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2023年2月のピックアップ書籍

2023年2月のピックアップ書籍
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新・インプラント治療革命と言える「X-ガイド」の世界初の入門書 オーラル・インプラント・リハビリテーション・シリーズ Vol.4 インプラント埋入編 X-ガイドを用いたダイナミック3Dナビゲーションサージェリー

鈴木仙一/五十嵐 一/松成淳一/脇田雅文・監著 森本太一朗/安倍稔隆/長尾龍典/中島航輝/今井 遊/毛利国安・著 クインテッセンス出版 問合先 03-5842-2272(営業部) 定価 20,350円(本体18,500円+税10%)・208頁 評者 下尾嘉昭 (東京都・MALO DENTAL&MEDICAL TOKYO) インプラント治療がサージカルテンプレートを用いたガイデッドサージェリー全盛の時代のなか、CT画像を見ながら手術を行うナビゲーションサージェリーシステムは、10数年前から存在していた。しかし、そのシステムの複雑さと精度の不確実さにより、一般に普及するには至らなかった。そこに登場したのが、操作が簡便で精度が高く比較的安価なシステムの「X-ガイド」である。   2019年、評者はグローバルのインストラクターであるArmand Lopes先生に師事してX-ガイドのシステムを学び、2020年の本邦導入後からは、購入された歯科医師の教育に携わっている。しかし、オンラインで全国の施設を教育するには限界があり、日々苦悩していた。そうしたなか、X-ガイドの書籍が発刊されるという朗報が飛び込んできた。それが、本書「X-ガイドを用いたダイナミック3Dナビゲーションサージェリー」である。   本書を拝読した最初の感想は、これからX-ガイドを始めようとする歯科医師やアシスタントにとって教科書的な存在であり、本システムを導入した歯科医院には必須な書籍だということである。その理由として、X-ガイドの概略から術前準備、使用方法、トラブルシューティングまでが幅広く網羅されており、著者らも長年、インプラント治療に従事しているベテラン揃いだからである。   本書の内容であるが、まず概論部分は、評者が以前に英文で読んだマニュアルより、はるかにていねいに書かれており、日本の歯科医師にはとても参考になると思われる。また、器具の取り扱いや術前準備に関しても詳細に述べられ、手術の準備や介助を行うアシスタントにとっても、わかりやすい。担当アシスタントが交代した際などにも、医院内で情報を共有するための有用なツールとなるであろう。さらに、X-ガイドの進化系である仮想マーカー法のX-マーク方式についても触れられており、X-クリップの代わりに顎骨に直接トラッカーを固定するCLX(EDX)トラッカーアームなど、最新の情報が入手できる。   そして最大の特徴は、X-ガイドの使用方法を、さまざまな症例を提示し、そのポイントを解説していることである。解剖学的に注意を要する上顎洞や下顎管に近接した部位における注意点や、歯槽堤増大術や矯正歯科治療用アンカースクリューへの応用など12ケースが取り上げられている。そのうえ最後には、X-ガイド使用時に誤差が生じる原因やその対処法、また精度を上げるためのポイントまでもが論じられており、評者がユーザートレーニングで行う内容が事細かに書かれている。   以上の点から、本書は、X-ガイド手術時に必要箇所を見直せば、本システムを安心・安全に使いこなすことができる手引書である。また、未導入だがダイナミック3Dナビゲーションサージェリーに興味をおもちの先生方にも、X-ガイドの魅力が伝わる良書として推薦したい。

