TOP>医院経営>歯科医院経営をデザインする 第5回:三方よし経営とは 実践その2

医院経営

歯科医院経営をデザインする 第5回:三方よし経営とは 実践その2

歯科医院経営をデザインする 第5回:三方よし経営とは 実践その2
歯科医院経営をデザインする 第5回:三方よし経営とは 実践その2
歯科医院にとっての三方よし経営「スタッフよし 患者(地域)よし 医院よし」を考える場合には、まず「スタッフよし」からスタートします。ではなぜ、三方よし経営では「スタッフよし」から始めなければならないのでしょうか?

理由は、「患者よし」を達成するためには、スタッフの歯科医療従事者としての心と技術が育つことが欠かせないからです。スタッフの心と技術が育ち、「患者よし」が実践できるようになると、口コミ紹介で患者さんが増えて「医院よし」が達成でき、「三方よし経営」が実現できるのです。

そのためには、スタッフの育成環境の整備とそれを支える利益を確保しなければなりません。

それでは、具体的な手順を見てみましょう。

たとえば、受付兼アシスト2名(人件費280万円×2名=560万円)、歯科衛生士3名(人件費350万円×3名=1,050万円)とした場合、人件費の概算(年間)は1,610万円です。

まず、この人件費をまかなう売上を計算します。歯科衛生士3名で2列を回すとして、1列の売上が月140万円なら「140万円×12カ月×2台=3,360万円」。院長が年間4,600万円の売上を達成すれば年間で「4,600万円+3,360万円+物販140万円=8,100万円」の売上です。この売上であれば、人件費が1,610万円であっても適正範囲であると言えるのです(人件費率約20%)。

次に、院長が4,600万円、歯科衛生士が2列で3,360万円の売上を達成するために、どのような治療コンテンツが必要なのかを考えます。院長は保険診療で1日15,000点を売上げ、月に100万円の自費治療を契約できるでしょうか?自費治療は補綴、デンチャー、インプラント、レジン修復、矯正など、院長が得意とされている治療法を磨き収益につなげます。稼働日数の平均を月20日間とすれば年間の保険診療売上は3,600万円、それに自費治療分の1,200万円を足せば院長の年間売上は4,800万円になります。

歯科衛生士枠は1日8枠×2列取れますか?スケーリング技術とコミュニケーション技術を磨いて歯科衛生士1名が月140万円の売上を達成できるようになるために、歯科衛生士の技術を磨き難しい症例でも対応できるように取り組みます。

「なぜスタッフにそこまで配慮しなければならないのか?」と思われた院長もいらっしゃるでしょう。理由の一つはこれからさらに進む人材不足です。そしてスタッフの成長に投資することこそが、経営的に成果をだしている歯科医院の共通点だからです。

スタッフの成長と満足度に投資することでスタッフが患者さん一人ひとりに対して大切に接することで、患者さんが離れなくなります。そして、スタッフが歯科医療従事者として成長することで医院の売上は増えていくのです。三方よし経営、始めてみませんか?

著者森脇康博

三方よしビジョン達成サポート代表

略歴
  • 1960年大阪府生まれ。前職の大阪の開業医団体時代に経営セミナーを立ち上げ、みずからも講師として300件以上の経営相談にかかわる。
  • 開業1年未満で業績不振により廃院する医院が増えていることにショックを受け、真摯に歯科医療に取り組む院長を応援したいと決意し30年勤務した後に独立。
  • 現在は、歯科医院経営コーチとして歯科医院の経営戦略の立案、事業計画の立案と達成をサポート。ほぼ毎日更新される経営ブログが好評を博している
  • http://shikauriage.com/
森脇康博

tags

関連記事