某保育園では、口腔機能のアップを目指して"口遊び"の取り組みを増やした。 毎日の取り組みとして"あいうべ体操"と"風車まわし"を行った。 その他"吹きゴマ"、"ストローの魚釣り"、"ストロー射的"、"フーフーサッカー"、"スイカの種飛ばし"なども行った。 給食では、職種間での共通理解を深め、調理形態や食材選びも工夫した。 また、流し込み食べを防ぐため、お茶などは食後に飲むようにした。 もちろん園児達には、よく噛んで楽しく食べるための言葉がけを行った。 当初、保育士は、硬いおやつや野菜スティックが食べにくい、食べられないという印象を持っていた。 しかし、園児がよく噛むようになると、かえって食事時間が短くなった。 これは、噛まない・いつまで経っても飲み込まない園児が、短時間で食べるようになったためである。 さて、これら5か月間の取り組みにより、園児の口腔機能はどの程度発達しただろう? 取組み前に、"ろうそく吹き消し"・"吹き戻し"テストにより客観的に口腔機能を把握していた。 これを取り組み後と比較してみた。 10cm離れたところからの"ろうそく吹き消し"テストは、当初3歳児の52%であったが、約80%まで消せるようになった。 30cmになると3歳児では少々難しいようである。 しかし、5歳児になると当初54%であったが、85%まで可能となった。 次に"吹き戻し"テストについて見てみよう。 これには、レベル0(白 超低負荷型)、レベル1(ピンク 低負荷型)、レベル2(青 高負荷型)の3段階がある。 レベルが上がれば、強度もあがり吹けない園児が増加する。 レベル0は、すべての年齢においてほぼ全員が可能であった。 3歳児では、当初レベル1は59%が吹けたが、89%までが可能となった。 また、4・5歳児でもほぼ全員が可能となった レベル2になると強度が上がり、各年齢群で吹けるのは約10~20%であった。 しかし、5歳児では取組み後に約65%が可能となっていた。 以上の様に、"口遊び"により小児の口腔機能が向上することがわかる。 また、これらのテストは、その客観的指標になることがわかる。 続く
著者岡崎 好秀
前 岡山大学病院 小児歯科講師
国立モンゴル医科大学 客員教授
略歴
- 1978年 愛知学院大学歯学部 卒業 大阪大学小児歯科 入局
- 1984年 岡山大学小児歯科 講師専門:小児歯科・障害児歯科・健康教育
- 日本小児歯科学会:指導医
- 日本障害者歯科学会:認定医 評議員
- 日本口腔衛生学会:認定医,他
歯科豆知識
「Dr.オカザキのまるごと歯学」では、様々な角度から、歯学についてお話しします。
人が噛む効果について、また動物と食物の関係、治療の組立て、食べることと命について。
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