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超高齢時代に役立つ 歯科に必要な全身疾患の基礎知識
―病気をもった患者さんが歯科医院に来たらどうする?―
第2回:全身疾患をもつ患者さんが来院されたときの初期対応

2021/1/12 臨床ライブラリ

皆さんの診療所では、初診の患者さんが来られたときに最初に何をされていますか?当院ではすべての初診患者さんに対して問診票(予診票)の記入およびお薬手帳の提出をお願いしています。その情報をもとに医療面接を行い、治療方針について検討します。医療面接では、歯科受診のきっかけとなった主訴やこれまでの歯科治療における偶発症の聞き取りが主になると思いますが、既往歴や薬剤使用歴の聴取においても非常に重要な役割を担っています。

当院で採用している問診票は、既往歴および薬剤使用歴を聴取する欄を比較的大きく取っています。既往歴の記載については高齢者の方が記入しやすいように、記載式ではなく選択式にしています。この選択式であっても記載が難しい方が多くいらっしゃいますので、その場合はスタッフが口頭で聴取しています。この既往歴聴取では、全身疾患を"ざっくり"把握することが重要です。詳しい疾患名、正確な治療経過については患者さんご本人が覚えていないことも多く、どこの病院で、いつごろから、どんな治療 (投薬だけなのか、手術などの外科的治療があったのか、など) を中心にうかがうようにしています。正確な診断名は初診後に医科へ診療情報提供を依頼し、情報提供を受ければきちんと把握できますので、初診の時点で正確にわからなくても問題ありません。

当院で使用している問診票。

お薬手帳では現在服用している、もしくはこれまで使用した薬剤名、処方医療機関について確認できます。多剤併用していることが多い高齢者では、自分の服薬内容を把握できていない場合が多々あり、お薬手帳の確認は重要です。また、お薬手帳には薬局で処方される内服薬のみが記載されていることが多く、院内で投与される注射薬については記載されていないことがあります。このため、定期的に医科の病院に通院をしている患者さんに対しては、薬剤使用歴の確認時は、"定期的に病院で注射を受けていませんか?" の一言を添えるようにしています。病院で定期的に投与を受ける可能性がある注射薬の具体例としては、抗がん剤や骨修飾薬の抗RANKL抗体があります。お薬手帳を見ることで、現在どのような疾患で医科を受診されているのかを推察することもできます。

例えば、活性型ビタミンD3製剤を日常的に服用されている患者さんであれば骨粗鬆症の治療中であることが推察されます。骨粗鬆症治療であれば併用して他の薬剤が使用されていることもありますので、手帳を数か月さかのぼって確認すると抗RANKL抗体の注射投与歴が記載されていました。薬剤関連顎骨壊死が問題となっているビスフォスフォネート製剤は週1回~年1回、抗RANKL抗体は半年に1回と薬剤によって投与頻度が異なりますので、既往歴に骨粗鬆症がある患者さんは薬剤手帳で過去の処方薬を確認しています。このように、薬剤により投与頻度が異なりますので、最新の処方内容だけではなく、過去の使用薬剤を確認することも必要です。

問診、IC用のデスク。対面での会話を重視している。 このように初診時の医療面接では、その後の歯科治療に必要なさまざまな情報を得ることができます。当科では医療面接やインフォームド・コンセントなど対話が重要な場面では、コミュニケーションがとりやすい対面式デスクを使用するようにしています。一般歯科診療所ではカウンセリングルームを整備されているところも多いと思いますが、正確な診断やトラブルのない治療のためにはできるだけ周辺の環境を整えて医療面接を行うと良いでしょう。 次回は医科との診療情報連携共有について解説します。