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2019年6月のピックアップ書籍

2019/5/27 歯科NEWS

『必ず上達 矯正臨床 日常臨床のための全顎矯正入門』

一般開業医にとってはハードルの高い歯列矯正を大変わかりやすく簡潔にまとめあげた良書である。著者は矯正治療を基盤とした一般開業医であるが、エンドからペリオ、補綴まで専門医レベルでこなすスーパーGPである。この本のCHAPTERは5章よりなっており、系統だって項目ごとにわかりやすくまとめられている。 CHAPTER1では、「一般開業医としての矯正治療の基礎知識」というテーマで、矯正治療をはじめて手掛ける先生の身になって、診査・診断を行うためには、どのような資料収集が必要で、診断に際しての最低限知っておくべき項目、また、比較的初心者でも対応できそうな症例の紹介をされている。CHAPTER2「矯正歯科治療に必要な器具とその特徴」では、ストレートワイヤーテクニックでのブラケットの種類やその特徴、アーチフォームワイヤーからゴムメタルワイヤーまで、開業医から敬遠されるワイヤーベンディングをしなくても、誰でも歯を動かせる器具やその使用法について詳しく書かれており、これから器具を揃える際に非常に参考となる。CHAPTER3「基本テクニックを身につけよう」では、いよいよ実践編となり、ブラケットの選択や基本となる最小限のワイヤーベンディングなどを実際のスライドでわかりやすく解説している。また、この章では、矯正治療中に起こりうる頭を悩まされるトラブルと対処法がまとめられているため、読とってありがたい限りである。CHAPTER4の「総合的治療の中の矯正治療の応用」では、われわれが日常臨床で遭遇するような5症例をとおして、矯正治療の目的や矯正を含めた治療の手順、実際の使用器具をたくさんのスライドで細く解説している。さらに、矯正治療以外の歯周外科処置なども解説されており、矯正の治療の書籍ではあるが、その症例に必要な手技が網羅されている。 最後のCHAPTER5「本格矯正治療にチャレンジしよう」は本格矯正治療の実例と治療手順がイラストを交えて解説されており、これから矯正治療を始めようと考えておられる先生にとって、1冊である程度の矯正治療の理論と実際の方法が理解できる。われわれ一般開業医は、最低限でも補綴前矯正くらいは覚えておきたい。なぜなら治療後の審美的・機能的な完成度がまったく変わり、その後の長期にわたる予知性にも大きく影響してくる。『必ず上達矯正臨床─日常臨床のための全顎矯正入門』は、読者にとって治療の幅が広がり、さらなるレベルアップにつながる書籍である。 評者:上田秀朗 (福岡県・うえだ歯科) 中島稔博・著 クインテッセンス出版 問合先 :03‐5842‐2272(営業部) 定価本体:10,000円(税別)

『ペリオドントロジー&ペリオドンティクス 下巻』

月星光博先生から書評のご指名が下ったと知らされたときは、評者に勉強しなさいという示唆をいただいたと感じた。本書『ペリオドントロジー&ペリオドンティクス 下巻』は、「MIに基づく歯科診療」シリーズの最後を飾る本である。その書評を書かせていただくことは光栄な話だと思うと同時に、身が引き締まる思いであった。月星先生のことを知らない歯科医師はいないと思うが、主に外傷歯治療、自家歯牙移植、根管治療に関してで、月星先生の臨床の根底にあるのは歯周治療であることを、とくに若手の先生はご存じない人も多いかもしれない。 本書上・下巻では、臨床で経験すること、疾患が治癒、コントロールされていく過程を、ときには不測の事態においても、綿密に記録、分析し、何が起きているのかを究明し、得られた情報をつぎの臨床に活かしていく、本当に必要なことを的確に行い、最小の侵襲で最大の患者利益を追求する歯周治療における正義が貫かれている。そして、その結果は10年、20年、30年予後をもつ症例で示されるので、説得力が大きい。下巻はいわば実践編であるが、実に8割が検査、診断、非外科治療、メインテナンスに割かれている。医療面接、プロービング、エックス線や臨床写真撮影、最新の歯周病分類、鑑別診断、モチベーション、ハンドインスツルメントや超音波器具、レーザー、薬剤などに関してとても実践的で、真のエキスパートならではの解説がなされている。たとえばOHIのところでは、臨場感があり、DHの石原美樹氏の指導を傍観しているようである。また、歯周外科処置、インプラント周囲炎に対する処置に関しても知るべきことがわかりやすく、症例をもって示されている。つまり使える本である。そして、それは歯科医師1人で読んでも十分な効果を得られず、歯周治療は医院全体で取り組まなければならないことも教えてくれている。 本書を歯周治療のハンドブックとして使用するために上巻を合わせて読まれることを強くお勧めする。この本の価値がさらにわかっていただけると思う。 歯周治療をとおして自分を選んでくれた患者に貢献したいと願う先生、歯周外科を学んで歯周治療をマスターしつつあると感じている先生、評者も含めて、スタッフとともに本当に大切なことは何かをこの本(シリーズ)から学び、それをつねに念頭に置きながら、真摯に臨床に取り組もうではないか。 評者:石川知弘 (静岡県・石川歯科) 月星光博・編著 クインテッセンス出版 問合先 :03‐5842‐2272(営業部) 定価本体:16,000円(税別)

別冊the Quintessence 『インプラントYEARBOOK 2019』

日本国内においても、インプラント治療の歴史は20年以上を数え、多くのエビデンスが蓄積され、予知性の高い治療方法として、その基本術式も確立されるに至った。そして、現在では、デンタルインプラントは、歯の欠損治療を行ううえで、なくてはならない治療オプションとなった。 このような時代背景のなか、数十社からなるメーカーのインプラント紹介ページによって構成されるYEARBOOKも、各インプラントメーカーの製品羅列に終始するだけの冊子としての役割を終え、各々のインプランントの特徴を生かした治療方法までを掲載し、現在のインプラント治療を検証・評価するための参考書に近いものとなっているのが大きな特徴である。もちろん、インプラント総合カタログという受け取り方をしても価値ある1冊であるが、骨造成の方法、即時修復(immediate loading)、遊離歯肉移植、結合組織移植などのインプラント関連手術も相当数紹介されており、インプラント関連手術症例集としても受け取れる内容である。さらに別の見方をすれば、著名な術者の術式が多くの写真によって紹介されており、インプラント関連手術のプロトコールとも受け取れるものである。なかには、インプラント専門医がみても、興味深い斬新な治療法も紹介されている。 また、インプラント体の埋入手術だけでなく、補綴装置製作に関する特徴や治療方法についても紹介されており、補綴歯科医、口腔外科医にとって、興味深い内容が多数掲載されている。なかでも近年急速に発展してきたセラミック材料を用いた審美修復治療、さらにはCAD/CAMによるカスタムアバットメントやセラミック修復に関するものは、補綴治療の変遷をも網羅するものである。つい最近まで、最新の治療法と思っていた口腔内スキャナーを用いた光学印象法、そして、その流れから派生したインプラント治療のデジタルワークフローまで当然のように紹介されている点には驚かされた。 上記のように、ビギナーから各領域のエキスパートまで、どのレベルの読者にとっても興味深い内容を包含しており、ぜひとも傍らに置きたい1冊である。 評者:近藤尚知 (岩手医科大学歯学部補綴・インプラント学講座) クインテッセンス出版・編 クインテッセンス出版 問合先 :03‐5842‐2272(営業部) 定価本体:6,800円(税別)