個人事業主の院長先生で、税理士から説明される帳簿を見ると「しっかりと利益が出ている…なのに、なぜか手元にお金が残らない…。」そんな経験はありませんか? その原因は、隠れキャラともいえる「費用にならない出費」にあるかもしれません。 これはいったい何モノなのでしょうか。 今回は、その正体を明らかにすることで、資金繰り改善のためのヒントをお届けします。【費用にならない出費の正体①】
問診票を書くときに使用するボールペン。 ボールペン代は、もちろん「費用」になります。 費用になるということは、それに見合う利益も少なくなり、税負担も少なくなります。 しかし、例えば次のような出費は費用にすることができません。 すなわち、お金は出ていくのに、利益を少なくすることができず、税負担も少なくなりません。 □金融機関からの借りたお金を返すための出費(利息を除く) □医療機器や車両などの分割払いのための出費 □所得税や住民税の納付のための出費(事業税を除く) □院長先生の暮らしにまつわる生活費など(専従者に対する給与等を除く)【費用にならない出費の正体②】
お手元の確定申告書のうち、決算書をご覧ください。 貸借対照表に、「事業主貸」と「事業主借」という科目を見つけることはできましたか? 実は「事業主貸-事業主借=生活費など」となります。 「生活費など」の金額を計算してみて、「いやいや、こんなに生活費は多くないよ!」と感じられた場合には、総勘定元帳という帳簿でその中身を確認してみましょう。 するとその中身には、どこからどう見ても生活費だとわかるもの以外に、次のようなものが含まれているかもしれません。 そう、これらが費用にならない出費なのです。 □住宅ローンの元利返済(ローン控除として税負担を軽減している可能性あり) □生命保険料や小規模企業共済の支払い(所得控除として税負担を軽減) □歯科医師国保や国民年金などの支払い(同上) □所得税や個人住民税の支払い【資金繰りのつじつまあわせ】
費用にならない出費があるからこそ、「しっかりと利益が出ている…なのに、なぜか手元にお金が残らない…。」という現象がおきます。 帳簿では利益がでているのに、手元にお金が残らず、資金繰りのつじつまが合わないのであれば、次のような生活費などの見直しもぜひ。 もちろん、医院の業績改善や向上とあわせて。 □事業用借入金や住宅ローンの借り換え(融資・返済条件の見直しを含む) □生命保険の契約内容の見直し(保障と負担とのバランスから要否を検討) □事業主勘定で生活費としている出費が、本当に事業に関係がないか確認 (一部でも事業に関係があり費用となるものはないかをチェック) 目標の設定は、どのような場面でも重要です。 いま生活費としていくら必要か、これを確保するために必要な売上高や利益はいくらか…。 これらの正しい金額を把握することで、逆算したリアルな目標値を掲げることができ、医院の業績改善や向上がよりスムーズに行えることでしょう。
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