「審美歯科治療を勧めると、金儲けしていると思われるのでは?」
「患者さんへどう勧めればいいかわからない」
などと不安に思われている歯科医師の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、患者さんから絶大な信頼を得ている赤松歯科医院の美人歯科医師・赤松佑莉奈先生をお迎えし、歯科医院が審美歯科治療を取り入れるポイントなどについてお伺いしていきます。
審美歯科は患者さんの『歯を美しく見せたい』というニーズがあってこそ
インタビュアー
赤松歯科医院では、どのような場合に審美歯科治療を患者さんに勧められているのですか?
赤松先生
当院は保険診療をメインで行なっていますが、自費診療である審美歯科治療を勧めるケースでは、前歯の治療が多いです。
ホワイトニングや補綴治療(セラミック)などの審美歯科治療は、「見た目を綺麗にしたい」というニーズに対応する治療方法ですので、普通に話すだけでは見えにくい奥歯よりも、笑ったときや話すときに印象的である前歯に対して審美歯科治療を活用しています。
インタビュアー
前歯の治療というのはどのような患者さんに必要なのでしょう?
赤松先生
例えば、転んだりぶつけてしまって前歯が欠けた・折れた患者さんですね。
治療の流れ的には第1ステップとしてCR(コンポジットレジン修復)をして様子を見ることが多いですが、1ヶ月や長い場合では1年後などに失活してしまうことがあり、結局補綴治療をしなければならないケースが出てきます。
最初から補綴治療でいくかCRでいくかは歯科医師の方針によってそれぞれです。
失活してしまうかもしれず補綴治療をするのであれば、全部白い歯で綺麗にしてしまう方が患者さんにとって良いと判断した場合は、審美歯科治療を勧めることが多いのではないでしょうか。
一生付き合っていく大切な歯だからこそ、患者さんがどちらにするか悩んでいらっしゃるのであれば、綺麗な状態にできる審美歯科治療を勧めます。
各治療方法の良い面・悪い面をニュートラルな視点で伝える
インタビュアー
患者さんにとって、「審美歯科治療は高い」というイメージがありそうな気がするのですが。
赤松先生
たしかに、自費治療である審美歯科治療は保険適用外ですから、患者さんが保険料を全額(10割)負担する必要があります。
費用だけで見ると高いのは間違いないのですが、その患者さんが何を重視しているか?を見極め、各治療方法を患者さん自身に検討していただくことが大切になってくるのでは無いでしょうか。
無理に審美歯科治療を勧めると、やはり高いというイメージもありますので、患者さんもびっくりされてしまいます。
「こういう治療法もありますよ」という風に、いくつか治療方法を提案して各メリット・デメリットを伝えた上で、患者さんの希望を第一に施術を勧める必要があるかと思います。
インタビュアー
各治療法のメリット・デメリットというのは費用面以外でもですか?
赤松先生
そうですね。
先ほどお話しした前歯治療の補綴治療の場合を考えてみましょう。
保険適用内で前歯の治療を行うとなると、硬質レジン前装冠もしくはレジンジャケット冠にするしかありません。
ですが強度を考えると、基本的には硬質レジン前装冠を勧めることとなります。
金属は耐久性があるものの、裏側の金属色が見えてきたり、腐食してしまったりといったデメリットがありますよね。
一方、セラミックには見た目は劣化しにくく硬度が強いというメリットがあり、美しさでは勝るので、人目に触れる前歯の治療に関しては、セラミックの審美治療を勧めることが多いです。
インタビュアー
患者さん自身に治療法を検討していただくというのはどういうことでしょうか?
赤松先生
例えば、女性の患者さんだと特に見た目を気にされます。
前装冠の裏側の金属が見えるのは嫌がられるので、高くても審美歯科治療を希望されることが多いです。
反対に、お年を召されている患者さんで「見た目は気にしないよ」という方には前装冠を勧めるなど患者さんのご年齢や性格、生活状況などに合わせた治療法を選択していただくということです。
「最終的に被せる時までに考えといてください」という風にお伝えし、じっくり考えていただくことが大切かと思います。
地域性や患者さんの特性に合わせた診療を
インタビュアー
審美歯科治療をどのくらいの割合で導入するかどうかは、何基準で判断するのが良いのでしょうか。
赤松先生
まず第一に、『地域性』を考える必要があるかと思います。
地域性とは、歯科医院が位置する地域・土地特有の事柄です。
地域によって患者さんの層が異なりますよね。
当院の場合は、患者さんの幅が広く、老若男女関わらず生活保護を受けられている方から富裕層の方までさまざまな患者さんが来院されますが、地域の特性を考えた上で、保険診療(一般歯科)を主に勧めるようにしています。
地域特性を考えて治療を行わないと、長い目で見て患者さんに来てもらえなくなるリスクがあります。
「どの場所に開院しているか?」をまず考えるようにしましょう。
もちろん歯科医院によって審美歯科治療などの自費診療をメインにしているところもあり、物価が高い都心部に位置していたり、ホームページでもその旨を謳っているので自費診療を求める患者さんが集まります。
しかしながら、一般歯科(保険診療)も審美歯科(自費診療)も両方している歯科医院がはじめから自費をゴリ押ししてしまうと、地域性を無視してしまうことになります。
まずは自院が何を求められているのか考えることをおすすめします。
インタビュアー
地域性以外で、患者さんのニーズを見極める方法はありますか?
赤松先生
保険証など患者さんからいただいた個人情報から把握することが出来るのではないでしょうか。
例えば、70歳以上の患者さんで保険料3割負担だとある程度収入があり金銭的余裕がありそうな患者さん−つまり治療費が安いことが第一希望ではない患者さんには審美歯科治療を勧めても、ご負担にならないのでは?という風に。
【出典】厚生労働省
あくまで判断材料の一つではありますが、見極めるきっかけにはなるかと思います。
インタビュアー
そのほか、赤松歯科医院で取り組まれている審美歯科治療のレコメンド方法があれば教えてください。
赤松先生
季節に絡めて審美歯科治療のキャンペーンを実施したりもしています。
今の季節でいうと、春は新生活で新たな出会いも多いので、「新生活に向けて歯を白くして印象を良くしませんか?」といった勧め方ですね。
当院では2月3月にオフィスホワイトニングを安くするキャンペーンをしていまして、4〜6月はホームホワイトニングのキャンペーンをする予定です。
このようなキャンペーンを実施してボードに貼り出すなどしていると、結構患者さん側からお声がけいただくことも多いんですよ!
あとは……審美歯科治療を勧めるポイントとして、説得力という観点で女性の歯科医師や衛生士さんから勧めた方が効果があると感じています。
当院の場合、これまで院長である父のみで患者様に審美歯科治療をご提案していたのですが、私が入るようになってからは、かなりホワイトニングの患者さんが増えました。
基本的には歯科医師あるいは歯科医師の指導下にある歯科衛生士のみホワイトニングの施術を行いますが、ホワイトニングコーディネーターなどの資格を持っている歯科衛生士が指導を担当する場合もありますよ。
インタビュアー
ありがとうございました。
まとめ
審美歯科治療を取り入れる場合は、あくまで患者さんの要望を尊重し、それぞれに合わせた治療法を提案していくことが大切だと教えていただきました。
患者さんへの勧め方など、今回の記事をぜひ参考にしてみてください。
赤松先生のインタビュー第二弾はこちら↓
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