長年、小学校などで子ども向けに歯と口の健康の話をしてきた。その中で、子ども達が必ず喜ぶ鉄板ネタがある。それは動物の話だ。話し終わると、子ども達が寄ってきて「今日の話は楽しかった。また来てね」などと言われる。それが面白く、動物の歯や口に関する本を読み漁ってきた。また動物園や博物館、それに海外まで行って写真等の資料を集めてきた。今回の連載も、その過程で収集した話である。そのせいか、徐々に動物園から家族向けの話を依頼をされることが増えてきた。 (図1) しかし歯の話だけでなく、もっと幅広く動物の話を語ることができないものか・・と考えてきた。子どもが興味を持つと、動物に対する関心が湧いて来る。そこで動物を通して命の尊さを伝えることができる。さらには、生物学を中心とした科学的な視点も養われるだろう。 そこで行った実験を紹介する。 まずは、「ベニイロフラミンゴ」の話。 これは、多くの動物園で飼育されている大型の水鳥である。 長い脚と長い首を持ち、色は鮮やかな紅色。 (図2) クチバシは、中央で急に湾曲し「ヘ」の字に似ている。 ここまで言えば、どのようなトリかがおわかりだろう。 さてトリは、空を飛ぶために多くのものを退化させた。 その一つが歯である。 (図3) そればかりか、骨には細かな空洞(含気骨)がある。 そのために骨は驚くほど軽い。 某動物園に、ベニイロフラミンゴの頭蓋骨があった。 そこで、クイズを作ってみた。 ------------------------------------------------------- クイズ:ベニイロフラミンゴの体長は約1.3m、体重は約3kg。 これは頭の骨とクチバシです。全体の長さは約12cmです。 さてこの重さは、次のどの位でしょう? (図4) ①300g ②30g ③15g ------------------------------------------------------- そこで実験開始! まず、子ども用の天秤を手に入れた。 そして、片方にフラミンゴの頭蓋骨を置いた。 (図5) そして重りとして10円玉を置いてみた。 10円では変化がない。 (図6) 次にもう10円足して20円。 頭蓋骨は、わずかに持ち上がった。 (図7) さらに10円足してみた・・・。 次回に続く 前回の記事 動物園の動物達も高齢化 アザラシの根管充填
著者岡崎 好秀
前 岡山大学病院 小児歯科講師
国立モンゴル医科大学 客員教授
略歴
- 1978年 愛知学院大学歯学部 卒業 大阪大学小児歯科 入局
- 1984年 岡山大学小児歯科 講師専門:小児歯科・障害児歯科・健康教育
- 日本小児歯科学会:指導医
- 日本障害者歯科学会:認定医 評議員
- 日本口腔衛生学会:認定医,他
歯科豆知識
「Dr.オカザキのまるごと歯学」では、様々な角度から、歯学についてお話しします。
人が噛む効果について、また動物と食物の関係、治療の組立て、食べることと命について。
知っているようで知らなかった、歯に関する目からウロコのコラムです!
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