TOP>NEWS>2021年2月のピックアップ書籍

NEWS

2021年2月のピックアップ書籍

2021年2月のピックアップ書籍
2021年2月のピックアップ書籍

ホワイトニングの奥深さを知ることができる1冊
『リピート化するホワイトニング・クリーニング ホワイトエッセンスが実践する技術&ノウハウ』

「白い歯」はすべての患者にとってニーズのある分野であると考えている。そして天然歯の患者においては、自身の歯の色を「白くきれいでかつ健康的な美しい歯」にされたいのは至極当然である。そのような観点から考えると、すべての歯科医師が基本情報的に抑えておきたいのが歯のホワイトニングの正しい知識である。しかし、どのホワイトニングをどのように行ったらよいのかの指南書はさまざまであった。 ホワイトニングのリーディングカンパニーといえば"ホワイトエッセンス"であると患者、ドクターともに国内での認知度も高く、誰もがその名前は聞き覚えがあると思われる。そしてホワイトニングで特化した診療体系を長年にわたり構築し、多くの患者のニーズに応えている事業展開をされている。 今回新たに発売されるこの本にはその虎の巻ともいえる長年の企業努力の集大成である自社開発のホワイトニングのワークフローが惜しみなく記載されている。ただ歯を白くするだけでなく、美しく白くすることに着眼点を置いているところも大変勉強になる。 ホワイトニングのアプローチはオフィスホワイトニングがよいとか、ホームホワイトニングがよいとか、両方がよいとか、認識もさまざまではないかと考えている。事実、当院でも両方を行っていた時期もあったり、ホームホワイトニング単独で行っている時期もあった。しかしホワイトエッセンスで現在行われているルーティンワークをまず実践してみたいと本書を読ませていただいた後の率直な感想である. ただ歯を白くするというだけでなく、メインテナンスからマネジメントまで、さらには自費診療への移行など、ホワイトニングを主体としたさまざまなアプローチが記載されている。さらに読んでいて刺激となり、おもしろいのが、ホワイトニングのメカニクスが詳細に記載されており、ホワイトニングのプロ集団としてのプライドが垣間見られるところである。 われわれが専門としているアライナー矯正治療を希望される患者は、矯正治療期間中もしくは矯正治療後にホワイトニングを希望されることが大変多い。それは、アライナー矯正治療が矯正治療期間中にもホワイトニングを行うことができることから、多くの患者に喜ばれるゆえんである。 今後、アライナー矯正治療を希望される患者が増加することは間違いないだろう。それにともないホワイトニングのニーズや要望がさらに増加することは予測できる。この本は、今後さらに多くのニーズがあるであろうホワイトニングを希望される患者に対応する医院づくりに欠かせない1冊であり、ドクターだけでなくスタッフにも教育の一環として読んでもらうべき1冊である。 今まで知らなかった知識も含めて、ホワイトニングの奥深さを知ることができる1冊である。 評者:尾島賢治 (東京都・スマイルイノベーション矯正歯科) 大河原典果・著 クインテッセンス出版 問合先 :03‐5842‐2272(営業部) 定価本体:7,500円(税別)・128頁

受傷歯の状態をデータで可視化して管理できることを教えてくれる初めての書
『歯の外傷で小児が来院したら泣いてた親子を笑顔で帰す』

歯の外傷患児の来院は、とかく忙しい時間帯の急患であり、「まいったなあ」と感じたことがよくある。また、外傷は日常臨床で頻度が低いだけに、馴染みが薄い領域でもある。しかし、本書のCHAPTER1を開けば、まずは初回診療を適確に乗り切ることができるであろう。ひと息ついたら、CHAPTER2以後も参考にすれば、次回来院時の対応にきっと自信がもてるし、保護者からの鋭い質問に対しても、難なく答えられるようになる、と思われる。 このように本書の第1の特徴は、実践知の本だということである。これは、著者が大学病院で小児の"歯の外傷専門外来"を担当しながら得た知恵と、脱臼や破折露髄、脱落再植、歯根破折、歯根吸収、受傷乳歯とその後継永久歯について、それぞれ約10年間の長期観察を行った症例の集積研究による成果が生かされているからである。 また,第2の特徴は、"小児の歯内療法"の記載が詳しいことである。歯内療法は外傷歯につきものながら、学生時代に習うのは断髄どまりである。しかし、本書は、覆髄から乳歯の根管治療、apexification、外科的歯内療法に至るまで網羅している点で、他に類をみない。とくに、乳歯や歯根未完成歯の歯根破折における電気的根管長測定法と"新たな露髄診"の活用法は、う蝕治療にも欠かせない知見である。そのうえ、診査法も小児にやさしいだけでなく数値化されている。つまり、歯髄の生死は電気診・歯髄脈波(血流)診査・冷温診などを総合して診断し、ペリオテストを用いた動揺度測定・歯根膜プロービングなど、受傷歯の状態をデータで可視化して管理できることを教えてくれる初めての書ではないだろうか。 さらに、第3の特徴は、新しい修復法が紹介されている点である。なかでも歯冠破折片の接着法や歯内療法後の修復として乳歯冠を使わない"乳臼歯の審美的修復法"など、現代のおしゃれな子どもに適した課題への対応が紹介され、興味深く読んだ。 その他、学生時代は学ぶことが少なかった受傷歯の病理についても、損傷と治癒、歯根吸収などが解説されている。これらは、実験動物を用いた"規格化された歯の損傷モデル(脱臼と歯根破折)"による著者の研究成果に基づいて解説されており、今後さらなる解明が期待される。 やさしげな書名に、もうすこし軽い内容を想像される読者もいるかと思われるが、海外の教科書とは異なるオリジナルの内容が満載され、なおかつ"日本人の子ども観"を垣間見ることができた。というのは、欧米やWHOの外傷歯治療ガイドラインが乳歯の保存に消極的であるのと対極的に、乳歯でも全力で守るという小児と家族へのきめ細かな心遣いが行間に見え隠れするからである。 本書が多くの読者に裨益し、わが国において外傷歯治療が適切に行われ、それこそ副題に掲げられた"親子の笑顔"が増えることを大いに期待している。 評者:林 正規 (岐阜県・林歯科医院) 宮新美智世・著 クインテッセンス出版 問合先 :03‐5842‐2272(営業部) 定価本体:8,000円(税別)・140頁

tags

関連記事