上咽頭は、軟口蓋の上方にあるため直視できない。
そのため歯科医師にとっては死角となる場所である。
そこで、鼻腔と咽頭部の断面を眺めてみた。
まず、左右の鼻孔から空気が入ると、鼻中隔により二手に分かれる。
そして、その奥で合流する。
この部分には咽頭壁があり、空気の流れは大きく下方に変わる。
高速道路に例えると、急カーブで速度を落とす場所である。
すなわち、渋滞発生ポイントといえる。
上咽頭に咽頭扁桃が存在するのはこのためだ。
しかし、この関所が破られると細菌やウイルスが増殖を開始する。
そのため、風邪を引いた時に最初に痛くなる場所である。
新型コロナやインフルエンザウイルスの検査時に、長い綿棒を鼻に挿入するのはこのためだ。
しかし、この部分はガラガラうがいで洗浄できない。
そこで登場するのが、"鼻うがい"(鼻洗浄)。
耳鼻科医院でも行われるが、世界三大伝統医学のアーユルヴェーダでも行われていた。
しかし病巣疾患研究会代表の内科医 堀田 修先生は、新型コロナウイルスの感染予防になるとしている。
注:認定NPO法人 日本病巣疾患研究会提供:
https://jfir.jp/news/minnadehanaugai/
注:「新型コロナウイルス感染対策と鼻うがい」堀田 修先生(日本医事新報社)No.50009(2020年4月25日発行)
https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=14451&fbclid=IwAR3vWAP8EgU_wvjS1om4_hrBgtEfRcPnjiLSOlTQzSj2cjkjnmX2rGKAJt0
このウイルスの主要な感染場所として、上咽頭付近の粘膜があげられる。
インフルエンザは、この部位に侵入するのに約1~2日。
しかしコロナウイルスは、平均5日かかるという。
そこで鼻うがいで体内に入る前に洗い流すという作戦だ。
実際、"あいうべ体操"で有名な今井一彰先生は、鼻うがいで上咽頭まで洗浄液が届くことを確認されている。
注:鼻うがいは上咽頭を洗っているか?!
https://www.youtube.com/watch?v=5wiZFQTpqQA
しかも鼻うがいのキットが市販されている。
これは、歯科医療従事者にとっては朗報だ。
人ごみの多い所に行った後が良いだろう。
また診療後に行うとより効果的だろう。
但し、洗浄しすぎると鼻腔内の必要な成分まで除去される。
そのため1日1-2回程度が良いらしい。
参考:鼻うがいの実際 動画提供:歯科医師 山本エレナ先生
https://www.youtube.com/watch?v=BvP7dHaTfqs
続く