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2026年8月のピックアップ書籍

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2026年8月のピックアップ書籍

世界最高峰のEFP診療ガイドラインの詳細と実践、第二弾! 歯周炎ステージⅣ診療 ガイドライン エビデンスと臨床例で徹底解説

清水宏康/星 嵩/土田晃太郎・監著 緒方美智子/川名部 大/神成貴夫/ 木村文彦/小林龍太/前川祥吾/矢野孝星・著 クインテッセンス出版 問合先 03-5842-2272(営業部) 定価 13,200円(本体12,000円+税10%)・160頁 評 者 二階堂雅彦 (東京都・二階堂歯科医院) EFP(ヨーロッパ歯周病連盟)は、ヨーロッパ各国の歯周病学会からなる連盟であり、AAP(米国歯周病学会)とともに世界の歯周病界をリードする学会である。昨今は歯周病よりもインプラントをテーマにしたセッションを多く扱っているAAPに比べ、EFPは日本の歯周治療分野の状況により近い。 EFPはそのリーダーシップの表れとして、『ステージI・Ⅱ・Ⅲ診療ガイドライン』に続き2022年に『Journal of Clinical Periodontology』で『歯周炎ステージⅣのエビデンスに基づく診療ガイドライン』を発表した。しかし、内容はすばらしいものの、臨床の写真は1枚もなく、英語であることも加えとっつきにくいのが欠点である。本稿で紹介する『歯周炎ステージⅣ診療ガイドライン』は、それを豊富な臨床例で補完し、わかりやすく解説されており、最高峰のエビデンスが一挙に身近な存在となる書籍である。 “ステージⅣ歯周炎”について触れておくと、これは5mm≧のアタッチメントロス、歯根長1/3を超える骨吸収等重度歯周炎の病態に加え、≧5本の喪失歯を含む病態のことである。加えて二次性咬合性外傷、歯の病的な移動、フレアアウトなどの複雑な病態を呈する場合もある。そのため、これらの治療には歯周治療に加え、咬合調整、補綴、インプラント、矯正歯科治療などが必要になり、歯科医師、歯科衛生士、チームの技量、総合力を問われる。 一方、それらの治療ができることは、歯科医療従事者にとって大きな醍醐味でもあるが、そのような患者を目の前にしたとき、「この複雑な病態をどこから治療すればいいのか?」「治療のゴールをどこに設定したらいいのか?」と悩むことも多い。 それをふまえて、本書の構成はEFPガイドラインの詳細な解説に始まり、“歯の保存”“連結固定、咬合調整”“矯正”“インプラントを含む補綴”“サポーティブケア”の各章に分かれ、さまざまなクリニカル・クエスチョン(Q)に対し、まず簡潔な回答(A)が示されていて、頭を整理しながら理解できるようになっている。またその回答がどの程度エビデンスで支持されているのかが、推奨グレードA, B,0の3段階で示され、加えて参加者のコンセンサスの強さが、“100%同意”から“<50%で同意なし”まで5段階で示されている。 さらにここからが本書の真骨頂であるが、そのQに対する具体的な症例が示されることで、読者の理解力は著しく高まる。 執筆陣は清水先生、星先生、土田先生以下のTeam EPICである。ともすれば堅い内容になるが、ところどころに挟まれる土田先生のコラムが清涼剤の役割を担っており、楽しく読み進めることができる。 ステージⅣ歯周炎の複雑な病態を示す患者を目の前にした際、本書はそのエビデンス、また臨床例の両輪から、強力な参考材料になるだろう。歯周治療を志すすべての歯科医師、歯科衛生士に推薦したい。

