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超高齢時代に役立つ 歯科に必要な全身疾患の基礎知識
―病気をもった患者さんが歯科医院に来たらどうする?―
第1回:超高齢社会で一般歯科診療所に求められること

2020/12/25 臨床ライブラリ

日本では現在急速に高齢化が進行しています。総務省統計では2018年の時点で65歳以上の高齢者は人口の28.1%を占めており、今後も増加が予測されています。高齢者の増加により、要介護者の増加が特に問題視されていますが、一方で外来通院のできるADLの自立した高齢者も多くいます。一見健康で外来受診ができる高齢者も、加齢によりさまざまな疾患を抱えていることがあります。皆さんも外来診療中に全身疾患をもった患者さんの診療をされることが多くなっているのではないでしょうか。


高齢者人口および割合の推移(平成30年総務省統計局データ)。

私は現在、福岡県南部に位置する公立八女総合病院の歯科口腔外科に医長として勤務しています。当院は23の診療科がある急性期総合病院で、地域がん診療連携拠点病院、地域医療支援病院として地域医療の中核を担っています。私の所属する歯科口腔外科は、地域の一般歯科診療所から口腔外科疾患や有病高齢者の観血的治療など、一般歯科では対応が難しい患者さんの紹介を受ける地域歯科診療支援病院として稼働しています。当院を含む八女筑後医療圏は高齢化率が30%を超えている超高齢化地域であり、受診される患者さんの多くは65歳以上の高齢者で何らかの全身疾患を抱えています。そのため、医科で治療中の方が来院されることも多く、服薬管理やバイタルサインのモニタリングなどを適宜行いながら歯科治療にあたっています。入院中の患者さんで車椅子移乗が難しい場合はベッドやストレッチャーのままで診療室へ搬入して、バイタルサインの管理をしながら治療を行うこともあります。


筆者の所属する公立八女総合病院。

平成30年度診療報酬改定で、全身的な管理が必要な患者さんの診療にあたり、医科と診療情報連携を行う診療情報連携共有料が新設されました。医科歯科間での診療情報連携は、いま歯科医師に強く求められていることの一つとなっています。医科では旧来の診療科毎の診療ではなく専門領域や職種を超えた診療体系が標準化されてきています。しかし、歯科ではいまだに診療所単位での診療が多くを占めており、他科との連携がなかなか進んでいないのが現状です。平成29年に厚生労働省より提言された歯科保健医療ビジョンでは、病院所属の歯科医師は歯科疾患に対する外科手術のみならず、医師などの他職種と連携を図りながら歯科医療を行うことが求められています。今後高齢化がより進行するとともに、総合病院内の歯科医師だけではなく一般歯科診療所の歯科医師でも医科との連携が重要になってくると思います。そのためには、すべての歯科医師が医科疾患の基本知識を得て、自分たちで歯科治療時に必要な対応策を考え、医師と診療情報のやり取りをする必要があります。


ベッド上での歯科治療風景。

本連載では、医師とのやり取りを行うにあたって必要な全身疾患の基礎知識と、実例を交えた症例ごとの対応について述べたいと思います。次回は全身疾患をもつ患者さんが来院されたときの初期対応についてご紹介します。