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2019年9月のピックアップ書籍

2019/8/27 歯科NEWS


別冊the Quintessence『一般臨床家,口腔外科医のための口腔外科ハンドマニュアル'19』

『口腔外科ハンドマニュアル'19』は、日本口腔外科学会の理事長をはじめとする常任理事の先生方によって編集・作成され、扱われるトピックスも、学会の方針に従っているといえる。よって、口腔外科医ならば若手からベテランまで内容をしっかりと理解しなければならない。しかし、評者が強調したいのは、図表も多く、さらに今回は動画も閲覧できるなど、一般開業医の先生にも読みやすい編集となっていることである。そのため、ぜひ一般歯科の先生も読んでほしい内容となっている。そこで、一般歯科の先生にも役立つ内容を紹介する。 Chapter1・Section1の「上顎歯抜歯時の偶発症とその対処法」は、親知らずの抜歯の第一人者である、堀之内先生が解説をしている。堀之内先生といえば、名著である『必ず上達 抜歯手技』の著者である。今回の依頼は「偶発症の対処法」のため、一見一般歯科の先生のためでないと思える。しかし、そこは堀之内先生、サービスとして、コラム記事の「安全で手際の良い上顎埋伏智歯抜歯法」として、実際の抜歯を動画で紹介している。動画は便利であり、たとえば「曲のヘーベルを近心頬側隅角部の歯頸部に真横から挿入し、除去した骨の断端部を支点にして歯冠を頬側に向けて脱臼させる」という文章を読んで、具体的に方向などをイメージできるだろうか。動画の1分5秒からみると方向や力の入れ方などがわかるはずである。つぎにSection2の柳生先生のOPMDsの記事である。あるタレントが舌がんを公表して多くの患者が口内炎の見落としによる舌がんを心配している。そして、口内炎で患者が受診するのは、まず一般開業医である。よって、一般歯科の先生は、いわゆる前癌病変に対して最新の知識が必要とされる。ところが、2017年よりWHOの分類が変わったのを知っている一般歯科の先生がどれだけいるだろうか。これらの最新知識は、プライマリケアのプロフェッショナルである一般歯科の先生にも必須である。今回は、一般的な白板症ではなく紅板白板症など、わかりにくい症例の説明もされている。ぜひ、本マニュアルを読んで最新知識を手に入れてほしい。 一見すると、手術の写真などがあり、一般歯科医師には必要ない本と思ってしまうかもしれない。しかし、その内容は多分野にわたり、その多くを手術ができなくても知っておくべき知識の宝庫である。ぜひ躊躇せずに読んでほしい。 評者:湯浅秀道 (愛知県・豊橋医療センター歯科口腔外科) 日本口腔外科学会・編 古郷幹彦/栗田賢一/鄭 漢忠/ 桐田忠昭・編集委員 瀬戸晥一/野間弘康・編集顧問 クインテッセンス出版 問合先 :03‐5842‐2272(営業部) 定価本体:6,400円(税別)

