Dental Life Design

あなたのデンタルライフを彩るメディア

2019年11月のピックアップ書籍

2019/10/30 歯科NEWS

『決定版 実践マニュアル歯科用CTの見かた・読みかた』

『今さら聞けない歯科用CBCTとCTの読影法─三次元でみる顎顔面領域の正常画像解剖と疾患』が、出版されてから約2年。待ちに待った続編が満を持しての登場である。前回は、基本的正常構造物を理解したうえでの代表的な疾患の特徴的な所見が記載されていた。今回は、その応用編ともいうべき歯科臨床で遭遇する疾患に対する歯科用CTやCTの活用について解説されている。 近年のデジタルデンティストリーの進歩は目を見張るものがあり、そのなかでの歯科用CTの重要性は増すばかりである。当院では、CBCTを導入して12年を超え、現在2代目が稼働中である。以前は、インプラント治療の診査・診断が主であったが、保険導入後はインプラント治療はもちろん、埋伏智歯の抜歯、嚢胞摘出、上顎洞の疾患や顎関節治療などにも活用し、日常診療になくてはならない機器となっている。 しかしながら、われわれの世代の歯科医師はCTに関する詳細な教育はほとんど受けていないため、新たなCT関連の書籍を読み漁って勉強してきた。それでもなお臨床応用には難しく、これまで苦労してきた。その評者が現在、日本歯科放射線学会認定医になれたことは、学会の専門医教育制度のお陰であり、本書の監著者である森本先生や金田先生のご指導の賜物と感謝している。 本書は、CBCT導入後にその能力を十分に生かしきれていないというジレンマを抱える先生に、歯科臨床で経験する疾患に対する臨床応用の有効性が理解できる絶好のチャンスを与えてくれる。歯科用CTやCTの撮影依頼をする場合の注意点、出現するアーチファクトの種類などの説明や、歯内療法、歯周治療、インプラント治療、小児・矯正歯科および口腔外科での臨床例を専門医の先生が詳細に解説してくれる。さらに巻末の理解度テストは、さらなる理解を深めるアイデアとして特筆すべきものである。 わが国において、現在歯科用CTの販売台数は19,000台を超えるといわれている。これは世界でも屈指の普及の度合いを呈している。それにともない、医療被曝の問題から放射線防護のための法制が進みつつある。いずれは歯科医院のスタッフ全員に、医療安全の知識が求められることであろう。本書がその助けとなることは疑いようがない。まさに、歯科用CTやCTのバイブルとして、本書が活用されると期待している。 評者:清水誠治 (愛媛県・清水歯科医院) 森本泰宏/金田 隆/ 鱒見進一・監著 クインテッセンス出版 問合先 :03‐5842‐2272(営業部) 定価本体:9,500円