気になる“睡眠”の話が、なるほど! おもしろい!の連続で一気に読める 睡眠と呼吸 歯医者さんの知りたいところがまるわかり つい誰かに伝えたくなる最新トピックス

今井一彰/古畑 升・著 クインテッセンス出版 問合先 03-5842-2272(営業部) 定価 5,940円(本体5,400円+税10%)・104頁 評者 岡崎好秀 (国立モンゴル医学科学 大学客員教授) 歯科界において新しい時代の幕開けとなる1冊が出版された。それが本書である。人生の約1/3は睡眠に時間が割かれている。これは心と体の健康に重要だ。しかし昨夜、ぐっすり眠ったはずなのに、十分疲れが取れていないことはないだろうか? これは、睡眠の質の問題かもしれない。たくさん眠っても、最高の睡眠は得られないのだ。眠りが浅ければ、翌日の診療にも影響する。これを歯科の視点から改善させるのが、本書の“ねらい”である。 本書の著者の一人は、「あいうべ体操」で有名な内科医の今井一彰先生。今や、歯科界で先生の名前を知らない方は皆無だろう。鼻呼吸の重要性が広く認知され「口腔機能発達不全症」が保険収載された背景には、先生のご尽力は見逃せない。 もう一人の著者は、古畑いびき睡眠呼吸障害研究所を主管されている歯科医師の古畑升先生。先生を知るきっかけとなったのが、NHKスペシャル・病の起源「第1集 睡眠時無呼吸症」(2008年)だ。番組で紹介された女児は(当時4歳)は、生後7か月で睡眠時無呼吸と診断され突然死の可能性があった。原因は下顎が小さいことによる舌根沈下だが、この年齢では手術が困難であった。数年後、その続編(2013年)が放送され、そこに先生が登場された。上下顎の拡大で、無呼吸が改善され元気な少女になっていた。歯科医療が、彼女の運命を変えたのである。 最近、乳歯列の過蓋咬合や下顎後退が増加している。気道狭窄は、イビキや睡眠の質の低下につながり成長発達に大きな影響を与える。なかでも脳への酸素供給は極めて重要だ。成人の脳は体重の2%だが、全酸素量の20%を消費する。また3分間呼吸が停止すると不可逆的な問題を生じる。さらにスキャモンの発育曲線では、神経系の発達は9歳で90%とされており、発達期の気道狭窄による脳への影響ははかりしれない。 小児期の睡眠障害は、将来のIQにも影響する。またイビキとADHDは、深く関係するらしい。そこで、小児歯科診療では、下顎の後退やイビキなどをチェックしている。実際、問題のある発達障害児に対し、装置の装着により、多動などが改善されるケースがある。 さて、筆者も加齢とともに夜間頻尿が増加した。原因の一つとして睡眠の質がある。日中に比べ夜間の尿量が減るのは、睡眠時に抗利尿ホルモンが分泌されるためだ。睡眠が浅いと、頻尿につながる。そこで本書で紹介されている“あいうべ体操”や“口テープ”の実践で、眠りが深くなり気持ちの良い朝を迎えることができるようになった。 現在、頻尿対策として市販薬のCMをよく見かける。これらは、平均して1か月5千円。1年では6万円。20年間服用すると120万円になる計算だ。しかし……、本書は約5千円で、わずか市販薬1か月分。 本書で最新知識を得て実践するのと、延々と薬剤に頼るのと、どちらがお得だろうか?

進化の著しいレーザーの最新5機種徹底ガイド 別冊the Quintessence これからの臨床に欠かせない最新歯科用レーザー機種の選び方&活用法ガイド

青木 章・編著 水谷幸嗣/辰巳順一/瀧 潤一郎/池尻良治/ 塚本末廣/田中真喜/渡辺 聡/谷口陽一/ 松田敦至/山口文誉/川畑正樹・著 クインテッセンス出版 問合先 03-5842-2272(営業部) 定価 6,050円(本体5,500円+税10%)・104頁 評者 永井茂之 (東京都・永井歯科診療室) 別冊the Quintessenceならではのユニークな構成である。PART1は歯科用レーザーでしかできない究極の臨床写真と解説、PART2は使用したレーザー機器の詳細と臨床例とともに、著者のレーザーを購入した理由や使い勝手、PART3では究極の臨床写真の詳細とこれから購入する読者へのアドバイスなど、歯科用レーザーに興味のある読者が知りたいことが満載。究極の臨床写真の症例に使用したレーザー以外の機器や材料の紹介もされており、症例の細部にまで食い込んでいるのはクインテッセンス出版の矜持であろう。 巻頭に据えられた総論が圧巻! 歯科用レーザーの臨床で、従来の「レーザーで処置するとなぜかうまくいく」から「エビデンスに基づいた臨床術式」を先導してきた東京医科歯科大学歯周病学教室の最新知見が、詳細な図の説明に始まり、多彩な臨床例を交えて述べられている。 さらに本書のすぐれていることに、近年承認された機器を含めたEr:YAGレーザー3機種が同時に掲載されている。レーザーは波長特性でその違いが語られることが多く、波長の違いがレーザー機器の違いというある種の思い込み、あるいは勘違いをしている人は多い。しかし、同一波長であればどれも同じというわけでは決してない。ピークパワー、注水などの冷却方法、パルス幅、導光方式、先端チップの材質や形状などの違いは、波長の違いとともに臨床での使用法が大きく異なる要因になる。それゆえ、同じ波長の3機種でも、それぞれ独自の進化をしており、使用法や適応の違いがあるのが興味深い。本書の特徴の“紹介するレーザーの性能は?”の六角形で示されるチャートでも、この3機種は同一波長ながら、それぞれの機器がそれぞれの方向性を打ち出している。 執筆陣も多彩で、そのレーザー機器を持っているから使用しているという消極的な選択ではなく、明確な意図をもってそれぞれの機器を選択して使用している。臨床例もクインテッセンスならではの美しい写真が掲載され、読者には症例の意図がすんなりと伝わるように工夫されている。さらに、承認機器のみならず、未承認機器の紹介と臨床例の提示があるので、臨床医にとって最新歯科用レーザーの知見を広げる役に立っている。また、承認機器であっても、未承認ハンドピースの紹介、あるいは承認機器での未承認適応症の症例報告もあるが、しっかりとその旨が記載されているので安心だ。 21世紀に入り歯科の3種の神器と謳われたのはレーザー、コーンビームCT、マイクロスコープであった。著者陣の臨床レベルの自己評価のグラフでもこの3種の神器が大きくかかわったことが示されている。そのなかでももっとも進化の著しいのがレーザー機器であろう。本書は、半導体レーザー、Nd:YAGレーザー、Er:YAGレーザー、炭酸ガスレーザーの最新5機種徹底ガイドとして十分に満足のいくガイド本である。

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