『世界最強の歯科保健指導 中巻 歯科の世界はこんなにおもしろい』

『世界最強の歯科保健指導 上巻』が誕生して早2年、待望の続編が登場した!上巻のテーマは「診療室から食事まで」であったが、今回は「歯科の世界はこんなにおもしろい」となっている。まさしく、歯科の世界は底抜けに深くおもしろい。評者は内科医であるけれど、調べれば調べるほど、自分が歯科の虜になっていくことを実感している。 さて、2019年6月、内閣府は骨太の方針2019を発表した。骨太の方針は、内閣が国の1年の計を述べるものであるが、2017年より歯科への言及が行われるようになり、毎年その文言は長くなっている。令和元年においても、歯科に向けた新しい記述が追加されているが、評者はつぎの文言に着目した。 「…国民への適切な情報提供…を含む歯科保健医療提供体制の構築に取り組む」とある。冒頭に記された「国民への適切な情報提供」が肝である。この言葉の裏には、従来の歯科界が国民に向けて行ってきた情報提供が、不十分、すなわち不適切であったという痛烈な"イヤミ"が隠されていることに、読者はお気づきであろうか?誠に残念なことではあるが、評者も内閣府に同意する。なぜ日本国民は「歯が痛くなるまで歯科医院を受診しない」民族になってしまったのか?それは、決して日本人のデンタルIQが低いからではない。悪いのは、いつの世も教育である。歯磨きの意味、歯間清掃の意味、歯科定期通院の意味、口腔の大切さをわかりやすく国民に伝えてこなかった、歯科界にこそ責任があると評者は考えている。 ならば、どうすればよいのか?答えは明瞭である。本書こそが、国民への適切な情報提供を肩代わりしてくれることは間違いない。「歯磨きをしましょう、歯は大切です」このようなありきたりのメッセージでは、国民の心は動かない。何ごとも"意外性"が大切である。子どもや大人の耳目を開かせ、興味をもってもらうこと。すべては、ここから始まる。 本書には、岡崎先生が得意とする動物ネタ、唾液ネタをはじめ、人びとを釘付けにする面白ネタが満載されている。なかでも、新たに登場した宇宙ネタは必見である。門外不出の貴重な写真群が掲載されており、このページだけでも永久保存版に値する。 岡崎先生の偉業は下巻へと続くが、私たちはひとまず上・中巻の力を借りて、日本国民の歯科覚醒に努めよう。 評者:西田 亙 (愛媛県・にしだわたる糖尿病内科) 岡崎好秀・著 クインテッセンス出版 問合先 :03‐5842‐2272(営業部) 定価本体:11,000円(税別)

『21世紀版 インプラントのための重要12キーワードベスト240論文』

日本インプラント臨床研究会の編集により、『21世紀版 インプラントのための重要12キーワードベスト240論文』が発行された。同会は、わが国のインプラント診療を牽引してきた研究会で、日本口腔インプラント学会の指定研修施設になっている。同会の編集で、すでに2014年に『インプラントのための重要12キーワード240論文』が発行されているが、今回は同会の創立45周年を記念して、2001年以降の論文を紹介した最新版(21世紀版)を発行した。 インプラント治療は膨大な基礎研究と臨床研究により、エビデンスのある医療として確固たる地位を占めるようになった。近年、新しい材料や診療機器、技術が続々と導入されているが、情報過多の時代に有益な情報を選択するのは非常に大変である。また、グローバルスタンダードの時代になり、海外の高名な研究者や臨床医の講演を聞く機会では既知の事実として定評のある文献がスライドにでてくる。代表的な著者の固有名詞もでてくる。その著者名やキーワードを知っているだけでも、講演内容の理解は大きくなる。さらに自身が講演する際にも、グローバルスタンダードの論文を引用して、自説を展開することもできる。 インプラント治療は、検査から周辺手術、埋入手術、補綴処置、メインテナンスまで膨大な領域を含む。上部構造に関するキーワードと論文は別途「補綴・デジタルデンティストリー」編があり、本書では、インプラント治療のトピックスである「骨移植」、「骨誘導再生」、「上顎洞底挙上術」など、12キーワードを取り上げている。Web of Scienceというデータベースを利用して、インパクトファクターの付いているインプラント治療に関連する代表的な10ジャーナルから引用数の高い論文を検索している。 本書で取り上げられたジャーナル以外にも、世界最大の歯学研究学会であるIADRの『Journal of Dental Research』や歯科材料の専門学会誌である『Dental Materials』にもインプラント関係の論文が多数掲載されているし、対象を生体材料まで広げると多くのジャーナルがある。しかし、臨床家にとっては本書で取り上げられた論文だけでも非常に価値があり、抄録の和訳が付いているので参考になる。さらに本書には、プレゼンで使いやすいように、38項目の分類や基準等が文献とともに紹介されている。そのような観点からも、本書はインプラント診療にかかわる最新情報を入手し、学会発表や講演をする臨床家に必須といえよう。 評者:宮崎 隆 (昭和大学副学長) 一般社団法人日本インプラント 臨床研究会・編 田中譲治/井汲憲治/岩野義弘/ 塩田 真/武田朋子/若井広明/ 水口稔之/熱田 亙/ 芦澤 仁・編集委員 クインテッセンス出版 問合先 :03‐5842‐2272(営業部) 定価本体:7,500円(税別)