DentalLifeDesign

デンタルライフデザインに掲載している情報は、歯科医師、歯科技工士、歯科衛生士等の歯科医療従事者の方を対象にしたものです。一般の方に対する情報提供サイトではありません。

あなたは歯科医療従事者ですか?

はいいいえ

「いいえ」の場合は、運営会社の「企業情報」ページへリンクします。

TOP>NEWS>2025年5月のピックアップ書籍

NEWS

2025年5月のピックアップ書籍

2025年5月のピックアップ書籍
2025年5月のピックアップ書籍

フラップデザインの設計思想。なぜその切開線? どの症例で用いるか? フラップデザイン アドバンス編 最新のフラップデザインのコンセプトと術式

水上哲也・著 クインテッセンス出版 問合先 03-5842-2272(営業部) 定価 14,300円(本体13,000円+税10%)・192頁 評 者 岩野義弘 (東京都・岩野歯科クリニック) “フラップデザイン”──ペリオが好きならまちがいなく誰もが読みたくなるタイトルである。前著『フラップデザイン ベーシック編』でわれわれに、歯周組織再生療法におけるフラップデザインが、パターン化された手技ではなく、“思考と判断”によって組み立てるアプローチであることを説いた水上哲也先生。今回、満を持して待望の『アドバンス編』を出版された。水上先生は言わずと知れた、ペリオ・インプラント分野における第一人者であり、筆者が心から尊敬する先生である。科学的根拠に基づく臨床、そのベースがありつつ固定観念に囚われず、絶えず新しいより良い臨床を追求するご姿勢、規格化された資料採取、さらにはそのお人柄、すべてが一流の水上先生だからこそ執筆できる書籍であり、表紙をめくる前から本書が、実臨床に即したさまざまな手技とシェーマ、エビデンス、理論とで構成された、素晴らしい書籍だろうと期待せずにはいられない! さて実際に本書を熟読すると、期待以上の充実した内容にうれしくなる。なぜなら、一般に本を購入する際、いちばん欲しいのは臨床に役立つ情報であるが、本書にはその情報が満載だからである。本書は、ベーシック編で示された「4つの切開の基本構成」を土台とし、それをどのように組み合わせて実臨床に落とし込んでいくか、という設計思想へと昇華させている。すなわち、フラップデザインを歯周組織再生療法における設計図として、立体的に構築しているのである。 本書は大きく4章に分かれており、前半の2章では低侵襲型と従来型という異なるコンセプトから、また片側型のフラップの応用、すなわち剥離の観点からそれぞれフラップデザインを体系立て、なぜその切開線を入れるのか、どのような症例で用いるべきなのかについて、論理立てて解説されている。後半の2章ではインプラント周囲炎への応用、そして最新のさまざまなフラップデザインが、すべて水上先生による豊富な症例写真と詳細なシェーマとでわかりやすく解説されている。特筆すべきは、術式の紹介にとどまらず、それぞれの手技におけるポイントや臨床における工夫、解剖学的制約下における判断、血流確保とのバランス、臨機応変な術式の変更など、さまざまな点を意識してフラップをデザインする必要がある点に言及されていることであり、まさにアドバンスと呼ぶにふさわしい臨床的洞察がなされている。新たな知見を得るという書籍とは一線を画した、術者の考える力をも育てる1冊であるといっても過言ではない。 フラップデザイン決定において具備すべき思考回路、「考える歯周外科」を伝える本書は、まさに歯周組織再生療法の将来を担う後進たちへの最高の贈り物であり、歯周外科にかかわるすべての読者に有益な情報に溢れている。ぜひ多くの方にお手に取ってご覧いただきたく、自信をもってお勧めする!

