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しくじり先生の小児歯科 その44 慢性齲蝕を作る その11 食片圧入による疼痛に注意する

しくじり先生の小児歯科 その44 慢性齲蝕を作る その11 食片圧入による疼痛に注意する
しくじり先生の小児歯科 その44 慢性齲蝕を作る その11 食片圧入による疼痛に注意する
永久歯に大きな齲窩があり、自発痛があれば抜髄の可能性が高い。
しかし、保護者が「子どもが痛がっています」と言っても、安易に抜髄をすべきでない。
まず、客観的に診断をすることが大切である。
例えば、乳歯にアブセス・打診痛・動揺がある場合は、炎症が根尖まで波及しており処置が必要だ。
それ以外は、まず疼痛を訴えた時期を聞く。
おやつの直後であれば、ショ糖の浸透圧による疼痛かもしれない。
また食事の直後であれば、食片圧入で痛んだ可能性がある。
そうであれば歯ブラシで除去すれば、痛みが治まるケースが多い。



すなわち、疼痛を訴えた時、まず歯髄炎か食片圧入化を見分ける必要がある。
これを知らない頃、“痛い”と言われ、抜髄をして大泣きされ失敗したケースが多数あった。

食片圧入の場合でもサフォライド塗布を行うが、齲窩が大きい場合はハイボンド・カルボセメントで仮封する。
ちなみに、このセメントも銀の還元作用があるので効果的である。
サフォライドがすべてのケースに通用するとは思わないが、確実に抜髄のケースを減らせることができる。

では初診で、抜髄を行った場合は、以後の処置はどう進めれば良いだろう?
そもそも乳歯齲蝕は、左右対称・上下対称に発生する。
従って片側が抜髄を行ったケースは、反対側も抜髄になる可能性が高い。
最初の根治が終了した頃には、反対側が痛み始めるかもしれない。
そこで抜髄の時、他の歯に症状が現れそうであれば、先にサフォライドを塗布し慢性化しておく。



こうしてサフォライドによる慢性化を行った歯科医師は、「これまで泣かしていた子どもが、泣かなくなった」・「歯科衛生士に2・3回 塗布をしてもらいながら、TBIで慣らせると上手にできるようになった。」・「硬くなるのでエキスカで簡単に取れ、充填も楽になった。」などの意見をいただいた。
急性齲蝕を慢性齲蝕にすれば、時間が稼げる分、泣かずに治療できる。
上手に使えば、術者やスタッフだけでなく、子どもも楽なるのである。

著者岡崎 好秀

前 岡山大学病院 小児歯科講師
国立モンゴル医科大学 客員教授

略歴
  • 1978年 愛知学院大学歯学部 卒業 大阪大学小児歯科 入局
  • 1984年 岡山大学小児歯科 講師専門:小児歯科・障害児歯科・健康教育
所属学会等
  • 日本小児歯科学会:指導医
  • 日本障害者歯科学会:認定医 評議員
  • 日本口腔衛生学会:認定医,他

歯科豆知識 「Dr.オカザキのまるごと歯学」では、様々な角度から、歯学についてお話しします。
人が噛む効果について、また動物と食物の関係、治療の組立て、食べることと命について。
知っているようで知らなかった、歯に関する目からウロコのコラムです!


岡崎 好秀

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