Dental Life Design

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医科歯科ボーダレスな診療を目指して
エピソード2:第4回 医科から
歯科に紹介するときに気をつけていること

2021/9/28 デンタル〇〇デザイン

日々の内科診療で口腔をみていて、さまざまなことに気づかされます。

口腔に限らず健康といっても、実はその人の知識や認識、価値観によって、「その人にとって健康な状態」はさまざまです。

氷柱(つらら)のような歯石が付着していて、多数欠損があって、歯科補綴物が脱離していても、「痛くないし、ご飯を食べられるから問題ない」という方もいらっしゃいます。

そういう患者さんをみても、残念なことですが多くの医師は何も感じないし、何も言わない現実があります。いや、そもそも扁桃腫大や咽頭粘膜発赤を確認したい場合以外は、口をみていないのもしれません。

良い口腔衛生を保ち、口腔機能を維持することが、健康長寿に寄与することは明らかになりつつあります。さらなるエビデンスが報告されている現状からも、医科歯科にかかわらず、医療者としてそこにかかわることは当然だと思っています。

歯科医療者がアプローチできていない人(言い方を替えれば歯科医療にアクセスできていない人)に接することの多い医科医療者には、その特徴と重要性に気づいてほしいと思います。

歯科受診した方が良いのに受診しない患者さんには、いくつかのパターンがあります。そのうち代表的なものが以下の2つです。

歯科口腔衛生に対する認識が欠如している

それは多くの場合に、歯科口腔にとどまらず、全身の健康に対する認識が欠如している方といえます。世の中には一定の割合でいらっしゃるように思います。

内科医師の立場で、歯科受診のきっかけとなり、口腔衛生の向上・維持の動機づけをすることは、「口腔の健康が全身の健康につながる」ということを説明しやすく、自院の利益誘導ではないこともあってか、案外患者さんの受け入れは良好です。

過去の歯科治療がトラウマになっている

長年、内科診療の中で口をみて歯科受診を勧めていて気づいたのですが、歯科を受診しない患者さんの中には、歯科治療を受けた方が良いことはわかっているが受診していない方が一定数いらっしゃいます。

このような方に「歯科を受診した方がいいですよ」と言ったところで、おそらくは受診されません。では、どのように説明すればよいでしょうか。

そもそも口腔衛生の面でも口腔機能の面でも問題が明らかな場合、その話題を切り出すところで細心の注意を払っています。

いきなり口や歯の話はしません。診察の終わりがけに「歯科受診とかされていないみたいですが、過去に何かあったんですか?」とお声がけします。

すると話し始めていただけることがあります。過去の歯科治療がトラウマになっていて歯科を受診できない、指を口に入れられると思っただけでも怖いなど……。

さらにお話を聞くと、「本当は歯科治療を受けたい」という本音を話していただけることもあります。

そこまで聞いたら何とかしてあげたいですよね。私は歯科医師ではないので、うちで治療できるわけではありませんが、私が信頼している歯科医師・歯科衛生士につなぐことならできますよとお話しします。

次回受診までに紹介状を下書きしておきます。次回までに決心がついたらご紹介しますので、決心がつかなくても構いませんとお伝えします。

そういう患者さんを歯科医院に紹介するときには、診療情報提供書に以下のように書きます。

・今回歯科受診をされたことを褒めてください。
・これまで放置していたことを叱ったりたしなめたりしないでください。
・患者さんと信頼関係ができるまでは、診査や治療にとりかからず、場合によっては、口腔内に手指をいれることも控えてください。

なぜこのようなことを診療情報提供書に書くかということは、歯科医師・歯科衛生士であればご理解いただけますね?

医科歯科連携が進むなかで、医師が歯科医院に紹介状を書く機会が増えていくと思います。

また、これは歯科に限らず、医科の診療でも大切なことと気づかされます。ご参考になればと思います。