Dental Life Design

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動物園の動物達も高齢化
サルの牙の破折と病巣感染

2019/4/6 デンタル〇〇デザイン

約30年前、ある動物園の標本室へ行った時のこと。
サルの頭蓋骨を見せていただいた。
その骨は、左上の犬歯が破折していた。



それを眺めながら獣医師はつぶやいた。
「前日まで元気だったサルが、ある朝死んでいた。当初、その理由がわからなかった」。
しかし、骨格標本を見てその理由がわかったという。
よくみると右の後頭部に穴が開いている。




何らかの理由で骨が溶けたのだ。


さてサルの牙は、長くて大きいため歯根相当部が大きく膨隆している。
根尖部から脳までは近接している。



そのためサルは、歯性脳炎を起こしやすい。
生前に破折した牙は、歯髄壊死の痕跡があった。
獣医師は、これが感染源になり、慢性炎症により骨が溶けたと推定した。
つまり、死亡原因は破折歯と診断したのである。


もちろん、歯が原因で死亡した動物を見たのは初めてだ。
このサルに適切な歯科治療が行われていれば、もっと長生きできたかもしれぬ。
以来、動物の歯科疾患が気になっていた。


さて以前、大牟田市動物園の"ハズバンダリートレーニング"について紹介した。(注1)
これは動物の健康管理のための訓練である。
そこに、開口訓練をしているゴマフアザラシがいた。



しかし歯を見ると、下顎右の牙が破折しているではないか。


獣医師によると、数年前に破折したとのこと。
その後、腫脹・熱感が見られ、患歯や舌下部から排膿があったという。
抗生剤や洗浄したが、症状が完全に消失するまで約70日を要したらしい。
しかし、アザラシは全身麻酔下での処置は難しい。
そこで獣医師と相談し、感染根管治療を試みることになった。

続く


大牟田市動物園公式ホームページ:
http://omutacityzoo.org/

注1:
動物園の動物達も高齢化【1】ハズバンダリートレーニング
https://www3.dental-plaza.com/archives/11140

動物園の動物達も高齢化【2】高齢化と口腔疾患の増加
https://www3.dental-plaza.com/archives/11166