大学小児歯科に入局した頃、先輩の先生と乳幼児歯科健診の場で、どちらが泣かせないかを競っていた。 まず、knee to kneeの姿勢をとる。 この方法は、子どもの体動を抑制することができ有利である。 診療室でも泣き出しそうな低年齢児は、無理にチェアーにあげる必要がない。 そして、口腔内診査や保健指導、フッ化物塗布を行う。 さて、子どもを寝かせても急には泣けない。 泣くには、そこに至る呼吸がある。 それは、“ハア~”!(1回目)・・、“ハア~”!(2回目)・・、“ハア~”!(3回目)・・・。 そして“ワア~ン”!!!となる。 3回目の“ハア~”の直後に、爆発し大泣きが始まる。 読者諸氏も、この呼吸を試されると良くわかるだろう。 一度、子どもを泣かせてしまうと、落ち着くまで待たなければならない。 これは時間のロスだし、保護者も泣きに気をとられてしまう。 保健指導をしても、聞いてもらえない。 その状態でフッ化物を塗布すると、呼吸が乱れ嘔吐につながる。 これでは何をやっているのかわからない。 そこで、これを防ぐコツを紹介する。 ハア~! ハア~!と2回目の吐息の直後に、起こすのだ。 すると、まるで風船の空気が抜けるように肺がしぼむ。 こうすれば本格的な泣きには至らない。 この間に、保護者に口腔内状況について話したり、保健指導を行う。 そして、呼吸が安定し落ち着いたら、また寝かせ続きを行う。 また泣きの吐息になったら、再度起こす。 これを繰り返すと、最後まで泣かせる可能性が低下する。 是非、チャレンジしていただきたい。
著者岡崎 好秀
前 岡山大学病院 小児歯科講師
国立モンゴル医科大学 客員教授
略歴
- 1978年 愛知学院大学歯学部 卒業 大阪大学小児歯科 入局
- 1984年 岡山大学小児歯科 講師専門:小児歯科・障害児歯科・健康教育
- 日本小児歯科学会:指導医
- 日本障害者歯科学会:認定医 評議員
- 日本口腔衛生学会:認定医,他
歯科豆知識
「Dr.オカザキのまるごと歯学」では、様々な角度から、歯学についてお話しします。
人が噛む効果について、また動物と食物の関係、治療の組立て、食べることと命について。
知っているようで知らなかった、歯に関する目からウロコのコラムです!
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