別冊the Quintessence『PRD YEARBOOK 2019』

The International Journal of Periodontics and Restorative Dentistry(PRD)は、とくに歯周治療に従事する臨床家にとって重要な学術誌の1つである。自らの臨床の取り組みを論文にし、この雑誌への掲載をめざしている先生も多いのではないだろうか。PRDの編集長は世界的に有名な臨床家であるDr.Myron NevinsとDr. Marc L Nevins親子が務めており、日常臨床に有益な情報を提供することにフォーカスしている。以前は毎号、日本語版が出版されていたが、2016年以降は、様式を変えて『PRD YEARBOOK』となり、YEARBOOK編集委員が選んだ論文が翻訳され、まとめて掲載されるようになった。 『PRD YEARBOOK 2019』の全訳論文のうち、「歯周病学」では、再生療法と矯正治療の10年間の前向き研究、エナメルマトリックスデリバティブと脱タンパクウシ骨ミネラルを用いた再生療法におけるメンブレン使用の有効性についての論文が紹介されている。編集委員による「解説」も掲載されており、論文内容や意義を理解するうえで大変参考になる。その他、「補綴」、「外科」、「インプラント」、「新材料・テクニック」といったカテゴリーの興味深い論文が紹介されている。加えて、今回は、「AAP・EFPの新分類に基づく歯周疾患とインプラント周囲疾患の分類別処置法」が掲載されている。ちなみに、この2017 World Workshopによる新分類については、日本歯周病学会・日本臨床歯周病学会が編集した日本語版が、クインテッセンス出版から出版予定であり、正式な日本語訳が提示される。そちらも併せて参照されたい。 他にも「海外学会レポート」や「読んでおきたい海外書籍紹介」、「大学紹介」などの記事で、世界の最新情報に触れることができる。巻末の「掲載製品リスト」は、論文に掲載されている製品がメーカー名とともに整理されており、購入を検討するうえで参考となる。「製品のトレンドと今後の展望」も、論文からは読み取れない点まで詳細に解説されており、製品・材料に関する理解が深まる。岩田健男先生の巻頭言、山﨑長郎先生の巻末言にも、注目すべきポイントが紹介されている。PRD論文の美しいカラー症例写真を眺めているだけでも楽しいが、歯周治療やインプラントに留まらない幅広い分野の最新知識が効率よく得られ、治療の根拠についての情報を探ることができる。さらに関連論文や書籍を読み進めれば、毎日の臨床のレベルアップにつながるであろう。 評者:齋藤 淳 (東京歯科大学歯周病学講座) 岩田健男/山﨑長郎/ 和泉雄一・主席編集 クインテッセンス出版 問合先 :03‐5842‐2272(営業部) 定価本体:6,400円(税別)

『「粧う」ことで健康寿命を伸ばす化粧療法』

読者は「化粧療法」と聞いて何を想像するだろうか?評者は、メイクすることが化粧療法との認識であったが、実際はまったく違うものであった。本書は、歯科医師にとって馴染みがほとんどない化粧療法について、化粧と口の機能、唾液などの歯科領域とどのような関連があるのか?人との健康寿命の延伸に対する取り組みの1つとして化粧療法はどのように成り立つのか?また、化粧療法が身体機能、脳・認知機能に及ぼす影響について非常にわかりやすく解説されている。本書のなかで、興味深い内容があったので紹介すると、化粧をするとよだれが止まる?のはなぜ?の検証では、嚥下と化粧との関係は、メイクによる大脳、スキンケアによる末梢感覚神経への刺激となることが考えられているようである。また、誤嚥性肺炎予防の非薬物療法として化粧療法が役立つ可能性について説明があり、評者は導入を検討したいと考えている。 評者と化粧療法との出会いは、2016年8月、Willmake143の田中健児氏の勧めで資生堂主催の化粧療法講座をスタッフ全員で受講したことに始まる。この講座を受けて、評者の化粧療法の概念が変わり、化粧療法の歯科分野での可能性と歯科に勤務しているスタッフが活躍できる分野になることを感じた。その後、当医院スタッフ3名が資生堂化粧セラピストの資格を取得し、周りのスタッフを巻き込んで現在さまざまな事業を進めている。本書のなかで「化粧療法で今よりちょっと明るい超高齢社会を作りたい」との著者の想いが紹介されていた。当医院では行政の介護予防事業委託で、2017年以降2019年9月までのべ75名に化粧療法を行った。化粧療法に参加された高齢者が化粧をとおしてすてきな笑顔となり、楽しいコミュニケーションをする姿を評者は間近にみてきた。また他の行政への広がりが始まっている今、間違いなくちょっとではなくかなり明るい未来に貢献できるのがこの化粧療法であると評者は思っている。フレイル予防対策の実践を地域で行っている先生、健康寿命延伸をめざしていきたい先生、「化粧療法」を少しでも知りたい先生、スタッフに本書を手にとって読んでいただきたいと考えている。 最後に、化粧療法に取り組んでいる歯科医院はまだまだ少ないのが現状である。本書を拝読し、化粧療法に興味をもって取り組む歯科医院が少しでも増えることを願っている。 評者:定岡雅則 (北海道・定岡歯科医院) 池山和幸・著 クインテッセンス出版 問合先 :03‐5842‐2272(営業部) 定価本体:2,200円(税別)