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超高齢時代に役立つ 歯科に必要な全身疾患の基礎知識
―病気をもった患者さんが歯科医院に来たらどうする?―
第3回:上手な診療情報連携のしかた

2021/1/26 臨床ライブラリ

有病高齢者の歯科治療時に欠かせないのが、医科主治医との診療情報のやりとりです。今回は、医科へ情報提供を依頼する際に注意したい点についてご紹介します。

平成30年度診療報酬改定で診療情報連携共有料(以下、情共)が新設されました。すでに活用されている先生も多いと思いますが、情共の概要について簡単にご説明します。情共は、歯科と医科との間で診療情報を共有することにより、質の高い診療が効率的に行われることを評価するものです。慢性疾患を有する患者さんまたは歯科診療にあたり、特に全身的な管理の必要性を認め、検査結果や診療情報を確認する必要がある患者さんにおいて、その同意を得て別の保険医療機関(医科)に診療情報提供を文書により求めた場合に算定できます。レセプト摘要欄には連携先医療機関名を記載します。

なお、診療情報提供料Ⅰ(以下、情Ⅰ)は別の医療機関での診療の必要がある際に、文書で患者さんを紹介したときに算定し、診療情報の照会では算定できません。情共と情Ⅰを混同して算定されている例がありますので注意が必要です。


診療情報連携共有料と診療情報提供料Ⅰは混同しないように注意が必要。

診療情報提供依頼書については特に規定の書式はありませんが、歯科治療に際して必要な内容について網羅しておく必要があります。当院で使用している雛形では、歯科病名、歯科で予定している治療内容、医科の診療情報提供が必要な理由、提供していただきたい情報について記載するようにしています。


当院で使用している診療情報提供依頼書。

私は現在、総合病院内の歯科口腔外科に勤務しており、医局ではさまざまな診療科の医師と日常的に接しています。その中で、医師からしばしば相談されるのが"歯科診療所からの診療情報提供依頼にどう対応したら良いかわからない"ということです。医師を困らせている原因を挙げると、歯科特有の疾患名や歯式がわからない/処置名を書かれても何をするのか、どの程度の侵襲なのかが不明/治療方針について聞かれるが、歯科としての治療方針が一般的にどうなっているのか?/など、いずれも歯科側からの情報提供不足に起因していることが多い印象です。中でも、"抜歯をしてもいいでしょうか?抜歯しても良いのならいつしたらいいですか?"という質問は、歯科の治療内容に特に詳しい医師以外は非常に回答に困る質問だと思います。

では、どうすれば医科の先生とスムーズなコミュニケーションをとることができるでしょうか?まず、治療方針は歯科として立案し、全身状態に応じた対応策を考え、そのうえで留意すべき点などをうかがうような形式としましょう。たとえば抗血栓療法患者の抜歯に関するガイドラインや、骨吸収抑制薬関連顎骨壊死のポジションペーパーなどは歯科医師として把握しておく必要がありますし、治療方針立案に際して非常に参考になります。診療情報の提供を依頼する際は、ガイドラインの中で参考にした部分を抜粋して簡潔に記載しておくと歯科専門職としての考えがよりよく伝わると思います。また、歯科特有の薬剤商品名 (特に局所麻酔薬)や歯式表記は避け、処置の内容も歯科専門職以外に説明するようにわかりやすく記載すべきでしょう。

次回からは疾患別に注意すべき点を挙げていきたいと思います。