ラミネートベニアの診断から接着操作までを簡潔に、美しく網羅した一冊 『ラミネートベニアーズ』

Markus B. Blatz・著 Ulrike Blatz/José Ayub/ Julian Conejo/Paco Rojas/ Luis Quintero・共著 小峰 太・監訳 本田順一・翻訳 クインテッセンス出版 問合先 03-5842-2272(営業部) 定価 9,900円(本体9,000円+税10%)・280頁 評 者 品川淳一 (東京都・上野品川歯科・矯正歯科) 本書の著者、Markus B. Blatz先生は米国・ペンシルベニア大学歯学部の修復学講座の主任教授で、現代の接着歯学において世界的にもっとも著名な教授の一人である。日本では2023年の第9回日本国際歯科大会、さらに2025年の日本審美歯科学会にも登壇されたので、その名を知る人も多いと思う。少なくとも筆者を含め、接着修復を専門とする者で知らぬ人はいないだろう。 近年、Blatz先生をさらに著名にしているのがそのSNSである。本稿執筆時点で、そのフォロワー数は27.5万人! 同SNSは、修復・補綴治療に関して歯科医師が抱えるであろう臨床上の疑問を、エビデンスと美麗な症例写真で解説するもの(当然、筆者もフォロー済)。Blatz先生がSNSを始めたきっかけは、歯科情報を扱うSNSの「誤った情報の多さ」を危惧されたからだと、以前に講演で話されていた。 本書は、そのSNSへの投稿のなかからラミネートベニア関連の内容を抽出し書籍化したユニークな1冊である。そう聞くと「ならばSNSを見ればいい」と考えるかもしれない。しかし、著者と編集者によって目次が付され、整理・編集された“書籍”は、SNSとは比較にならないほど有益である。実際に同じ内容のデジタルと紙の読み物を比較した場合、後者のほうが学習効果が高いことが近年報告されており、Blatz先生のSNSを知る人ほど、本書の価値をより実感できると思う。 本書は、現在推奨されるラミネートベニアの診断から接着操作までをエビデンスベースで網羅・解説していることが大きな美点である。個人的には、エビデンスを踏まえたうえでのBlatz先生の個人的な見解とその臨床術式への言及に興味をひかれた。280ページとボリューミーだが、1ページの情報量はきわめて少なく、あっという間に読み終えられる。実際、筆者はおよそ30分程度で読了できた。 筆者は本書をチェアサイドに常備し、ラミネートベニアの症例があればすぐに確認できるようにしている。また、本書はB6判変型というコンパクトサイズなので、外出時に気軽に持ち出して読むこともできる。美麗な症例写真は、それを眺めているだけでも臨床へのモチベーションが上がる!  本書は英語版が原著で、現在数か国語に翻訳されている。本書日本語版はBlatz先生と幾度も共同研究を行うなど親交の深い、日本大学歯学部歯科補綴学第Ⅲ講座の小峰太教授が監訳、同講座専任講師の本田順一先生が翻訳を務められた。本田先生は昨年Blatz先生の教室に留学され、今年帰国されたばかりである。そんなお二人が翻訳を担われたので、Blatz先生の真意が正確に訳されていると感じる。実は筆者と本田先生は小・中・高校の同級生で幼馴染である。本田先生が小峰教授とともにこのようなすばらしい仕事をされたことがとてもうれしい。ここに最大限の敬意を表したい。

「患者さんへの説明」と 「歯科医療従事者の学習」を両立させた一冊! 患者さんにしっかり説明できる&Dr.もDHもしっかり学べる ペリオ教室1 資料収集から検査・診断、 メインテナンス:Stage Ⅱまで

斎田寛之・監著 福場駿介/中村一寿/野原康平/大村星太・著 クインテッセンス出版 問合先 03-5842-2272(営業部) 定価 8,250円(本体7,500円+税10%)・104頁 評 者 片山明彦 (東京都・有楽町デンタルオフィス) 歯周病は日本人が歯を失う最大の原因の一つであり、超高齢社会を迎えた現在、その予防と管理の重要性はますます高まっている。しかし、歯周病は初期段階では自覚症状が乏しく、患者自身が病気の深刻さを理解しにくい疾患でもある。そのため、歯科医療従事者には正確な知識や技術だけでなく、患者にわかりやすく説明し、理解と行動変容を促す能力が求められる。本書は、そうした臨床現場のニーズに応える実践的な一冊である。 本書の最大の特徴は、シリーズ名にも示されているように、「患者さんへの説明」と「歯科医療従事者の学習」を同時に成立させている点にある。歯周病学の専門書は数多く存在するが、本書は歯周病の病因や病態、細菌学的背景、検査結果の解釈といった専門的内容を解説するだけでなく、それらを患者へどのように伝えれば理解と納得につながるのかという視点が随所に盛り込まれている。そのため、知識の習得はもちろん、日常診療における説明力や指導力の向上にもつながる内容となっている。 特に印象的だったのは、歯周病治療の成功には患者自身の理解と行動変容が不可欠であるという考え方が一貫して示されている点である。歯周病は治療者だけの努力で改善する疾患ではなく、患者がセルフケアの重要性を理解し、継続して実践することで初めて良好な結果が得られる。本書では患者タイプ別アプローチやOHI(口腔衛生指導)の実際、生活習慣との関連性の伝え方など、患者とのコミュニケーションに役立つ具体的な内容が豊富に紹介されており、患者との信頼関係を築きながら治療を進めるうえで大きな助けとなるだろう。 また、本書を通じて改めて認識したのは、「歯周病をStage Ⅱまでコントロールできれば、多くの歯周病患者を救うことができる」という考え方の重要性である。歯周病治療というと重症例や再生療法など高度な治療に目が向きがちである。しかし、実際の臨床では、早期発見と適切な介入によって病状をStage Ⅱの段階まで管理できれば、歯の保存や口腔機能の維持が十分期待できる患者が数多く存在する。本書はそのために必要な基本的知識と臨床手技、そして患者教育のあり方を丁寧に示しており、歯周病診療の本質が高度な治療技術だけではないことを教えてくれる。 さらに、歯科医師と歯科衛生士が共通の知識基盤を持ち、チームとして患者を支援する重要性についても学ぶことができた。本書は歯周病患者を一人でも多く救うために何が必要かを考えさせてくれる良書であり、歯科医師、歯科衛生士、若手臨床家を問わず多くの示唆を与えてくれる。日常臨床の質を高めたいすべての歯科医療従事者に推薦したい一冊であり、「こんな書籍があったらよい」と感じていた内容を形にしてくださった斎田先生らに感謝したい。

