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コラム

しくじり先生の小児歯科 その28 アドラー心理学のススメ 困った患者さんVs. かわいそうな私

しくじり先生の小児歯科 その28 アドラー心理学のススメ 困った患者さんVs. かわいそうな私
しくじり先生の小児歯科 その28 アドラー心理学のススメ 困った患者さんVs. かわいそうな私
9歳の男児が来院した。前歯部には多量の歯垢が付着している。



前回、歯磨き指導をしたのに、この有様だ。
これでは、すぐに齲蝕や歯肉炎になることが目に見えている。
我々は、惨憺たる気持ちになる。
                 
この様に、いくら指導をしても、思うように磨いてくれない。
これだけ言ってあげたのに、磨いてくれない・・・なんと“かわいそうな私”と思った事はなかろうか?
ここには“かわいそうな私”と“困った患者”という関係がある。
しかし、何かアプローチをしなければ「かわいそうな私」と「悪いあなた(患者)」の問題は解決しない。

ところで、聞き入れてくれない患者は、本当に悪者でだろうか?
かわいそうなのは、私ではなく患者ではないだろうか。
悪者は、あくまで齲蝕・歯周疾患・歯垢である。
例えば、病気で入院中の方がいたとする。
かわいそうなのは、その方だ。
悪者は、あくまで病気なのである。

歯が痛くて泣いて、治療をさせてくれない4歳の子どもがいたとする。
悪いのは分別のつかない子どもだろうか。
筆者は、齲蝕やそれを起こした背景だと思うことにしている。

我々の仕事は、その様な方の手助けだ。
病気を退治するために、何をすべきかを考えることが仕事である。
どうも我々は、患者を悪者にするクセを持っているようだ。
悪者を齲蝕や歯周疾患にし、患者を味方にした方が得策ではないだろうか。
まず“相手に対して何ができるか”をもう一度、整理し考え直す必要がありそうだ。
そのためには、指導する立場の我々自身が変わる必要がある。


著者岡崎 好秀

前 岡山大学病院 小児歯科講師
国立モンゴル医科大学 客員教授

略歴
  • 1978年 愛知学院大学歯学部 卒業 大阪大学小児歯科 入局
  • 1984年 岡山大学小児歯科 講師専門:小児歯科・障害児歯科・健康教育
所属学会等
  • 日本小児歯科学会:指導医
  • 日本障害者歯科学会:認定医 評議員
  • 日本口腔衛生学会:認定医,他

歯科豆知識 「Dr.オカザキのまるごと歯学」では、様々な角度から、歯学についてお話しします。
人が噛む効果について、また動物と食物の関係、治療の組立て、食べることと命について。
知っているようで知らなかった、歯に関する目からウロコのコラムです!


岡崎 好秀

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