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動物園の動物達も高齢化
アザラシの呼吸

2019/4/18 デンタル〇〇デザイン

大牟田市動物園で開口訓練をしているゴマフアザラシ。数年前に右下顎犬歯が破折し、腫脹のみならず舌下部からも排膿がみられた。

(図1)

抗生剤や洗浄を繰り返したが、症状の完全消失まで2カ月余り費やしたそうだ。しかし根本的な治療ではないので、体調の低下などにより再発する可能性がある。専門書で調べていたら、同じ仲間であるセイウチの写真の横に「牙や歯、周囲の腫れチェック、歯ぐらい・・と思うことなかれ、歯髄炎は命取りになることもある」と書かれていた。
(~飼育と展示の生物学~海獣水族館 東海大学出版会 2010年)

(図2)

実際、某水族館で上顎左側犬歯が破折していたアザラシ。骨格標本を見ると、根尖部の骨が溶け脳頭蓋に達していた。根尖病巣が、死因につながる可能性もある。

(図3)

しかし、アザラシは全身麻酔下での処置は難しいという。水中では、水が入らないように鼻の穴を閉じる。そのため長時間、息こらえをすることができる。ヒトの呼吸管理とは、まったく違うのだ。

ちなみに"どの程度、息こらえをするのだろう・・"と思い観察していたら、面白いことに気がついた。鼻の穴は、陸上で昼寝している時も閉じているではないか。そして時々、パカッと開く。

(図4)
どうやらアザラシは、水中・陸上ともに閉じているのが基本型。呼吸の時だけ、力を入れて開いているようだ。まさに水中生活に適応した、鼻の穴の開閉だ。

そこで、獣医師から感染根管治療の方法についてアドバイスを求められた。それに答えるためには、アザラシの歯についての知識が必要だ。ゴマフアザラシの歯式は、切歯3/2・犬歯1/1・前臼歯4/4・後臼歯1/1(上顎/下顎)なので片側17本。これが左右にあるので、合計34本の歯を持つ。アザラシの祖先は、イタチの仲間である。水中での生活では、丸のみ食べが増える。当然、歯の形も変わるだろう。これまで動物園や水族館で撮影した写真を探すと、単純化・小型化していることがわかる。

(図5)

次回に続く


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