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しくじり先生の小児歯科 その13 歯ブラシで楽な呼吸を誘導する

しくじり先生の小児歯科 その13 歯ブラシで楽な呼吸を誘導する
しくじり先生の小児歯科 その13 歯ブラシで楽な呼吸を誘導する
唐突だが、最初に想像していただきたい。
読者は、これから歯科治療のためエアータービンで歯を形成されるとする。
その際どのような呼吸をするだろう?
きっと息を止めているはずだ。
そうしないと水が気管に入りむせてしまう。
では、印象採得では、どうだろう?
トレーが近づくにつれ、大きく息を吸い込む。
そして、トレーを挿入される瞬間に息を止める。
治療中、患者は術者の動きに合わせ呼吸調整をしていることがわかる。(図1)



しかしこれができないのが、低年齢の子どもである。
治療にばかり目が行くと、呼吸のことを忘れがちである。
苦しいから、嫌がり暴れるのかもしれない。
そこで事前に、呼吸調整ができるように誘導しておく。

さて今、術者がチェアーで子どもの歯を磨くとする。
しかし単に“歯をきれいにする”だけではもったいない。
歯磨きを通じ、こどもを協力的にしておくと、以後の処置が楽になる。

その方法を紹介しよう。

最初に、歯ブラシを子どもの視野に入れ、口に近づけ息を止めるように誘導する。(写真2)


そして3数える間だけ磨き、歯ブラシを抜く。(写真3)


すると唾液を嚥下した後、息を吐き続けて吸う動きがみられる。
こうして、歯ブラシに合わせて呼吸を調整するように誘導する。

これを確認したらまた歯ブラシを視野に入れ磨く。
その直前には、横にコップを置き、歯ブラシをその水で洗うと同時に、水を含ませることで嚥下を誘発させる。(写真4)



これを同じリズムで繰り返すのがポイントだ。
こどもの脳には,何か近づけば,口を開けるという回路を作っておくのである。(写真5)



是非,お試しあれ。
                                                                         続く

一定のリズムで行うことが重要です。
(リズムが崩れると嫌がり始めることがあります。)(図10)

著者岡崎 好秀

前 岡山大学病院 小児歯科講師
国立モンゴル医科大学 客員教授

略歴
  • 1978年 愛知学院大学歯学部 卒業 大阪大学小児歯科 入局
  • 1984年 岡山大学小児歯科 講師専門:小児歯科・障害児歯科・健康教育
所属学会等
  • 日本小児歯科学会:指導医
  • 日本障害者歯科学会:認定医 評議員
  • 日本口腔衛生学会:認定医,他

歯科豆知識 「Dr.オカザキのまるごと歯学」では、様々な角度から、歯学についてお話しします。
人が噛む効果について、また動物と食物の関係、治療の組立て、食べることと命について。
知っているようで知らなかった、歯に関する目からウロコのコラムです!


岡崎 好秀

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