スタッフのモチベーションは、個人レベルではなく、歯科医院全体にも大きく影響する重要な要素です。
スタッフのモチベーション管理に悩んでいる歯科医師や歯科医院オーナーの方も多いのではないでしょうか。
本記事では、歯科医院スタッフのモチベーションを上げるためにできることと、モチベーション低下の原因などについて解説します。
そもそもモチベーションとは
モチベーションとは動機のことで、人が仕事や勉強を行おうとするときの原動力となるものです。
このモチベーションには、大きく分けて「外発的動機付け」によるものと「内発的動機付け」によるものの2種類があります。
外発的動機付け
外発動機付けとは、他人や周囲の環境の影響によって動機付けされることを意味します。
例えば歯科医院であれば、給料をアップすることによりスタッフのやる気がアップし、仕事に意欲的に取り組むようになるといったイメージです。
外発的動機付けは、スタッフのモチベーションアップに大きな効果が得られますが、その効果はあくまでも一時的である場合がある点に注意しなければなりません。
内発的動機付け
内発的動機づけとは、自身の感情や心理状態の影響によって動機付けされることです。
例えば「仕事が楽しい」と感じている人は、自身の楽しいという感情が動機付けのきっかけとなります。
内発的動機付けがされるかどうかは個人差もありますが、効果は長続きしやすいといえます。
歯科医院のスタッフのモチベーションを高めるメリット
ここでは、歯科医院のスタッフのモチベーションを高めるとどのようなメリットが得られるのか、以下の点について解説します。
・業務効率や生産性の向上
・スキルやサービスの質の向上
・離職率の低下
業務効率や生産性の向上
モチベーションが高いと、業務効率や生産性の向上が期待できます。
これは、モチベーションの高いスタッフは「仕事が楽しい」「仕事を通して達成したい目標がある」「仲間のために頑張りたい」などやる気のある状態になっており、自発的・積極的に仕事に取り組むと考えられるためです。
例えばモチベーションが低く、ダラダラ仕事をしているスタッフがいると、仕事のスピードが落ちてしまいますが、自発的・積極的であればスピーディに取り組めます。
結果的に、職場全体の業務効率や生産性のアップにつながるのです。
スキルやサービスの質の向上
モチベーションの向上は、スタッフ個人のスキルアップやサービスの質の向上にもつながります。
これは、仕事に対するモチベーションがあると、自発的に自身のスキルアップに励もうとするためです。
例えば、モチベーションがある状態だと「仕事についてもっと勉強しよう」「どうすれば患者さんの満足度が高まるかな」などを考える人は多いでしょう。
このようなことを考え、実際に取り組んでいると、スタッフのスキルが徐々にアップし、結果的にサービスの質が向上します。
離職率の低下
モチベーションの高さは、スタッフの離職率の低下にもつながります。
これはモチベーションの高いスタッフは、仕事に対する満足度も高いと考えられ、すぐに退職する可能性が低いためです。
また離職者が少なくなれば、新たな人員を採用し教育する回数も減るため、結果的に採用コストや教育コストの削減にもなります。
歯科医院のスタッフのモチベーションが低下する原因
ここでは、なぜ歯科医院のスタッフのモチベーションが低下するのか、その原因として以下の点について解説します。
・人事評価に不満がある
・給与が低い・下がった
・職場での悩みがある
・仕事での目標がない
人事評価に不満がある
歯科医院から受ける人事評価に対して不満があると、スタッフのモチベーションは下がってしまいます。
自分の頑張りが評価されていない状態だと、不満がつのり、「がんばっても意味がない」と考えてしまうためです。
また、自分よりも怠惰であるスタッフが高い評価を受けていると知った時も、同じような状態になるでしょう。
給与が低い・下がった
給与が低かったり、下がったりするとスタッフのモチベーションは低下してしまいます。
例えば業績不振により給与が下がってしまうと、「このままこの歯科医院にいていいのか?」「他の歯科医院の方がよさそう」と考えるスタッフも出てくるでしょう。
また、残業代が十分に支払われていない、業務量や業務の質に対して給与が低いといった場合も、モチベーションの低下につながります。
給与決定に関わる要素や根拠をきちんと説明することが大切です。
職場での悩みがある
職場で仕事や人間関係での悩みを抱えているスタッフは、モチベーションが低下する恐れがあります。
これは、悩みが気になり仕事に集中できない、仕事をしたくないといった状態になるためです。
例えば、上司との人間関係がうまくいっていないスタッフがいる場合、上司と一緒の空間で働くことが憂鬱でそちらに気を取られてしまい、仕事に対するやる気は失われてしまうでしょう。
仕事での目標がない
業務上における目標がないスタッフも、モチベーションが低下する恐れがあります。
目標がないと、「何を頑張ればいいのか」「何を元に評価されるのか」などが明確にならず、自分が歯科医院に貢献できているかがわからなくなってしまうためです。
例えば、業務に関連する資格の取得という目標をたてていれば、それを達成することで、業務において役立つ資格を持っている=組織に対して貢献できていると実感できるでしょう。
しかし、目標がなく何をすればいいのかわからない状態だと、ただなんとなく日々の業務をこなすことになり、組織への貢献を実感することもできません。
すると、結果的に「なんで仕事をしているんだろう」といった形でモチベーションが低下していきます。
歯科医院のスタッフのモチベーションを高める方法
ここでは、歯科医院のスタッフのモチベーションを高めるための方法として、以下の点について解説します。
・目標を明確にする
・人事評価制度を見直す
・スタッフとの定期的な面談を行う
目標を明確にする
スタッフが歯科医院でどのようなキャリアを形成していくのか、キャリアにおける目標を明確にすることはモチベーションアップには重要です。
目標を持たず仕事をしていたスタッフが中長期的なキャリアビジョンを持つことで、目指すべき指標ができ、目標を達成するためにやるべきことも明確になるため、仕事に対するやる気もアップするでしょう。
人事評価制度を見直す
人事評価制度の見直しも、モチベーションアップにおいては大切です。
自分自身の働きぶりに対して、適正だと思えるような評価を受けられれば、スタッフのモチベーションは維持されます。
また「次はもっと高評価を目指そう」とモチベーションアップにもつながり、自発的なスキルアップにもつながります。
スタッフとの定期的な面談を行う
スタッフと定期的に面談を行うこともモチベーションアップにつながります。
これは面談を行うことで、相互理解が深まり信頼関係を強固なものにできるためです。
例えば面談で、スタッフの普段の仕事ぶりに触れ、それを評価するような声をかければ「ちゃんと見てもらえている」と感じられます。
また、仕事で悩みを抱えているスタッフの相談に乗れば「この人は私を助けようとしてくれている」と感じられます。
スタッフとの間に信頼関係が築ければ、「上司のために頑張ろう」「上司を困らせたくない」となり、モチベーションのアップが期待できます。
まとめ
スタッフのモチベーションは、歯科医院の業務全体に影響するため、モチベーションが低下しないように管理することが大切です。
スタッフに目標を持ってもらう、適切な評価を行う、定期的に面談を実施するなど、今回の内容を参考に、ぜひモチベーションの管理に取り組んでみてください。