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口腔粘膜の管理を行おう!
第2回:腫脹や腫瘤について

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常在菌の役割を理解して
口腔粘膜の管理を行おう!
第2回:腫脹や腫瘤について

常在菌の役割を理解して<br>口腔粘膜の管理を行おう!<br>第2回:腫脹や腫瘤について
常在菌の役割を理解して
口腔粘膜の管理を行おう!
第2回:腫脹や腫瘤について

腫脹(部分的な膨らみ)、腫瘤(周辺全体の膨らみ)を理解しよう!

今回は腫脹や腫瘤について解説したいと思います。言葉の使い方はすごく難しいと思いますが、腫れて膨らんでいる状態の中で、組織の限局した増大物(しこり形成)に対して腫瘤とよび、びまん性な腫れを腫脹といいます。 つまり、腫瘤は部分的に膨らんでいること、腫脹は周辺全体が膨らんでいることと理解してください。腫脹や腫瘤は、形態や硬さを見ることが重要です。硬さは骨様硬、弾性軟、弾性硬などと表現し、波動や硬結を触知することもあります。腫脹を触診すると、深部に腫瘤を触知することもあります。 血腫(びまん性腫脹) 血管腫(腫瘤)

見てわからない疾患を放置しない!がんが潜んでいることも。

粘膜疾患には見てわかる疾患とみてもわからない疾患があります。線維腫、血管腫、脂肪腫ですね。特徴的な色をしていますので、ほとんどの場合が見てわかります。しかし、見てわからない疾患もたくさんあります。見てわからない疾患を放置してはいけません。がんが潜んでいることもあるからです。扁平上皮癌について、しっかり勉強している先生であれば一目瞭然ですが、扁平上皮癌以外のがんは教科書にも載っていないし、見慣れない形態をしていることが多いです。われわれ医療従事者は、この見慣れない状態をかならず解決し、がんの早期発見に努めるべきだと思います。

粘膜疾患をみるポイント!視診(色や表面性状)、触診(硬さと可動性)

その粘膜疾患をみるポイントとしては、まず色や表面性状をみる"視診"です。上皮だけの変化なのか、粘膜下の病変なのか、炎症性変化なのか腫瘍性変化なのか、嚢胞なのかを診察しましょう。乳頭腫や白板症は上皮だけの変化で、脂肪腫や血管腫、粘液嚢胞などは粘膜下の病変です。扁平上皮癌は上皮と粘膜下両方の病変です。 そして、粘膜の表面に現れる血管腫や脂肪腫は色で判断できますが、深い病変は表面に色調が見えませんので、視診では判断できない病変です。"触診"で確認するポイントは、硬さと可動性です。

がんの可能性が低い特徴的な症状とは?

ここで、がんの可能性が低い特徴的な症状について、お話ししたいと思います。まず有茎性です。有茎性の腫瘤は悪性の可能性はかなり低いと考えられます。そして、両側左右対称にみられるものも悪性であることは少ないです。その病変が改善してくると悪性でないことが示唆されます。悪性腫瘍は細胞が増え続ける病気で、腫瘍自体が減ることは少ないです。 ど真ん中に悪性腫瘍ができることはまれですが、ど真ん中に悪性腫瘍ができないということではありません。周囲と癒着がなく、可動性があるものは悪性でないことが多いです。そして、比較的軟かいものは悪性の可能性は少ないです。しかし、粘液を貯留する粘表皮癌は硬くないことがありますし、歯肉に転移した転移性肝細胞がんは、ふにゃふにゃでしたので必ずしも軟かいものが、がんではないとは言い切れないところがあります。これらの特徴は100%の特徴ではありませんので、自信がない先生は、積極的に二次医療機関に相談することをお勧めします。 なお、2021年に上梓しました拙著『常在菌との共存を考慮した 口腔粘膜疾患の診断・治療・管理』(クインテッセンス出版刊)に、疾患のイメージができるようにと思って病変のイラストをたくさん掲載しています。ご興味がある方はぜひお読みください。 参考文献 山城崇裕.常在菌との共存を考慮した口腔粘膜疾患の診断・治療・管理.東京:クインテッセンス出版,2021.

著者山城崇裕

やましろ歯科口腔外科

略歴
  • 2000年    九州大学歯学部卒業、九州大学病院顔面口腔外科勤務
  • 2006年    博士号取得(歯学博士)
  • 2008~2010年 飯塚病院歯科口腔外科勤務
  • 2010~2013年 大隅鹿屋病院歯科口腔外科勤務
  • 2013~2014年 九州大学顔面口腔外科勤務
  • 2014~2016年 福岡県内の複数の歯科医院に勤務
  • 2016年    やましろ歯科口腔外科開院(福岡県福津市)

【資格】
日本口腔外科学会認定専門医/日本口腔科学会認定認定医/歯科臨床研修指導歯科医

【所属学会】
日本口腔外科学会/日本口腔科学会/日本先進インプラント医療学会/日本有病者歯科医療学会

山城崇裕

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