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エピソード2:第3回
胃カメラ検査と歯科治療は似ている?

2021/9/1 デンタル〇〇デザイン

突然ですが、胃カメラ検査を受けるのが好きな方っていらっしゃいますか?

細径の経鼻内視鏡もありますので、そんなに辛くなかったよという方もおそらく少なくありません。でも胃カメラが「楽しい!」とか「大好き!」という方はいらっしゃらないと思います。

では、歯科治療はどうでしょう?

歯科治療といってもいろいろあるかと思いますので、カリエスの治療としましょう。歯科治療が楽しいとか大好きって人は稀だと思います。

医師になって30年以上胃カメラ検査を行ってきましたが、「胃カメラ検査と歯科治療って似ているかも」と思っています。

今日はその似ていると思ったことについてご紹介します。


検査中に唾液が溢れてきて飲み込みたくなること

歯科治療中に唾液が溜まってきて、飲み込みたいけど口を開いたまま嚥下するのは難しいし、ヤキモキすることってありますよね。良いタイミングで歯科助手さんがバキュームで吸い取ってくれると、「待ってました!」と心の中で思うほど本当にうれしいですね。

胃カメラ検査、特に経口挿入の場合は、唾液が溜まってくるのが辛いです。左口角を少し地面方向に向けて、ダラダラと唾液を流すと良いのですが、意外と難しいです。うっかり唾液を飲み込むと、えづきます。

経口挿入で胃カメラを楽に受けるコツの1つが、「咳をしないこと、唾液を飲み込まないこと」です。


患者さんを押さえつけないこと

胃カメラ時に手足や身体を動かしてしまう患者さんもいます。これも歯科治療でもありますよね?動かないように患者さんを押さえることも時に必要であることには、私も同意します。しかし、顔や顎を強く押さえられると、患者さんも力が入ってしまうのではないでしょうか?口腔内での舌圧子や指での舌の排除でも同様だと個人的経験からも思います。

私は胃カメラ検査中に動く患者さんに対して、介助するスタッフにけっして患者さんの手足をつかまえたり、体を強く押さえたりはしないように指示しています。

その理由は、つかまえたり、押さえたりすると、患者さんはもっと力が入ってしまうからです。つかまえるのではなく、そっと手を添えておき、動いたらすかさずつかまえるという構えで臨みます。声かけや背中をさするなどすればさらに効果的です。

過去に辛い検査を受けたことがある患者にお話をうかがうと、手足をつかまえられたり、押さえつけられたりしたことがある患者さんが少なくなくありません。知らず知らずのうちに辛い検査にしていることがあるように思います。

さて、歯科医師・歯科衛生士の皆さま、いかがですか?

処置の時に患者さんが動くとやりにくいですし、危ないですから、押さえることも時必要かとは思いますが、知らず知らずのうちに強く押さえてしまっていませんか?顔や顎を押さえられると、どうしても体に力が入ってしまいます。

絶妙な力加減でそっと触れるように押さえてくださる歯科医師・歯科衛生士もいらっしゃいます。きっと私と同じように考えておられるのではないかと推察します。


患者さんへの声かけ、否定語は極力使わない

胃カメラ検査中には、内腔を観察するため送気して胃を膨らませます。ゲップが出ると胃がしぼんでしまいますから、多くの医師や看護師は「ゲップはしないでください」と言います。しかし私はけっしてそうは言いません。なぜかというと、胃カメラなどの患者さんの負担のある検査中には否定語、否定表現を使うと患者さんは緊張しますし、辛い思いを感じやすいからです。

ある時期までは「ゲップをしないほうが検査が早く終わりますよ」と声かけしていました。開業した10年前ごろからは「ゲップしてもいいですよ」と声かけしています。

もちろん本当はゲップしないほうが良いのですが、患者さんがゲップしないように思うと、かえって緊張してしまってゲップしてしまうと気づいたからです。「ゲップしてもいいですよ」って言っても、ほとんどゲップされないまま検査が終了します。

緊張で力が入っている患者さんでも肩をなで肩にして力を抜くと、のどの不快がちょっと楽になります。そういう時にはすかさず「上手ですね」と声かけします。実は上手ではない方でも「上手ですね」というと、上手に飲んでくださることが少なくありません。

胃カメラ検査の快適さには、医師のていねいな操作、介助する看護師や検査室にいる他のスタッフの雰囲気など、すべてが関係していると思います。

歯科診療室での治療にも通じるところがあるのではないでしょうか?