Dental Life Design

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イートロス医学のススメ
第1回:
イートロス医学はじまる!

2020/3/24 デンタル〇〇デザイン

皆さまお久しぶりです。米永一理(よねなが かずみち)です。

2016年10月から12月まで「ざっくり学べる有病者歯科診療のコツ」をお届けして以来の執筆となります。

あらためて前回のメールマガジンを眺めてみると、医学の基礎的なことであり、時が経っても褪せることはない内容だなと感じています。先生方の診療のマメ知識になると思いますため、まだお読みでなければ、過去のメールマガジンもぜひお楽しみいただければと思います(https://www3.dental-plaza.com/writer/k-yonenaga/)。

さて、筆者は、あれから十和田市立中央病院総合内科、JR東京総合病院総合診療科などを経て、2020年4月1日よりイートロス医学講座を開設することになりました。

今回は、6回にわたって「イートロス医学のススメ」と題し、イートロスに関係しそうな話題をまとめていきます。

初回は、イートロスの紹介をさせていただきます。

イートロス医学講座は、人が生きる根幹である「食べる」を支えるために開設された社会連携講座です。イートロスとは食べられないことであり、多くの国民に「食べられない」ことが続くことが好ましくないことを端的に認知いただくことを目的として、「Eating Loss」から命名しました。

イートロス医学講座では、フレイルやサルコペニアなどの加齢性変化における病態を口腔領域からアプローチし、イートロスに関する診断/予防/治療を学問として体系化し、多くの国民が健康寿命をまっとうできるよう研究、教育、臨床を実践することを目指しています。

このイートロスは、医学・歯学にまたがる病態であり、医科歯科連携が重要です。特に今後の口腔医療(歯科医療)では、う蝕および歯周病治療に加えて、イートロスをいかに予防し、早期発見・早期治療につなげるかが、ひとつの役割となると想定しています。なぜなら、イートロスが続くと、悪液質(カヘキシア)となり、死につながる状態となるからです。

カヘキシアは、人の3大苦痛(①疼痛、②疾病関連うつ、③カヘキシア)のひとつです。疼痛、および疾患関連うつに対しては、比較的治療法があります。一方で、カヘキシアに対する治療法はまだ確立されているとはいえません。

また人の3大欲求である①食欲、②睡眠欲、③排泄欲の中で、唯一食欲だけは、自分で食べられなくなったときに、誰かに介助をしてもらわない限りは、満たすことができません。

これらより、食べられないことが続くイートロスの苦痛をどうにかしたい思いがあり、イートロス医学講座の開設につながりました。今後、「イートロスになることは良くないんだ」、また「イートロスになってもなんとかしよう」、「そのためにも歯科との関係をより大事にしよう」との機運が高まり、国民の公衆衛生活動に貢献できればと考えています。そして、イートロスの診断/予防/治療を学問として体系化されることで、この「イートロス」が、「8020」とともに国民に口腔領域に関心をもっていただくキーワードになればと願っています。

以上、ご批判もあるかもしれませんが、戯言としてお許しいただければと思います。

さて、イートロス医学の話を深めても、まだまだ空論が多いため、次回からは現実に戻ります。イートロス医学を進めていくための実践編として、医科歯科連携の実際をお届けしようと思います。

最後に、「ザ・クインテッセンス」(クインテッセンス出版)での連載のご紹介です。ご好評いただきました「ザ・クインテッセンス」での漢方の連載は3月号で終了しましたが、4月号からは、「主訴・症状から考える鑑別疾患とエッセンス」と題して連載を開始します。内科の先生がなぜこんなに多くの病気を知っているか、そしてなぜこんなに多くの病気の治療ができるかという疑問に答えようと思います。そして、医療者としてより適切な対応ができるよう、Common Diseaseを中心に、患者の主訴から何を疑うか、医科知識のエッセンスをまとめていこうと思います。

ではまた2週間後お会いしましょう。ありがとうございました。