若手からベテランまで、補綴臨床に真摯に向き合うすべての歯科医師に読んでいただきたい一冊 咬合挙上

和田淳一郎/若林則幸・著 クインテッセンス出版 問合先 03-5842-2272(営業部) 定価 12,100円(本体11,000円+税10%)・192頁 評 者 松田謙一 (大阪府開業・HILIFE DENTURE ACADEMY) このたびは、新進気鋭の義歯臨床家で、斯界のトップを走る和田先生、またその指導者である若林先生の新著の書評を仰せつか、非常に嬉しく、光栄至極である。しかしながら、同時にこの大著のすばらしさを私がうまく伝えられるだろうかと、プレッシャーも感じている。 まずは本書の筆頭著者であり、私の大切な仲間&友人の一人である和田先生について記しておきたい。彼と知り合ったのは今から9年前の2016年、ICP(International College of Prosthodontists)のワークショップが京都の松風社で開催された際で、私はスタッフとして参加したのだが、彼の優秀さや人柄の良さ、そして治療に向き合う真摯な姿勢がとても印象に残っている。その後は、筆者がメインパーソナリティを務めるオンライントークセッション「Denture Cafe」にもナビゲーターとして登壇いただき、親交を深めている。 私が和田先生にとても敵わないと感じるのは、その知識量はもちろんのこと、突き詰める思考力と徹底的な考察が行える才能である。ただ、それ以上に感心するのは義歯臨床に対する“愛”の深さであり、間違いなく今後も日本の義歯臨床を牽引する存在だと確信している。そして満を持して出版された本書は、まさにその義歯愛に満ちた一冊に仕上がっている。 さて、本書は全9章で構成されている。タイトルこそ『咬合挙上』という補綴臨床における一つの論点にフォーカスしているように見えるが、内容はそれだけにとどまらない。 まず、第1章ではさまざまな下顎位の定義とその解釈について整理されている。用語集の定義だけでは理解しにくい部分も、本書では誰にでもわかりやすく、ていねいに解説されている。 第2章では咬合高径について深く掘り下げられており、評価方法の考察から始まり、一般的な手法も再整理されている点が有意義だ。 第3章では中心位誘導法、リーフゲージテクニック、ドーソンテクニック、デプログラミングなど、多くの人が耳にしたことはあるものの、詳しい情報が得られにくい内容についてしっかりと解説されている。正直、この章だけでも購入する価値があると感じるほどの内容である。 そして第4章からは、和田先生、若林先生の豊富な臨床経験に基づく“咬合挙上の臨床手技”が、三つのパターンに分類され、実践的に詳述されている。さらに紹介せずにはいられないのが、各章に差し込まれた“Trivia”という小さなコラムである。その内容は当然ながら秀逸なのだが、なにより和田先生、若林先生の補綴への深い想いが感じられ、私は読みながら何度も頷いてしまった。 本書は若手からベテランまで、補綴臨床に真摯に向き合うすべての歯科医師に読んでいただきたい一冊である。ぜひ多くの方に手に取っていただき、補綴臨床に必要な知識と考え方を習得してほしいと願っている。

コンサルツールに! 治療方針の学びに! 超入門書にも! 矯正治療をご希望の方へ アライナー矯正治療受診ナビ

西井 康・監修 岩田直晃・編著 岡野修一郎/東野良治/ 牧野正志/山澤秀彦・著 クインテッセンス出版 問合先 03-5842-2272 (営業部) 定価 9,900円(本体9,000円+税10%)・152頁 評 者 大塚 淳 (岡山県・大塚矯正歯科クリニック) 本書は、アライナーに限らず矯正治療の受診を検討している患者やアライナー矯正治療の具体的な流れを知りたい方、治療のメリットやリスクについて正しく理解したい方に向けて、また、それらを歯科医療従事者が患者に見せて説明できるように、イラストや症例写真を用いてわかりやすくまとめた1冊である。本書の最大の特徴は、専門的な用語や内容を可能な限り平易な言葉で説明している点である。 アライナー矯正治療は、ワイヤーを使わずに透明なマウスピース型装置を用いて歯列を整える方法であり、近年では成人だけでなく、成長期の子どもへ応用するケースも増えている。しかし、従来のワイヤー矯正と比較した際の違いや、実際の治療プロセスについて正しい知識を持っている患者は多くはない。中にはアライナー矯正治療に対して過度な期待を抱いている者もいる。 本書の前半では、正しい情報を補い、患者が治療を受ける前にしっかりと理解を深められるようになっている。治療の進め方や装着時間の目安、生活上の注意点、アライナー矯正治療の適応についても明記されているため、自分に合った治療法なのかを判断する助けになる。これらは治療開始前の不安軽減にもなるだろう。また、矯正治療には一定の制約やリスクがあるため、治療計画の段階で患者に伝えておかなければならないことが多々ある。本書ではアライナー矯正治療の限界や、装着時間を守らなかった場合に起こりうるトラブルなどにも触れており、患者が知っておくべきことを適切に伝えている。 本書後半では、治療前後の写真とともに手順や治療期間などを示した30症例を収載。「上下の前歯のデコボコ」や「正中のずれと出っ歯」「深い噛み合わせとすきっ歯」「口元の突出感と上下の出っ歯」「出っ歯と開咬」など、自分(患者)の歯列に近いケースから、より具体的な治療後の状態をイメージすることができる。矯正治療は長期に渡るため、治療開始前に最終的なゴールを明確にイメージできることは、患者にとって大きな安心材料となるだろう。 それぞれの症例には、治療計画の立て方やデジタルシミュレーションのポイント、患者説明時に注意すべき点など、「for Dentist」と称した歯科医師向けの情報も記載されている。これらはアライナー矯正治療の導入を考えている歯科医師や、より効果的な治療法を学びたい者にとっても非常に有益である。 矯正治療は長期間を要し、かつ費用もかかる。患者は正しい知識を持ったうえで自分に合った治療法を選択することが重要である。それにはわれわれ歯科医療従事者側の、リスクも含めた適切な情報提供および患者にとってわかりやすい説明が不可欠である。そこに大きな力を発揮してくれる本書は、アライナー矯正治療を行う医院にとって欠かせないツールといえる。

