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地域に求められる歯科医院の未来
第1回:はち歯科医院における理想の地域医療への現在地

2021/10/29 デンタル〇〇デザイン

私は福岡県大野城市の「はち歯科医院」の理事長をしています。はち歯科医院は開院して9年目になります。2012年2月に「はち歯科医院」という屋号でスタートを切りました。最初は従業員2名でした。その後、医院を拡張して現在は従業員35名の大所帯の歯科医院になりました。もちろん、大きく拡張することだけが歯科医院の正解ではありません。拡張して良かったことも悪かったこともあります。しかし、地域の支えなくして、拡張することはできませんでした。

地域医療の軸を決める医療理念の構築

私は常々、歯科医院の前にいち企業であるべきだと考えています。企業とは、営利を目的として一定の計画に従って経済活動を行う経済主体であります。そして企業活動の目的を稲盛和夫さんは次のように定めています。 「全従業員の物心両面の幸福の追求と人類社会の進歩発展への貢献」 稲盛さんの考えを私なりに解釈すると、企業活動は従業員の幸福の追求と社会貢献の為に必要であるとおっしゃられています。私は、従業員の幸福の追求と社会貢献が歯科医院という小さな組織でもできるように「患者さんを大事にし、従業員を大事にし、歯科医院を大事にし、地域を大事にし、自分を大事にする」という、「5つの大事にすること」をつくりました。これをもとにつくったコンセプトが「地域医療」×「家族」×「教育」×「物語」です。 地域医療とは、地域の人の医療を担保し医療水準を向上するだけではなく、地域の健康リテラシーの向上も行う必要があると考えています。さらには、地域の雇用を生むことで、地域社会の発展に貢献します。私は前述した4つのコンセプトから以下の4つの医療理念を掲げました。 1.一人ひとりの物語を紡ぎ、その人にあった予防や医療を提供する 2.家族で健康を守るという考え方を広め、身体と心の健康を守る 3.医療に「教育」という概念を取り込み、健康の知識をみんなで共有する 4.200年続く医療機関を目指す そして、従業員の幸福の追求のために、従業員のための環境デザインを作りました。歯科医院は女性が多いので、女性のライフスタイルにあった場の提供が必須になります。そのうえで、私は、従業員の幸福とは、医療人としての成長と人間としての成長と考えました。この2つの成長によって、他者と比べる幸せでなく、自分で描く幸せに自分自身で近づいていくことができると思っています。現在のはち歯科医院は、このような思想のもとで運営されています。 はち歯科医院の地域医療への現在地 はち歯科医院の診療モデル。 はち歯科医院は、ユニット数は8台、従業員は35名です。従業員はドクターが6名、歯科衛生士が13名、歯科技工士が3名、保育士が4名、管理栄養士が4名、他スタッフが5名です。ユニット数に対して、スタッフ数が多いですが、週休2日、年間休日119日を維持しながら、全スタッフが月1回程度の日祝日勤務によって日祝日診療が可能になりました。有給取得や育休取得、ライフスタイルにあった働き方の提案など、組織力が高まるにつれてますます実現可能になりました。他には外部の専門医ドクターに協力医となってもらい、現在5名ほど非常勤の協力医がいます。専門医ドクターに勤務してもらうことで、医療水準の向上だけでなく、従業員教育にも貢献してもらっています。 通常の外来診療の他に、訪問診療も行い、外来診療と訪問診療のシームレスな医療をできるだけ目指しています。離乳食支援や高齢者の摂食支援、保育園や障害者支援センターの支援、介護施設の支援も積極的に行っています。また、地域の企業と一緒に多くのイベントを主催したり参加したりします。 はち歯科医院の活動の1例。 支援事業や地域企業との交流は組織としての体外的な強みになり、地域からの信頼が向上します。今までは歯科医院の中だけで活動をしていた従業員も、対外的な組織の一員としての活動を行う必要があり、従業員の社会性の向上に繋がると感じています。地域の事業所がどのように一生懸命活動しているのかを間近で垣間見ることにより、組織人としての意識が芽生え、組織人としての責任と誇りをもち合わせるようになります。 このような取り組みを行うことで、組織としての成長を少し感じることができました。まだまだ、発展途上の組織ですので、できていない部分が多数あります。少しずつではありますが、地域に必要とされ続ける医療機関に近づいていると信じています(つづく)。