DentalLifeDesign

デンタルライフデザインに掲載している情報は、歯科医師、歯科技工士、歯科衛生士等の歯科医療従事者の方を対象にしたものです。一般の方に対する情報提供サイトではありません。

あなたは歯科医療従事者ですか?

はいいいえ

「いいえ」の場合は、運営会社の「企業情報」ページへリンクします。

TOP>コラム>しくじり先生の小児歯科 その29 アドラー心理学のススメ 相手を変える前に自分が変わる

コラム

しくじり先生の小児歯科 その29 アドラー心理学のススメ 相手を変える前に自分が変わる

しくじり先生の小児歯科 その29 アドラー心理学のススメ 相手を変える前に自分が変わる
しくじり先生の小児歯科 その29 アドラー心理学のススメ 相手を変える前に自分が変わる
小児歯科診療で行きずまった場合にはパターンを、パターンを変えるのも一つの方法だ。
これまで何度も失敗してきたのだから、これまでのパターンを変えない限り成功するはずがない。
これまで“小児への対応”や“言葉がけ”について述べてきたが、保健指導も同様である。
“もう一度言えばわかるだろう”という淡い期待を捨て去って考えよう。
“押してもダメなら引いてみな。それでもダメなら廻してみよう”という発想である。

そこでアドラ-心理学の登場である。
この心理学は、「嫌われる勇気」で一躍有名になったので、ご存じの方もおられるだろう。
スタッフや患者とのコミュニケーション作りに非常に役に立つ。



さて一般的な心理学は、“何らかの原因”が“現在の行動につながる”と考える。
例えば、“めんどくさい”・“歯に対する意識が低い”等の原因があるから、“歯を磨かない”という行動にでる。
ところがこの心理学では、「過去の原因が現在を決めるのではなく、頭の中にいだく未来の目標に向かって、われわれは進んでいくのであり、未来の目標が現在を決める」と考える。

すなわち具体的なイメージできないから“歯を磨かない”となる。
だからこそ、未来をイメ-ジできる伝え方が大切だ。
例えば、低年齢児で乳前歯に齲蝕が初発したとする。
このままでは乳臼歯にも広がり、治療が困難となる。
そこで例え話で、未来をイメ-ジできる話をする。
「ミカン箱のミカンが一つ腐ると、周りも腐りはじめる。乳前歯に1本でもむし歯ができるのは、これと同じ状態です」と伝えると、このままではマズイなと思うだろう。



相手を変えるには、まず自分自身の伝え方を変える必要があるのだ。
自分が変えられないのに、相手が変わるはずがない。
これまでの指導は、磨いてもらおうと思い、恐怖心をあおることが多かった。
それは、”相手に歯を磨いて欲しいから”という思いからの言葉であった。
でも、これは本当に正しいのだろうか?
この様な伝え方を続けていると人間関係はどうなるだろう?
そこで、アドラー心理学を保健指導に応用して考えてみよう。


著者岡崎 好秀

前 岡山大学病院 小児歯科講師
国立モンゴル医科大学 客員教授

略歴
  • 1978年 愛知学院大学歯学部 卒業 大阪大学小児歯科 入局
  • 1984年 岡山大学小児歯科 講師専門:小児歯科・障害児歯科・健康教育
所属学会等
  • 日本小児歯科学会:指導医
  • 日本障害者歯科学会:認定医 評議員
  • 日本口腔衛生学会:認定医,他

歯科豆知識 「Dr.オカザキのまるごと歯学」では、様々な角度から、歯学についてお話しします。
人が噛む効果について、また動物と食物の関係、治療の組立て、食べることと命について。
知っているようで知らなかった、歯に関する目からウロコのコラムです!


岡崎 好秀

tags

関連記事