プレゼン作りに悩むMacユーザーの歯科医療従事者に必携の本! TQ別冊 歯科医療従事者のためのKeynote超入門 for Mac 今すぐ使えて簡単にできるプレゼン資料作り

中島寛明・監著 安藤壮吾/鈴木宏樹/関 豊成/竹内一貴/ 野亀慶訓/松村香織・著 クインテッセンス出版 問合先 03-5842-2272(営業部) 定価 5,500円(本体5,000円+税10%)・88頁 評 者 窪田 努 (京都府・クボタ歯科) 評者はザ・クインテッセンス誌で2013年から1年間にわたり、Macにおける写真管理とKeynoteに関する内容の連載を担当した。KeynoteをはじめPC関連はソフトのアップデートの間隔が短く、執筆内容の陳腐化が速いこともあり、連載での掲載が限界だろうと身をもって実感していたので、この手の書籍化は難しいと思っていた。 しかし、今回Keynoteの解説本が出版された驚きとは別のうれしさで感慨深い気持ちになった。監修の中島寛明先生、著者の鈴木宏樹先生、松村香織先生、野亀慶訓先生は評者が2014年から開催しているMacコースの受講生であり、つねづね執筆や講演などで活躍されている姿をうれしく思っていたからだ。長年懇意にしている編集担当者から書評の依頼が来た時、言うまでもなく二つ返事で快諾した。 評者は、2022年に中島先生が主宰するKeynote Study Clubというセミナーを受講しており、そこで驚いたのは、中島先生が描くシェーマの美しさと、さまざまな図形をKeynote上で描いていることだった。Macコースを主宰している立場上、だれよりもKeynoteのことを理解しているつもりだったが、図形を描くことに関しては、知らないことばかりで愕然とした。 セミナーを受講したおかげで、今まで形にできてなかった図形が描けるようになり、よりスマートなプレゼンが効率良く作成できるようになった。ただ、金属感のあるインプラントのシェーマがKeynoteで描けるのは理解したものの、それをどのように描くのか細部まではわからず、もどかしさを感じていた。 そこで本書の出番である。本書には、中島先生のテクニックがわかりやすく解説されており、それも解説動画が付いているので,読むだけでなく見て学ぶことができる。 Keynoteでプレゼンを作成している方は、Chapter6「作画トレース入門」のペンツールによる作画と、Chapter8「図形編集入門」の「結合」「交差」「減算」除外」をぜひマスターしてほしい。Chapter6には、5倍速のコントラをトレースしている動画があり、ペンツールでトレースするだけでなく、実は「交差」「減算」といったテクニックが使われているなど、非常に参考になる。また、Chapter2「基本操作入門」にあるLesson3で解説されている拡大・縮小、回転のoptionキーを押しながらの小技は作業効率を上げてくれる。さらにChapter7「図形カラーリング入門」をマスターすれば、絵心がなくても描けないシェーマはなくなるはずだ。 Keynoteの解説本はほとんどなく、Mac関連雑誌の特集に取り上げられる程度でKeynoteの機能を学ぶ機会は少ない。本書は、歯科のプレゼンに必須の写真と図形について解説されているので、わかりやすいプレゼン作りを目指す歯科医療従事者には必携の本になること間違いない。

tags

関連記事