TOP>コラム>しくじり先生の小児歯科 その20 正の言葉がけ・負の言葉がけ

コラム

しくじり先生の小児歯科 その20 正の言葉がけ・負の言葉がけ

しくじり先生の小児歯科 その20 正の言葉がけ・負の言葉がけ
しくじり先生の小児歯科 その20 正の言葉がけ・負の言葉がけ
子どもに麻酔をする時、“痛くないよ~”という言葉をよく使う。



しかし、子どもは“痛くないよ~”と言われながら、予防接種を打たれてきた。
従って、この言葉は“これから注射をする”と受け取るかもしれぬ。
では、どのような言葉がけが良いのだろう?

さて言葉がけには、二種類ある。
一つは、聞いたら“よし、頑張ろう!”と勇気づけられる言葉である。
言い換えれば、“元気になる”言葉がけ。
これを“正の言葉がけ”と言う。



もう一つ、この言葉を聞くと、不安感を高めたり、心を萎縮させる言葉がある。
これが“負の言葉がけ”だ。



冒頭の“痛くないよ~”も負の言葉がけである。
“負の言葉がけ”は、他にも
「泣いたら、後でお父さんに叱ってもらいますよ。」
「おりこうにしないと、注射をするよ」・・などがある。

負の言葉がけは、成人の治療に対しても気をつけねばならない。
例えば、これから読者は埋伏智歯を抜歯するとしよう。
まず伝達麻酔を打たれた。
術者の歯科医師は、隣のチェアーで他の患者の治療を始めた。
麻酔を十分効かせるためだと思い待っていた。
すると歯科衛生士から“いかがですか?ご気分悪くありませんか?”と聞かれた。
読者は、“大丈夫”と答える。
しばらくすると、また“ご気分悪くありませんか?”と聞かれたので、同じように答えた。



しかし、同じような質問を繰り返されると、神経質な患者なら“麻酔を打つと気分が悪くなるのかな・・・”と思い暗示にかかってしまう。
これも不安感を引き起こすので“負の言葉がけ”と言える。


著者岡崎 好秀

前 岡山大学病院 小児歯科講師
国立モンゴル医科大学 客員教授

略歴
  • 1978年 愛知学院大学歯学部 卒業 大阪大学小児歯科 入局
  • 1984年 岡山大学小児歯科 講師専門:小児歯科・障害児歯科・健康教育
所属学会等
  • 日本小児歯科学会:指導医
  • 日本障害者歯科学会:認定医 評議員
  • 日本口腔衛生学会:認定医,他

歯科豆知識 「Dr.オカザキのまるごと歯学」では、様々な角度から、歯学についてお話しします。
人が噛む効果について、また動物と食物の関係、治療の組立て、食べることと命について。
知っているようで知らなかった、歯に関する目からウロコのコラムです!


岡崎 好秀

tags

関連記事