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第1回:なぜ内科医師が歯科に興味をもち、
歯科受診を勧めるに至ったか

コラム

医科歯科ボーダレスな診療を目指して
第1回:なぜ内科医師が歯科に興味をもち、
歯科受診を勧めるに至ったか

医科歯科ボーダレスな診療を目指して<br>第1回:なぜ内科医師が歯科に興味をもち、<br>歯科受診を勧めるに至ったか
医科歯科ボーダレスな診療を目指して
第1回:なぜ内科医師が歯科に興味をもち、
歯科受診を勧めるに至ったか
読者の皆様、はじめまして。今回から6回にわたり記事を書かせていただく機会をいただきました消化器内科医師の細田正則と申します。私は京都市の南東に位置する宇治市六地蔵の地に2011年に内科・消化器内科を標榜する医院を開業しておりますが、診療方針のひとつが医科歯科ボーダレスでシームレスな診療です。

好きなことは、胃カメラをすることと口腔内をみること。見えるものは全部読み取りたいと思っています。

当院のミッション・理念
・健康や老化、病気の源泉に眼を向け、患者さんのヘルスケアパートナーになること
・歯科口腔衛生の向上により、健康長寿を実現するお手伝いをすること
・患者さんと他のドクターの役に立つこと

歯科医院みたいですね。でも医療機関のミッションに医科と歯科の境界はないですよね?医学部を卒業して15年目ぐらいから、いずれは開業して地域医療に継続的にかかわりたいと思い、この開業コンセプトをあたためてきました。

今でこそ、医師に歯科受診を勧められることは珍しくなくなってきたと思いますが、2010年頃までは、医師に歯科受診を勧められることは稀だったように思います。

なぜ歯科医師でない医師である私が、歯科口腔に興味をもち、そこにこだわり、歯科受診を積極的に勧めるようになったのか?その経緯をお話しましょう。

生まれてからの歯科的医療体験を年代順に振り返ってみます。人生において初めて歯科受診をしたのはおそらく小学生の時です。人生で出会った1人目の歯科医師は京都市中京区にあったT歯科医院の院長先生。臼歯部にう蝕があり、削ってアマルガムを詰める治療を受けました。

人生2人目の歯科医師は京都府立医科大学附属病院歯科部長のO先生。先生は京都府立医科大学医学部もご卒業されていて、医師免許と歯科医師免許のダブル・ライセンスだと同大学内科にいた父から聞いていました。子ども心に医師と歯科医師のダブル・ライセンスに憧れたのを記憶しています。附属病院歯科については、関節リウマチを患っていた母の付き添いでちょくちょく訪れていましたが、私自身もそこで診療を受けました。この幼少期の体験が歯科医療に興味を持つ最初のきっかけでした。

人生3人目の歯科医師は、出町柳の近くで開業されているF先生。大阪大学歯学部でご研鑽された先生は法歯学にも詳しく、多くの警察関係者を指導されていたと聞きました。実は私には顎関節症の持病があるのですが、生まれて初めて顎関節症とし診断していただいたのがこのF先生です。医学部6回生で病院実習や国家試験勉強で忙しくしていた時に、開口障害・クリッキング・顎二腹筋の痛みなどの症状で発症、顎関節症という診断で、スプリントを作っていただきました。はめ心地の良いものではなかったのですが、とりあえず1ヵ月ほどで病状は小康状態になりました。顎関節症はその後も周期的に悪化と寛解を繰り返すことになります。このことがその後の私の診療に大きく関わることになるとは、当時の私は思いもしませんでした。研修医から大学院生の頃にF先生の医院の隣のビルに住んでいたこともあり、親しくさせていただきました。

その後、1990年に京都府立医科大学を卒業し医師免許を取得、大学附属病院の研修医として医師人生を歩み始めました。この時代は今と違って、卒後2年間の研修医の時点で、診療科を決めて入局するのが一般的でした。

内科医師となった1990年当時、内科医としても歯科口腔をみることの大切さを実感する症例との出会いがありました。大学附属病院内科を受診した「不明熱」の若い女性患者さん、私の同僚が主治医でした。血液検査、尿検査、喀痰検査、X線検査、CT検査、髄液検査まで、ありとあらゆる検査をされたのですが、原因が特定できず……。その後、やっと歯科へ対診して歯科口腔領域の感染症が見つかったのでした。最初の段階で内科医師に歯科口腔を観察する習慣や歯科の知識があればと実感しました。

また日々の消化器内科の診療で気づいたこともありました。ピロリ菌と胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胃癌との関連がまだ十分にわかっておらず、胃潰瘍や十二指腸潰瘍は再発を繰り返し、入院加療される方も少なくありませんでした。胃潰瘍や十二指腸潰瘍と診断され入院した患者さんは、しばらく絶食で点滴加療となりましたが、義歯があると、主治医や担当看護師が「当分は絶食なので入れ歯は外しておきましょうね」と言って、義歯を外して保管することが日常的でした。2週間ほどして経口摂食が始まり、退院する頃には、入れ歯を再度入れてもらうと合わなくなっていることがありました。

もともと歯科口腔に興味があったのと、「消化器は口腔に始まる」とよく言っていた内科医であり教育者でもあった父親の影響もあり、研修医の時にはすでに診察法の基本として口腔内視診を行っていました。すると内科を受診される患者さんは、残存歯が少なく口腔衛生の不良や、適切な補綴物が作製されていないことが多いことに気づきました。

このようなことから歯が悪い人、口腔衛生が不良の人は病気がちなんじゃないかなと思うにいたり、もっと歯科口腔のことが知りたくなったのです。この続きは次回にご紹介したいと思います。

著者細田正則

ほそだ内科クリニック 院長・医師・医学博士

略歴
  • 1964年 米国ミシガン州生まれ
  • 1990年 京都府立医科大学卒業
  •     医師免許取得
  •     京都府立医科大学第三内科(現在の消化器内科)入局
  • 1998年 京都府立医科大学大学院修了 医学博士号取得
  • 2011年 ほそだ内科クリニック 開院
所属学会・専門医など
  • 日本内科学会認定内科医
  • 日本消化器病学会認定消化器病専門医・指導医
  • 日本消化器内視鏡学会認定消化器内視鏡専門医
  • 日本医師会認定産業医
細田正則

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