薬物関連顎骨壊死と抗血栓療法への対応が特集でアップデート 別冊ザ・クインテッセンス 薬 YEARBOOK '26/'27 患者に聞かれても困らない! 歯科医師のための「薬」飲み合わせ完全マニュアル

朝波惣一郎/王 宝禮/矢郷 香・監著 岩渕博史・著 クインテッセンス出版 問合先 03-5842-2272(営業部) 定価 6,600円(本体6,000円+税10%)・176頁 評 者 松野智宣 (日本歯科大学附属病院口腔外科) 超高齢社会のわが国の歯科診療において、観血的処置を必要とする患者の対応に苦慮するのが、骨吸収抑制薬あるいは抗血栓薬の治療を受けている患者であり、その数は増加し続けている。そのような現況のなか、今回の『薬 YEARBOOK '26/'27』では、「ここが変わった! 薬物関連顎骨壊死と抗血栓療法の最新知見」が特集された。 薬物関連顎骨壊死(MRONJ)に関しては、監著者の一人でわが国でのMRONJの第一人者ともいえる国際医療福祉大学三田病院歯科口腔外科教授の矢郷香先生が、2016年版の骨吸収抑制薬関連顎骨壊死(ARONJ)のポジションペーパー(PP)から2023年に改訂されたMRONJのPPにおける主な変更点をわかりやすく解説している。具体的には、原因薬剤やMRONJ発症リスク因子の追加、抜歯時の予防的休薬の原則的不要、ステージ分類の変更や、治療方針の転換として早期からの積極的な外科的治療の介入などである。 一方、抗血栓療法については、国際医療福祉大学病院歯科口腔外科教授であり、(一社)日本歯科薬物療法学会理事長を務める岩渕博史先生が、これまで2015年から5年ごとに改訂されてきた「抗血栓療法患者の抜歯に関するガイドライン」の2025年版の改訂ポイントを要約している。具体的には、単純抜歯以外の難抜歯・埋伏歯抜歯への対応、直接経口抗凝固薬(DOAC)服用患者、注射用抗凝固薬(低分子ヘパリン)使用患者、抗血小板薬服用患者に対する追加された推奨内容、抜歯創の効果的な止血法などである。 さらに、本書では新たに「Q&Aで解決! 薬のギモンにお答えします」の第1回として、監著者の大阪歯科大学歯科医学教育開発センター教授の王宝禮先生が、現在、歯科におけるAMR対策として注目されている「抗菌薬の適正使用」についての4つの疑問に回答している。 そして本編では、これまでの『薬 YEARBOOK』シリーズと同様に、医科で処方されることの多い内服薬に対して、歯科医院で処方される主な併用薬(抗菌薬、抗炎症薬・鎮痛薬、抗真菌薬・抗ウイルス薬、局所麻酔薬の17薬剤)との相互作用とその方策を、“処方可”、“慎重を要する”、“減量・休薬など”、“併用禁忌/原則禁忌”の4段階のわかりやすいイラスト付きの一覧表にしている。 なお、医科からの処方薬は、降圧薬(10薬剤)、糖尿病治療薬(10薬剤)、抗血栓薬(11薬剤)、脂質異常症治療薬(5薬剤)、精神神経疾患治療薬(10薬剤)、骨吸収抑制薬(5薬剤)、抗アレルギー薬(3薬剤)、呼吸器疾患治療薬(7薬剤)である。加えて、歯科で承認されている13種の漢方薬についてもまとめられている。 多種多様な医科からの内服薬に対して、われわれ歯科医師が処方する薬を患者に、安心・安全に服用していただくための、まさに必携の1冊である。

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